7 初おしゃべり~♪
今日も結局村まで行く決意ができず家の周りをパトロール。
パトロールといってもこの半年間、大した事は起きてない。
出てくる魔物も、ゴブリン系やブルーウルフの群れ、あとはヘルハウンドとかいう黒い犬くらい。
ジャイアントゴブリンとか最初襲われた時びっくりしたけどやっぱり大したことなかった。
さてと、風の精霊さんに頼んで今日も空から偵察でもするかな。
『スカイハイ』
この魔法は私を空に浮かせる精霊魔導。
自分の思った高さにいけて空を飛べるのはいいね。
ふむ…… いつもとあまり変わらないなぁ。
ん? いやあれって、人かも。
『千里眼』
光魔術で遠くの風景を脳に移す。
千里眼じゃない気がするけどイメージの問題でしょ♪
やっぱり人だね。あと大きいのはジャイアントゴブリンが数体いるかな?
なんか囲まれてるね…… まぁこの世界の人間はメチャ強いから放置でもいいけど……
ここはバシッと、加勢して話すきっかけを作っちゃお♪
確か女神様が…… 精霊魔導は使い勝手悪いって言ってたし、人の邪魔しちゃ嫌だから属性魔術を中心で戦えばいいよね。
いやぁ~半年ぶりの他人ドキドキするね。
『空間転移』
私は空間魔術を使い、ゴブリン達に囲まれている人達のそばに転移した。
「初めまして、桜といいますが何をされてるんですか?」
「な、ば、馬鹿な? どこから来た……」
え? なんかこの人怪我してない?
しかも結構重症。手足とかが欠損してるわけじゃないから回復薬かければいいのに。
なんで使わないんだろ?
節約してのかな? まぁ…… よく分からんけど助けて文句は言われないよね?
ゴブリンメイジが魔法を詠唱してるけどなんで無関心なんだろ?
普通撃たれる前に倒すでしょ?
『防御障壁』
まぁこれでとりあえずいいでしょ。雑魚はほっといて話聞きたいしね。
私のバリアこれまで破られたことないから、話聞いてから倒せばいいよね。
回復薬をアイテムボックスから取り出しながら、さっき意味不明なこと言ってた人を『チラ見』する。
アレン
桜より弱い
状態 瀕死・恐慌
う~ん、ほんとチラっとしか見えないよね。
一体なんでこんなに傷を負って恐怖することになったんだろ……
まさか! このゴブリンやジャイアントゴブリン以外にすっごい奴がいるのかな……
とりあえず回復させて話を聞かなきゃ。
「回復薬バシャバシャかけますがいいですね?」
「……」
あ…… 無視。さすがに半年ぶりに話しかけて無視されるのはきついね。
まぁいいや、かけちゃえ。
一通りかけ終えたよね。あとは……
『精神回復』
アレン
桜より弱い
状態 疑いの眼差し
なんだこいつ、何を疑ってんだろ。
まぁでもこれで話聞けるね。
「あのぉ~すいません、大丈夫でした?」
「あ、あぁ、だけどまだこんな魔物に囲まれてるんだ!もう俺達は終わりだ!」
「はぃ? 魔物って…… この周りにいるやつです?」
「当たり前だ! 見たら分かるだろ!」
ん~? この世界の人は野蛮人かなぁ?
魔法撃たれても、持ってる変な棒で叩いても、私の作ったバリア破かれてないじゃん。
そもそも私、魔法はすごいけど身体能力、貧弱なんでしょ?
このアレンって人は明らかな、脳筋キャラなんだから物理特化型だと思うんだけど……
持ってる剣がおかしいと思うんだよね。
剣?
剣の形した鉄の塊
魔力を一切宿ってない、むしろ魔力を使わずどうやってその形にしたのか疑問
レア度 0
ん~? これって剣なのかな?私の最初からあった服でもレア度1よ。
風と土の魔力で軽さと丈夫さが多少強化されてる、一般的な服て書いてたもんね。
レア度0て、そんなことあるのかな?剣の形した鉄の塊だよ?
そんな舐めた事しててピンチになっちゃたのかなぁ?
まぁ…… とりあえず周りを片付けるか。
「とりあえず、下がっておれ! 逃げ道くらいは作る!」
もぉ、アレン声おおきいなぁ。
私とあなた結構近い距離よ?
逃げ道作るって…… ん? もしかして今まで攻撃して逃がしたり最悪殺しちゃってたりしたけど、もしかして天然記念物的な、なにかだったのかな?
やばっ、私逮捕されちゃうのかな?
「時間はすココしか稼げない! その隙に逃げてくれ!」
「え? すここ? 少して事かな、それより私の転移魔法で……」
「ヌアァァァァァァ」
えぇ? 転移で逃げましょうて誘ったら話聞かず突っ込んでいっちゃた。
あのジャイアントゴブリンの所を抜けるのね。
私もあと追いかけて走ったほうがいいのかなぁ? 待て~。
ガッキーン
何か不快な音が聞こえたと思ったら、剣が折れた音ぽい。
しかもそのうえジャイアントゴブリンに殴られてこっちに飛んでくる。
こうやって怪我するのね。私ならあんなでかいのに殴られたら死んじゃうかも。
『防御障壁』
とりあえずバリア貼り直そ……。
ドMかなぁ?とりあえず回復薬かけよ。
「あの、大丈夫です?」
「うっ、かたじけない、武器も失ったしこれまでだ、せめて俺が囮になるからその隙に逃げてくれ」
「はぁ~、私足遅いので逃げれないですよ、それよりもこれ倒したらまずいのですか?」
「何を馬鹿なこと言っておる! 倒せるわけないだろ!」
「倒しても問題ないんですね……」
倒してもよさそうね。
う~ん、この魔物、魔法との相性が特別いいのかな?
それか、このアレンていう人がよっぽど弱いのかなぁ?
でもゴブリンが5だとしたら主婦で1500なんでしょ?
どう見てもここ、ジャイアントゴブリンやゴブリンメイジ入れても20匹もいないでしょ。
まぁいっか。
集中して複数の魔法を同時作成する。
『雷の槍』
『氷刃旋風』
『浄化の炎』
こんなもんでいいね。
私のバリアを中心に雷の槍を何本もだしそれを、氷の刃の竜巻の中に入れて周りを攻撃する。
グチャグチャになっちゃうけどどうせ剥ぎ取りできないしね。
さすがに半年も入れば、グロいのも大丈夫になる。
最後は浄化の炎で、一層してアンデット化の予防。
うん! 完璧だね。
辺に不快な血の臭いが漂う。
バリヤの外で動いてるものはいないね。
これで魔物はいなくなった。血の臭いも飛ばしとこ。
『消臭剤』
「アレンさん、これでもういい?」
「―貴様…… なんで俺の名前を知っておる?」
ん? なんで急に小声?しかも低いし。
何か演技スイッチ入っちゃたの?
あ! 鑑定って失礼なのかな。そりゃ怒るか。
知らなかったけど私が悪いね。
でもこの人にデリカシーとかあるの?
顔に似合わず繊細?
まぁ私が悪そうだし謝っておくかな。
「あ、ごめんなさい、中途半端な鑑定で名前はわかるんです」
「鑑定だと…… それにその金色の髪の毛、謎の魔法…… 貴様ーーーっ! 魔女だなーーーーっ!」
「はぃ?」