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女神様の美容師  作者: 獅子花
美容師 異世界に行く
311/321

311.美容師~迷宮を探索する12

 

 とりあえず油断はしないということで、フィクスさんの隣に立ち注意深く観察してみることに。


 コボルトメイジは薄汚れたローブをかぶり、右手に先端の捻じれた杖を持っていて、コボルトソードマンは右手に持つ長剣を構えてこちらを見ている。


 コボルトメイジが「グギャギャ」と言葉を発し、先端の捻じれた杖で地面にトンと突くと、2匹のコボルトソードマンがコボルトメイジを庇うように1歩ずつ前に出たが、そこから動かなくなった。


 どうやら相手側も待ちの態勢のようだ。

 コボルトメイジが魔法で攻撃して、2匹のソードマンが護衛役といったところだろう。


「さてさて、ソーヤ君ならここからどうする?」


「どうするって……相手に魔法を撃たせるんですよね?」


「それはそうなんだけど、ああ、まぁいいか。ここはわたしにお任せあれ。ソーヤ君はその場から動かないで、安心して見学していていいよ」


 そう言いながらレイピアを腰に戻し、フィクスさんが僕を庇うように目の前に立つ。


 僕らが向かっていかないのでソードマンはそのままに、コボルトメイジが魔法の準備を始めたようだ。

「グギ……グギギ」と声が聴こえる。


 もしかして、魔物も魔言を紡いで魔法を放つのだろうか?

 フィクスさんに聞いてみたいけれど、タイミング的に今はマズイだろう。


 僕の前で魔法をなんとかするみたいだし、いつになく集中しているっぽいので邪魔はできない。


 心の中で葛藤しているうちに、コボルトメイジの杖の先にソフトボールくらいの火の玉が生まれた。

 コボルトメイジが杖を突きだすと、火の玉がこちらに向かって飛んでくる。


 フィクスさんも小声で魔言を紡いでいたので準備はできているようだ。

 両手を前に突き出して、『エアシールド』と唱えると、フィクスさんの手のひらの先の空間がぼんやりと歪んだように見えた。


 火の玉は大人が全力で走るくらいのスピードで飛んできて、フィクスさんの手の先の空間で弾かれて壁に当たり、小さな爆発を起こした。


「見たかい、ソーヤ君。今コボルトメイジが撃った魔法はちょっと小さめだったけれど、火属性の『フレイムボール』だ。それでそれを弾いたのが風属性の魔法で『エアシールド』だよ。

 ソーヤ君の使う水属性で言うと『アクアウォール』みたいなものだね。ただ、視界を遮らないというメリットがあるから、結構使える魔法さ。ソーヤ君にも後で教えてあげるから、時間がある時に練習するといいよ」


 フィクスさんは僕に魔法の講釈をしながら右手を軽く振って『エアシールド』の魔法を消し、今度は腰からレイピアを抜いた。


「お次はちょっとした裏技みたいなものだよ。と言っても、ソーヤ君も似たようなことはできるみたいだけれど」


 笑顔でこちらをチラ見して、レイピアの剣先を天井に向けて胸の前で構える。


 コボルトメイジが再び杖を振り火の玉を飛ばしてきたが、一言二言呟いたフィクスさんがレイピアを斜め左下から振り上げると、火の玉は二つに割れて消えてしまった。


「今のって――」


「そう、武器に魔力を纏わせて魔法を斬ってみたのさ」


 自慢げにウィンクしてくるフィクスさんよりも、その手に持つレイピアの剣が放つ光に僕は目を奪われてしまう。


「僕のシザー7と同じ色……いや、少し違うかも」


「うーん、実際にわたしは見たことがないから何とも言えないけれど、似てはいるのかな? たぶん、無意識のうちにソーヤ君もコレと同じことをやっているとわたしは睨んでいるんだけどね」


 フィクスさんの属性魔法は風だから緑色っぽいのだろうか。

 だとすれば僕の得意属性は水だから、シザー7は青色に光るはずなのに、何故か緑色の光を放つのだ。

 それもフィクスさんのレイピアが放つ緑とは違い、もっと青っぽい。


 そう、まるでリリエンデール様の髪の毛の色のような碧だ。

 ああ、そうか。

 ふいに僕は理解した。


 シザー7もトリミングシザーも、リリエンデール様から貰った力に影響されているのかもしれない。

 だから放つ光はリリエンデール様の色。

 あの碧色の髪の毛の色なんだ。


 ずっと解けなかった疑問の答えが出て、胸の奥がすっとした。

 無意識のうちに微笑んでいたようで、フィクスさんの指先が優しく僕の頬を横から押した。


「なんだか嬉しそうに笑っているところに悪いんだけど、今は魔物との戦闘中だよ?

 コボルトメイジの魔法も見たし、教えたいこともとりあえず教えたし、そろそろあの魔物達、倒しちゃおうか」


「はい、戦闘中に気を抜いてすみませんでした。それで、作戦とかはどうしますか?」


「うーん、あいつらはあのまま待ちの姿勢みたいだし、わたし達もここから魔法をぶっ放してもいいんだけれど、それだとつまらないしソーヤ君の訓練にもならないよね。

 ソーヤ君、人型の魔法を使う魔物とは戦った経験とかないんでしょ?」


「ええ、ないですね。しいて言えば、フィクスさんくらいかと」


「わたし?」


「ええ、人型の魔法を使う相手との戦いの経験。ああ、あともう一人いましたが」


 ケネスさんとの模擬線のことをすっかり忘れていたので付け足しておく。


「魔物と一緒にされるのは心外だけど、それならやっぱりソーヤ君はコボルトメイジと戦ってみるべきだね。

 ということで、作戦発表だ。わたしはコボルトソードマン2匹を相手するから、ソーヤ君はメイジの相手を頑張って。

 コツは魔法を撃たせる前に倒すことだよ。じゃ、作戦開始ー」





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