9 武器作ってみたよ~
アドバイスをもらったので、6話の精霊のコインについて説明を加え、また金貨や銀貨ではなく精霊のコインに統一しました。
あとアイテムボックスについてもここでは作成したわけじゃないことにしましたが、話的には大して内容は変わっておりません。
なのでここの話もアイテムボックスだったところはポーチに、風の銀貨は風のコインにしてあります@w@
よろしくお願いします。
歩き出すと、思ったらアレンさんがいきなり止まる。何こいつ? KYなのかな?
「いや桜殿、魔石の回収はしないのか?」
「魔石? あんなズタボロになっちゃっても回収出来るの?」
あんだけグチャグチャになっても…… しかもその後、浄化の炎で燃やしちゃったし。
「多分魔石は残ってるはず、少々時間を頂ければ回収してくるが」
「じゃあお願いできる? あ、じゃあちょっと折れた剣を貸して」
「ふむ、まぁいいが何するんだ?」
「まぁちょっと出来るか分からないけど暇つぶしに」
何か回収してる間、暇そうだしね。
私が下手に魔石を触って台無しにしても嫌だしね。
折れた剣てか、もはや持つ場所しかないね…… 何か他に手頃なものないかなぁ?
『素材探索』
あ! あのポツポツ光ってるのが素材になるものかな?
いまいちイメージできなかったからしょうがないけど手当たりしだいにアイテム鑑定するよりかは、ましよね。
ジャイアントゴブリンの骨
武器や防具の素材になる。
非常に固く火属性に対する耐性もある
レア度 2
なんかこればっかだね。
火に対する耐性のおかげなのかな?
浄化の炎て別に火属性の魔法じゃない気がするけど…… むしろ光だと思う。
まぁいいか。じゃあこの骨と折れた剣と風のコインでいいよね。
まだアレンの方を見ると、時間が掛かりそうだ。
魔石あるならひとつもらってこようかな?
まぁでも失敗したら恥ずかしいしこれだけでいっか。
こんな場所でやることだし、魔方陣から書こうかな。
女神様からもらった知識にあるしね。
風の杖の先っぽに、魔力を通しながら地面に書いていく。
「ふむ、こんなもんね」
どうやら魔法陣は成功してるみたいだ。
地面に書き終わった途端光り出した。
いやぁ~我ながら自分の才能が怖いね。まぁ失敗してもアレンの剣だしね。
もともと壊れてるし。
魔法陣の中心に素材を置き魔力を通す。
剣のイメージ…… 特に無いけど…… まぁいっか。
魔力を魔法陣に通し続けていると素材が光り出す。
魔力を通し続けてると、光が収まる。
ゴブリンソード
ジャイアントゴブリンの骨を主材料にしたショートソード
魔力をもともと持たないジャイアントゴブリンに精霊のコインで風の魔力を付与させた。
元々の硬さに風の魔力によって斬れ味も増加させている
レア度 3
ふむ、特別武器作成に向いてる場所じゃないと思うけどちゃんと出来てるね。
アレンは…… こっちに来ている、もう終わったのかな?
「一応魔石のほうは回収できた、ほれこれだ」
「へ~なにくれるの?」
「元々桜殿が倒した魔物だし、神聖魔法のエキスの件もあるから」
「あのさぁ、そのエキスてのアレンさんが言うと、エロく聞こえるからやめて欲しいな、あと剣直しておいたから」
へぇ~これが魔石かぁ。
綺麗だなぁ。宝石みたい。大きさや色が違うみたい。
話によれば、これをギルドにもっていくと買い取ってくれるみたい。
アレンさんは剣を見てなんだかテンションあげてる。
ほりゃただの鉄の塊から一応剣にしたからね。
「アレンさん、ではそろそろ村まで連れていってもらえます?」
「桜殿! ほんとにこんな高価な魔剣をもらっても良いのか!」
「はぃ? 魔剣て…… アレンさんてつくづく魔女やら魔剣やら、なんでも『魔』てつけたらいいと思ってる人なんですね」
自然とため息がでちゃう。そんなものに憧れる歳じゃないでしょ。
どう見たって35歳は超えていると思う。
筋肉隆々の肉体には若さを感じるが如何せん顔がね……
時にイケメン好きってわけじゃないけどせめて同世代とお付き合いはしたいもん。
下手したらお父さんと同じくらいだよね?
髪の毛はボサボサで、細い目に潰れた鼻。
浅黒い肌にぶ厚い唇。まぁちょっとエッチだけど性格はまぁ、悪い人じゃなさそうだけど。
「こんな高価なものまで頂いて、ではそろそろ村まで案内しよう」
「お願いします、ところでアレンさんてどんな人なんです? ギルドに所属してる方なんですか?」
「俺? 俺は今Eランク冒険者でDランクの試験を兼ねて調査依頼をしにきたけど言ってなかったけ?」
う~ん、この歳でEランクて普通なのかな?」
冒険者のランクがわからないから一概には言えないけど、あんまりぱっとしなさそう。
「30歳超えてEランクてどうなんです?」
「30歳? なんでそんなこと聞くかはわからないけど、あまり素質ないと思う。
普通Eランクは採集や採掘専門の兼業ハンターじゃないかな?
Dランクから一人前基準だ。」
「へぇ~じゃあアレンさんの腕は。やっぱりあんまりなんですね」
「俺? 俺はこう見えても『シーナの村』の神童と呼ばれていたけど……
事実16歳でDランク試験を受けてるし。もちろん桜殿には敵わぬが……」
「え? 16歳? 嘘でしょ! なんの呪いがかかってるの!」
『呪詛諸毒薬 所欲害身者 念彼観音力 還著於本人』
確かこれが呪い解く観音経よね。無駄に空手教室で習ったけどまさかこんなのとき役に立つなんて。
きっとこれで美男子が出てくるのね。ふっふっふ。
「さぁ! アレン! あなたの本当の姿をここに見せなさい!」
「な、何をしておる、桜殿? 俺は呪なぞ受けてないぞ?」
「えー!」
キョトンとしているアレンを見る限り嘘は、言ってなさそう。
異世界に来て一番ショックを受けたのが、アレンの歳だったなんて……
ようやく進み出した私の足取りは重いものになってしまった。