表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/6

第六章 現在(いま) -Flood―


いつものように 青く

いつものように 高く

あるはずの空は 無くなった


低く 薄暗く 垂れ込める雲

降る雨は 毒の雨

鉄すら溶かす 雨

舞うのは 雪のような 灰


空が崩れる

風が止まる

在り続けると

理由(わけ)もなく 思ったものが

音もなく 消えていく


広がる焦土

黒い大地

吹き抜ける 乾いた風すら

やって来ない


ぼくの目指したあの人は

静かに問うた

「これが君の望んだ世界なのか?」


ちがう ちがう ちがう

これはぼくの求めた コタエじゃない

何を間違えた?

守りたかった命 守れなかった命


あの時 手が離れなければ・・・

信じるといったのは ぼくなのに


このままだと

あの 愚かな者と同じ

そう きっと ぼくも


止め方のわからない

溢れ出す 心の洪水

ただ流されていくだけ


その時 今までと違う雨が降った

川の 池の 海の(かさ)が 増していく

ぼくの 髪を 服を 頬を たたき濡らす

もろい器 ギリギリまで

入った水は―


突然水があふれた

誰も追いつけない速さで

暴れだす

ただ流されるまま


けど 頭の奥で よみがえる声

(生きろ)

そう ぼくは生きなきゃいけない

この水から 洪水から

戻らなければ 伝えなければ


ぼくは (生きろ)

生きる (伝えて)





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ