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1話
安らかな眠りを時限爆弾のアラームが妨げる。
それを消す為に眼を閉じながら音を頼りに平手を何度も下ろし、カチという確かな感触とともに騒音が鳴り止み、寝ぼけ眼で時間を確かめる。
身支度を整えることを鑑みても約束の時刻に十分すぎるほどの余りがある。
少し今日に期待を寄せ、再び瞼を下ろして地面に向かって歩いたり、地面と平行に足早に駆けたりして降りかかる重力を身体で感じながら早くに起きた休日の朝を紛らわしているのだ。
足のばたつきを止め、地球と布団の引力から逃れて身支度を済ませ、これから誰も居なくなる家に鍵を掛けた。
これから探偵に会いに行く。
突如失踪した彼女を見つける為に。