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女神様の美容師  作者: 獅子花
美容師 異世界に行く
77/321

77.美容師~お土産を用意しよう

 

 翌朝、風邪気味で今日は一日ゆっくりしようか……なんてことはなく、清々しい目覚めだった。

 

 風呂上がりに濡れたまま連行されてしばらく裸同然の恰好でいたにもかかわらず、喉の痛みもないし、鼻も出ていない。


 僕の体はいたって健康体だ。

 日本にいた時ならば、ほぼ風邪をひいている自信がある。

 

 これもリリエンデール様の加護のお陰なのか、ステータスが強化されているので風邪や病気などにかかりにくくなっているのか。

 まぁ、体が丈夫なのはいいことだ。


 

 1階に降りて朝食を頼むと、女将さんはもう怒っていなかった。

 朝食のメニューは変わり栄えがなくスープとサラダに灰色パン。

 美味しくないけどお腹が空くのでしかたなく食べる。


 

 冒険者ギルドに向かい、マリーの元へ。


「さすがのソーヤさんでも、穴掘りモグラの討伐は無理でしたか。へー、ソーヤさんでもできないことってあるんですねー」


 何故か嬉しそうに言われて、悔しい気持ちになるが、僕だってなんでもできるわけではない。

 僕ができるのは、できることだけだ。


 軽く弄られながら、穴掘りモグラの討伐依頼をキャンセルしてもらった。

 

 毎度お約束のギルドカードの更新からのマリーのステータス拝見のコーナーでは、


 ==


 名前 ソーヤ・オリガミ

 種族 人間 男 

 年齢 26歳

 職業:魔法使い

 レベル:2

 HP:30/30

 MP:30/30

 筋力:18

 体力:18

 魔力:20

 器用:36

 俊敏:20


 スキル:採取《Lv4》、恐怖耐性《Lv2》、身軽《Lv2》、剣術《Lv3》、聴覚拡張《Lv4》、気配察知《Lv3》、投擲《Lv3》、集中《Lv4》、忍び足《LV1》、脚力強化《Lv3》、心肺強化《Lv2》、精神耐性《Lv1》、調合《Lv1》


 ==


「はい、いーですよー」


 何がいいのだろうか?

 わからないけれど、許可をもらえた。


「今日の討伐相手なんだけど――」


 一角兎の討伐依頼を頼もうとしたら、


「そうでした!」


 マリーが言葉を被せてきた。


「リンダさんから言伝を預かっていました。

『今日のお昼前後に来られたらで構わないので家に来てほしい』とのことです。要件は紹介したい人がいると言っていましたが」


 リンダさんの紹介したい人?

 誰だろう?


 リンダさんの両親……まさかね。


「嫌なら行く必要はありませんよ。わたしがきちんと断ってあげますから」


 考え込んでいる僕を見て、マリーが心配そうに言ってくれた。

 嫌なわけじゃないんだけどさ。


 なんというか、ちょっと怖い。

 自分の意志の弱さに自信がないというか。


「大丈夫。ちょうど今日は一角兎の討伐に行くつもりだったから、帰りに寄ってみるよ。メェちゃんに一角兎をプレゼントする約束もしていたし、タイミングバッチリかも」


「そうですか……気をつけてくださいね。無事に戻ってこれることをお祈りしておきます」


 意味深にマリーが告げてくるので、


「ありがとう」


 お礼を返して兎狩りに出発することに。



 街の門を出て、昨日と同じく北西に進路を取る。

 そういえば、一角兎を昨日は見かけなかったな。


 穴掘りモグラを探すことに集中していたから、たまたまかもしれないけど。

 今日は穴を見つけても手を出すのはやめよう。


 リンダさんの家を訪れるのに、土だらけで汚れていくのは失礼だ。


 しばらく歩くと一角兎を発見。

 背中を向けて草を食べているのか、こちらには気づいていない様子。


 息を殺してそっと近づいていると、ポーンと音が。


【スキル 忍び足のレベルが上がりました】


 そのまま真後ろまで行けたので、短剣で首元を一突き。

 きっと自分に何が起きたのかもわからずに逝けたと思う。


 苦しませずにすむのなら、その方がいい。

 摩核結晶と素材を剥ぎ取り、次の獲物を探す。


 テッドに2匹、メェちゃんに1匹、女将さんはもう怒っていなかったけど、いつもお世話になっているから1匹あげたい。

 というわけで、あと3匹は必要だ。



 ≪気配察知≫で一角兎をとらえる度に、≪忍び足≫で近づき背後から一突き。

 

 4匹目を仕留めた時に、≪忍び足≫のレベルがまた上がった。

 

 キンバリーさんに見られたら、暗殺者とからかわれそうだ。

 思い浮かべてつい苦笑いが。


 

 4匹の一角兎を入れた袋を担いで、ニムルの街に戻る。

 門に立っている衛兵にテッドさんはいるかと尋ねると、今日は非番なのに来ているらしい。

 

 詰め所の中に入ると、ウキウキした様子のテッドがやって来るなり、


「約束のブツをもらおうか」


 あんた、そんなに兎が好きなら自分で獲りに行けばいいじゃないか。

 そう言ってやりたいのは山々だが、約束なので2匹手渡してやる。


「へっへっへ、今日はこいつを肴に酒を飲もうと楽しみでな」


 ニマニマしながら帰って行った。

 どうやら、僕と兎を待っていただけのようだ。


 外に出ると、テッドは他の奴らに兎を見せびらかしていたので、


「よい休日を」


 声をかけてリンダさんの家に向かう。



いつも読んでいただきありがとうございます。


誤字脱字、ご指摘頂けると助かります。


ご意見ご感想、評価等頂けると更新の励みになるので、嬉しいです。


短編連載、『五千円ぽっきりの探偵』完結しました。


お時間のある時に是非読んでみてください。



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