10. 富
富
グイリ語 deingone デンゴーネ
レンゾ語 bsrarmnont デンゴーン
ゲルギ語 dandengoroneha ダンデンゴローネア
ジェーイェー語 dada15 ダーダー
カザベダ語 taramwe タラメ
歴史的に、人類は農耕を始めることで富というものを蓄えだした。このことを「回り続ける時が動き出した」と歴史家 Setkrebokka Torgin セトクレボッカ・トルギンは言い表す。採取生活の中で人類は太陽の運行や季節の巡りを感じ、同じような一日を繰り返し、同じような一年を繰り返していた。財産を蓄えるようになって初めて「未来(sendniha センドニア)」などを考えるようになったとする主張を含んでいる。
過去・現在・未来の時間概念については今昔文法学の観点からも鋭い考察がなされているが、本書では触れる余裕がない。
上に挙げた語は、具体的な金品や貨幣、及びそれが豊かにある状態を指す。文法上はジェーイェー語とカザベダ語以外で可分名詞として扱う。その二言語では可分名詞と可算名詞の区別が曖昧である。
抽象名詞としてはグイリ語 eingone エンゴーネ、レンゾ語 bsrarmnent デンガーン、ゲルギ語 dandengorar ダンデンゴラル、ジェーイェー語 dada21 ダーダー、カザベダ語 terwemyu テレミュがある。これらは具体的な金品や貨幣を指して使うことができない。やや改まった表現である。
清貧を解く教えは数あるが、こうした単語が悪い意味を持つことは通常ない。
「最も富める者」を意味する古グイリ語 danga-vidangunis ダンガ・ヴィダングニスは何人もの支配者たちの美称に添えられる。このことに関して歴史家 Psrenbwasdmom Tspezrbnbont ティモナー・パルモーンは、まさにダンガ・ヴィダングニスと称する講演の中で本旨から逸れた話として、自身が打ち立てその後大きな流れを作った貨幣論に基づき、歴史上のある支配者を「最も富める者」と論じた。
その支配者 Swehugya セフギャ王は「破れぬ誓いの」という形容を付されるのが常である。その約束(第三部「呪術」中「約束」の項で記述)は破れないというのだった。約束が破れないので、債務不履行が起こり得ない。
時代や地域を超えて富の量を比較するのには無理があるというのが共通見解である。しかし貨幣論は、かの王が鋳造権を占有して発行する貨幣はどのような貨幣よりも「安立している」とする。両替の比率を考えたなら、かの王が築いた財は誰にも劣ることがないというのだった。
一般名詞を命名に用いる習慣のないジェーイェー語以外で、人名によく使われる。見出しの語がそのまま人名となるが、ゲルギ語ではしばしば dan ダンと縮められる。




