169.美容師~再び女神様の加護をもらう
ステータス部分の()内の数字は、ステータスが上がる前のものです。
リリエンデール様の説明はあっちに行ったりこっちに行ったり、話の内容が前後どころか左右にも移動してわかりづらく時間がかかるので、いつものように端的に纏めるとこう。
どうやら僕は女神リリエンデール様の加護を貰ったらしい。
とはいっても、元々この世界で暮らすように調整してもらった際に、サービスとしてすでに加護は貰っていた。
今回貰ったのは、そのまた上の加護。
所謂、一段階上の加護だ。
わかりやすく言えば、最初に貰った加護は『女神リリエンデールが関わった相手ですよー。何かあれば手助けくらいするかもしれませんよー。ステータスも増やしてあげるので、頑張って下さいねー』みたいなものらしい。
付随して、才能を司る女神からの加護なので、才能に関係するスキルの取得率はUPするみたい。
元々日本からこちらの世界に移動してきた際に、日本で生活してきた時に得ている経験値を才能として返還していることと二重のプラス効果があるので、現在の僕のステータスに表示されているように、この世界で暮らす一般の人よりもスキルの数とレベルが反則気味になっているのだ。
で、今回貰った加護は初回の加護よりも上位に値する加護で『女神リリエンデールの関係者ですよー。割と気にしているので、たまに見ています。ステータスももう少し増やしてあげるのでもっと頑張って下さいねー』的なものらしい。
以上、リリエンデール様からの説明をわかりやすく纏めたモノでした。
「ふむふむ、やっぱりそうね。
軒並み頭打ちになっているみたいだし、ちょうどよかったかもしれないわね。これでいいはずだわ」
ステータスの表示されたノートを開き、上から眺めながら一人納得し頷いている。
僕も顔を寄せて横から失礼させてもらい、改めて自分のステータスを確認する。
どれどれ、どの位変化があるのだろうか……
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名前 ソーヤ・オリガミ
種族 人間 男
年齢 26歳
職業:魔法使い
レベル:2
HP:40/40 (←30)
MP:40/40 (←30)
筋力:26 (←18)
体力:26 (←18)
魔力:28 (←20)
器用:52 (←36)
俊敏:29 (←20)
テクニカルスキル:シザー7 3000/???
《Lv1》カット
《Lv2》チョップカット
ユニークスキル:言語翻訳《/》、回転《Lv5》、観察《Lv5》、好奇心耐性《Lv2》、調色《Lv3》
スキル:採取《Lv4》、恐怖耐性《Lv4》、身軽《Lv2》、剣術《Lv3》、聴覚拡張《Lv4》、気配察知《Lv3》、投擲《Lv3》、集中《Lv5》、忍び足《LV3》、脚力強化《Lv3》、心肺強化《Lv2》、精神耐性《Lv1》、調合《Lv1》、《魔力操作Lv2》、《水属性魔法Lv3》
称号:女神リリエンデールの加護+1
装備:カットソー、ジーンズ、シザーケース、腕時計、壊れた革の防具一式、黒曜の籠手
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うわっ……ステータスの数値が一気に上がっている。
えーと、まずHPとMPが+10ずつ上がったのか。
筋力と体力が+8、魔力も+8で俊敏が+9で器用が+16か。
器用値だけ上がり幅が大きい。
確かレベルが2になった時に、どちらも10ずつ増えていたから1レベル分上がったということか?
でも他の数値はレベルアップした時にそれぞれ2増えて、器用値が4だったから……だとすると、数値的には4レベル上がったのと同じ?
いや、だとすると俊敏が+9で計算が合わないし、本来ならここも+8のはずだ。
一体どういう基準で増えたのだろう。
確か、最初に加護を貰った時は元のステータスの2倍にしてもらったはずで、レベルが2に上がった時に増えた数字があって……。
ノートのページをめくり、初期ステータスと見比べてみた。
ここがこうだから、あそこがこうで、と頭の中で計算しているとリリエンデール様が僕の努力を無駄にするかのように簡単に答えをくれた。
「初期ステータスの3倍になっているはずよ。そこにレベルアップ分が足されたのが今の数値ね。
HPとMPは低いままだけど、その分他が増えたし、これでそこそこレベルが上がったのと同じくらいの数値になるはずだから、不意の攻撃を喰らったとしても一撃死の可能性は減らせるんじゃない?
もちろん高ランクの魔物相手にはまだまだ不十分だから、レベルが低いうちは今まで通り気をつけるのよ」
そうか、あくまでも初期ステータスの値に対する3倍なわけで、今現在の数値に対する3倍ではないということか。
高レベルで3倍となれば一気に3桁も夢ではないのだろうけど、そこまで望むのは無理ということだ。
今はこれでも十分だし、ありがたく受け取っておくとしよう。
「ありがとうございます。十分過ぎるほど助かりました。なんとか頑張って、死なないように努力します」
「いいのよ。わたしからのほんの気持ちなのだから、気にしないで受け取ってちょうだい。
あと、ソーヤ君は気付いていないと思うけれど、わたしが与えた加護はステータスの恩恵だけではないのよ?」
「そうなのですか? 他に何が?」
「それはね、スキルの取得に関することよ。今のソーヤ君のスキルレベルは一番高くても5で止まっているでしょ? 一般的にスキルレベルは1~2で初級と呼ばれ『なんだか使いやすいなー程度』、3~5で中級と呼ばれ『自分の思う通りに使いこなせるレベル』、6~8で上級と呼ばれ『ほぼ体の一部のように無意識の内に使いこなす。所謂、達人クラスね』、9から上は人外と言われていて詳しい説明は無理ね。
ソーヤ君ならいつかはその頂きに到達できる日が来るかもしれないから、その時に実感してみたらいいんじゃない? あっ、もしそうなったら使い心地は教えてほしいわ」
はたして僕が本当にそこまでのスキルレベルを取得できるかどうかはわからないが、新しいスキルを獲得しやすくなるのには興味があるし、スキルレベルが上がりやすくなるのも嬉しい。
昔は頻繁に聴こえていたあの音が最近は訪れなくて少しさびしい気持ちになっていたのもあるし、今後に期待しよう。
「リリエンデール様、色々とありがとうございました。スキルについては何か発見があれば都度ご報告するようにします。
僕からの用事は特にありませんので、下に戻して頂いて大丈夫です」
「うん、宜しく頼むわね。なら、下に送るわよ」
そう言って指先を向けてきたリリエンデール様が、何かに気がついたのか首を傾げて目を細める。
その視線は、僕の腰の付近……シザーケースの辺りだ。
お読みいただきありがとうございます。
あと1話で女神様パートが終わります。




