5 映画を観たよ~
妹の早苗をなんとか宥めなきゃ。
「サナ…… 最後になっちゃうかもだし楽しく過ごせれたら私嬉しいなぁ……」
「お姉ちゃん無理だよ……」
「もぉ! サナはいつも真面目だなぁ! お菓子食べるよ!」
何かこんな顔されてると、自分の不安よりもサナが笑顔になって欲しいて思っちゃうね。
私と違って強いから心配あんまり無いけどね。
「ところで、なんでお姉ちゃんそんな格好になってるの?」
「へ? なんかおかしい?」
「いや、金髪だし顔も…… 整形?」
いや、整形って! もっと姉を信じろ!
「整形なわけないでしょ! サナって結構天然だよね……」
「じゃあ…… なんでそんな風に変わってるの?」
「なんでって言われても…… きっと神様がおっちょこちょいなのかな?」
「は?」
は? って、サナちゃんこわっ。目が冷たっ。
お姉ちゃん悲しいわ。
「はぁ~そうせそうやってはぐらかせて」
「ごめんね、うまく説明できない」
「いいよ…… DVDみよっか」
「ぷっ、なんだ、サナも見たいんじゃん」
「もぉ! じゃあいい!」
なんか表情がコロコロ変わって和むなぁ。
なんでもっと生きてる間に沢山しゃべらなかったんだろ。
あ…… ダメダメ! 泣いちゃダメ。
「ごめんサナ、見よ♪」
「うん」
「お菓子これは私で、あっこれサナにあげる」
「グミって…… 私食べてるの見たことある?」
「無い、でも私グミ嫌い…… ☆」
「普通お姉ちゃんなら妹に美味しいの譲らない?」
「弱肉強食だよ! そんな弱いと生きていけないよ!」
「じゃあお姉ちゃんは死なないね!」
あ、こうゆうのなんて言うんだっけ?
藪蛇? とりあえず無視してDVDつけよ。
でもサナって意外と子供ぽいの好きだよね。
これなんか歌がめちゃ有名なやつよね?
根暗な氷の女王とリア充の妹の話だね。
「なんかお姉ちゃん、失礼なこと考えてる?」
「いやサナは可愛いねぇ~と思って」
「別にこれが一番見たいわけじゃないけどこれしかないならしょうがないでしょ!」
え? つんデレ?
まぁいいや、みよっか。
なんか2人でちゃんと映画見るのて、いつ以来だろ。
う~ん、私が中学の頃? それだとしても2、3年見てないか。
サナは私と違って成績も優秀で陸上も頑張ってたもんね。
何か邪魔しちゃいけないと思ったのが最初で、なんとなくよそよそしくなっちゃたかも。
何かこの映画も姉妹ですれ違っていくなぁ。
「サナ、なんかさぁ、よそよそしくなっちゃてごめんね」
「あ、うん、やっぱり避けられてた?」
「いや…… なんかサナの邪魔しちゃあ悪いかなって」
「邪魔なんて! 邪魔なんて…… 思うわけ無いじゃん」
「うん、ほんとにごめんね」
はぁ、今更後悔しても遅いのに。
いつも気づくのが遅い、真面目に考えるのを逃げてるからしょうがないよね。
映画がもうすぐ終わるのかな……
なんか映画が終わったらこの時間も終わる気がする。
「でも、サナは大丈夫だよ、頭もいいし陸上も頑張ってね」
「そんなこと出来たって私はお姉ちゃんみたいに好かれないし」
「え? お父さんもお母さんも自慢の娘ってよく言ってたよ? 友達も沢山いるじゃん」
「そんなこと無い気がする……」
「走ってる姿もかっこよかったよ! 危うく惚れるところだった」!
「そんなわけないじゃん、私なんて……」
えぇ? ここに来て新たなサナちゃん発見!
て! 私のバカ! もう時間少ないんだから!
真面目に向き合わなきゃ。
「少なくても私はサナのこと大好きだし自慢の妹だよ?」
「本当に? 私ずっと嫌われてると思ってた」
「そんなわけないでしょ!」
「何か安心した、お姉ちゃんとはこれでほんとにお別れなの?」
「うん…… 多分」
泣いちゃダメだと分かっていても涙が止まらない。
サナも泣いてる。結局最後は涙でお別れになっちゃった。
映画も最後は仲良くなったんだね。
なんかよかった。
もう時間があまりないね。
「じゃあサナ…… お母さん達によろしくね、走ってる姿本当にかっこよかったよ」
「もう終わりなの?」
「きっとそうだと思う……」
こんなに真剣にサナと向き合うなんてなかったなぁ。
もう会えないなんて悲しい。
「そんなに暗い顔しなーい! こうしてやる~」
「ちょ! お姉ちゃんやめて!」
サナの髪の毛をグシグししちゃう。
こっちの顔見られたら泣いてるのバレちゃうしね。
なんかサナの体薄くなってる、私の体もだ。
別れたくない、そう思うと自然と抱きしめてた。
「サナ、じゃあお互い頑張ろうね」
「やだ、おねえちゃんいないと無理」
「そんなこと言わないでよ…… 」
え? 体が消えちゃう。
普通こんな中途半端なところで終わる?
ちょっと、サービスしてよ!
「サナ、もっと話がし……」
あ、こんな中途半端なところで意識がまた……
気がつくと私の目に写ったのは、ぼやけた木の天井だった。
ぼやけてるのは涙のせいか……
最後にもう一度会ったのは失敗だったのかも。
余計悲しくなった。今は何も考えたくない。
私はもう一度眠りについた。