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女神様の美容師  作者: 獅子花
美容師 異世界に行く
288/321

288.美容師~祝福を受ける

 

 にっこり微笑んだリリエンデール様が僕の顔の前で人差し指をくるくるーと回す。


 待て。

 待って。

 それ、待って!


 くるくる回る人差し指を掴もうとしたが、すでに遅かったようだ。


 リリリーン、と頭の奥で音がした。


【女神リリエンデールの祝福を獲得しました】


 そして、コエが続く。


【女神リリエンデールの祝福と加護が統合され、女神リリエンデールの寵愛を獲得しました】


 ああ。

 あああ。

 やってしまった。


 テーブルに突っ伏して項垂れる僕に対して、リリエンデール様は満足げに、


「やったわ。やってやったわ。さすがわたし、やるときはやる女なのよね」


 などと、わけのわからない自画自賛な内容で自分を褒めている。


「やっぱりソーヤ君にはわたしの寵愛が付いたわね。

 寵愛……寵愛か。自分でやったことの結果なのだけれど、ちょっと照れるわね。でも、これも運命と呼ぶべきことなのかしら」


 興奮の為なのかなんなのか、頬を紅潮させて一人でしゃべっていたリリエンデール様が、椅子に腰かけて冷めた紅茶をぐいっと一息に飲み干した。


 僕は先ほど聴こえたコエを信じたくない気持ち一心で、確かめるようにシザーケースの中から手帳を取り出し、よく見えるようにノートにして捲った。



 ==


 名前 ソーヤ・オリガミ

 種族 人間 男 

 年齢 26歳

 職業:剣舞師

 レベル:2

 HP:40/80 (←40)

 MP:40/80 (←40)

 筋力:52   (←26)

 体力:52   (←26)

 魔力:56   (←28)

 器用:104  (←52)

 俊敏:58   (←29)


 テクニカルスキル:シザー7 9300/????

 《Lv1》カット

 《Lv2》チョップカット


 テクニカルスキル:トリミングシザー 

 トリミング


 ユニークスキル:言語翻訳《/》、回転《Lv8》、観察《Lv7》、好奇心耐性《Lv2》、調色《Lv4》、意思疎通(普通種)《/》


 スキル:採取《Lv5》、恐怖耐性《Lv4》、身軽《Lv6》、剣術《Lv7》、聴覚拡張《Lv6》、気配察知《Lv5》、投擲《Lv6》、集中《Lv7》、忍び足《LV5》、脚力強化《Lv6》、心肺強化《Lv4》、精神耐性《Lv1》、調合《Lv1》、《魔力操作Lv6》、《水属性魔法Lv6》、《危険察知Lv3》、《氷属性魔法Lv5》、《風属性魔法Lv5》、麻痺耐性《Lv2》


 称号:女神リリエンデールの寵愛 女神リリエンデールの使徒


 装備:シザーケース、月刀×2、黒錘×2、黒夜叉の胸当て、黒曜の籠手、黒夜叉の籠手、黒夜叉の脛当×2、シガー


 ==



「……やっぱり付いてる」


「ええ、そうね。しっかり付いているでしょ? やっぱり文字にしてみると、ちょっぴり恥ずかしく感じるのかしら?」


どうしたの? ソーヤ君は、素直にもっと喜んでいいのよ、なんてリリエンデール様は言っているが、僕の目はその隣の文字にもくぎ付けだったりする。


「……しっかり付いてる。しかもなんか変なのまで付いてるし」


 ぼそっと呟いた言葉に、リリエンデール様が、


「何よ失礼ね、その言い方は。……変なの? どれどれ」


 と立ち上がって僕の横に移動し、ノートをのぞき込んできた。

 そして、


「あれっ……?」


 リリエンデール様が止まった。


「えっと、ソーヤ君……これ、何かしら?」


 ぎぎぎっと油の切れた機械のような動きでリリエンデール様が指さしたのは、ノートに書かれた『女神リリエンデールの使徒』部分。


「何って、僕が聞きたいんですけど、これはなんですか? 使徒ってどんな意味が?」


「……」


 僕は椅子に座っているので、自然と立っているリリエンデール様を見上げることになる。

 ノートを見下ろすリリエンデール様の表情は、眉間に皺が寄っていて何故だかとても苦しそうに見えた。


「使徒……使徒……」


「リリエンデール様? この使徒っていうのはいったい――」


「――ちょっとわからないわね。何か思い出せそうな気がするんだけど……なんだったかしら」


 僕の言葉を遮るように早口で言い、目を閉じて人差し指でこめかみの辺りをコツコツと指先で突き、奥に引っ込んでしまった記憶を呼び起こそうとでもしているのだろうか。

 うーん、と声を漏らしながら考え込んでいる。


「ダメね。思い出せない。どうしようかしら……なんだか大事なことのような気がするのだけれど……主神様に聞いてみるしかないかしら……でも怒られると嫌だから……」


 リリエンデール様は考え込むようにまた瞳を閉じて押し黙り、


「ちょっとロンちゃんの所へ行ってくるわね。ソーヤ君、とりあえず下に帰っていて。何かわかったら報告するから」


 そう言うなり、僕に人差し指を向けてくるくるーと回した。


「ちょっとリリエンデール様!?」


 慌てて名前を呼ぶ僕に、リリエンデール様が口を動かした。


 その顔は、とても悲しそうに見えて。


 何?

 聴こえない。

 働け! 聴覚拡張!!


 微かに聴こえたのは、


「ごめんなさいね」


 小さな呟きだけだった。




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