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時代遅れの女神様からの贈り物 改訂版  作者: 白ヤギ
1 ありゃ死んじゃったぽいね?
4/17

4 気がついたよ~

誰かが私を呼ぶ。

優しい懐かしい声だ。

お母さんかなぁ?


「桜、気がついた?」


ん? 何処だここ? 私の部屋?

あれ、やっぱりさっきの話は夢だったんだ。


「桜! ねぇ大丈夫?」

「あれ? 女神様じゃないですか?」


あれ? 夢じゃなかった? でもここ私の部屋だよね? 見渡すと懐かしい物ばかりだ。

妹と一緒に書いた柱の落書きまである。

集めてた漫画も、友達と少しづつ買っていった化粧品も全部本当にあった物だ。


「ごめんね、こっちのが落ち着くと思って、桜の記憶から抜き出したの」

「は、はぁありがとうございます……」

「まだ流石に早かったわね」

「どうなったんです?」

「新しい体の見た目が多少元の体から変化してるから、桜の魂が拒絶反応しちゃったの」


それで急に気持ち悪くなり、気を失ったんだ。なら女神様も、そんなに早く体を見せなくても。


「ごめんなさいね、そんな顔で睨まないで」

「い、いえ別に怒ってないですけど、なんか顔が少し変わっててびっくりしちゃいました」

「少し私の魂にひっぱられちゃったみたい。本当にごめんなさい」

「あの、よく分からないのですが女神様も髪の毛金色じゃ無いし、瞳の色も紅く無いですよね?」


顔は確かに、私の顔に女神様の顔が少し混じった様な不思議な顔だった。自分で言うのもなんだけど、綺麗すぎて思わず見惚れてしまった。

まぁ、その後すぐに気持ち悪さがこみあげて来て、気を失ったのだけれど。

でも髪の毛の色と瞳の色は女神様の色じゃなかった。

まさか私が無意識のうちに、憧れてたのかな。だとしたら結構恥ずかしいかも。


「髪の毛の色は、持ってる魔力に依存してるから金色なの。金色の髪の毛は、すっごく珍しいのよ。瞳の色も魔眼のせいね」

「あの、サラッと言ってますが全然分かりません」

「魔眼の方は、アイテム鑑定や相手の能力を見れる力のせいね。その程度の魔眼持ちは珍しく無いから気にし無いで」

「はぁ〜」

「髪の色は、例えば火属性が得意なら赤色になって、魔力の質や量が多ければ多いほど、色が濃くなるの」

「へぇ、金色は何属性なんです? まさか、お金?」

「金色は全ての属性を使えて、尚且つ魔力の質も量も優秀じゃないと出ない髪の色ね」


それって充分チートだよね? しかもみんなにバレちゃうよね。


「安心して桜、身体能力が元の世界とほぼ同じだから、むしろ鈍臭さで目立つかもね」

「それはそれで……」


もっとバランスよくしてくれたらいいのに。

すごいドジっ娘だったら恥ずかしすぎ。


なんかさっきより、自分が金髪紅眼なのが違和感無く受け入れてる。もう慣れたのかな?早くね?

私の部屋にある鏡でまじまじ見ても、気を失うことはない。

違和感や嫌悪感はあるけど最初と比べれば、全然マシだ。

自分の部屋だからかなぁ~。

落ち着く。このままここにいたくなっちゃうよ。


「桜、だんだん魂も体に馴染んできたみたいね」

「はぁ~なにせ初めてのことでよく分かりませんがそんな感じはあるかもです」

「気を失ったことを考えれば大進歩よ」


 まぁ、きっとそうなんだと思う。

自覚もあったしね、心読めるのかな?


「心は読めないわ」

「へぇ~…… 読んでんじゃん!」

「ふふふ、冗談はさておきそろそろ異世界へ旅立ってもらうわ」


 あ、そうだよね。

なんか不安だなぁ、女神様とのお別れもなんか悲しい。


「そんなに悲しまないで、たまには会いに行くわ」

「え? また会えるんですか? あとやっぱり心読めるんですね」

「厳密には読めてないけど、そこはなんでもいいわね。

 えぇ、また会えるから心配しないで」


 ううううぅぅぅ、怖いなぁ。

一人ぼっちになっちゃうのかぁ。


「もぉ、そんな不安そうにしないで、しょうがないわねぇ…… 特別に何か桜の願い事を叶えてあげるわ」

「え?」

「叶えれないものもあるけど、なんでもいいわよ。向こうでのお金でも新たな力でも」

「そ、そうですか」


 なにがいいんだろ。

もちろん生き返らしてくださいなんて言ったら、女神様を困らせちゃうし……


「じゃ、じゃあ最後に家族みんなでご飯を食べたいのですが……」

「全員はごめんなさい無理だわ、今の私の力だと一人が限界だわ。ごめんなさいね」

「い、いえこちらこそ無理言ってごめんなさい」

「だけどお金や力じゃなくていの?」

「はい、もういろいろもらってますし」


 だけど一人かぁ…… みんな大好きだし困る。

お父さんはもしかしたら車の運転で責任を感じてるかな?

旅行を計画したお母さんもかな。

でも一人だけなら…… 妹の『サナ』かなぁ。


「じゃあ、妹の早苗と会わせてもらいます?」

「分かったわじゃあ桜、幸せに生きてね」

「あ、はい、色々ありがとうございました」


 女神様居なくなっちゃた…… 

え? 私どうやって異世界に行けばいいんだろ。

テーブルの上にはお菓子と映画のDVDだ。

絶対心読んでるでしょ…… じゃなきゃ、サナ・・がみたいって言ってた映画があるわけ無いじゃん。

だけど消える前のあんなに悲しい顔を見たら、何も言えなくなっちゃう。

サナはどうやって現れるのかな?


 誰かが階段を登ってくる音がする。

私の家は古いのでところどころギィギィ不快な音がなる。

それも今となってはなんだか愛おしい。

この音はやっぱりサナだね。

ドアを開けて顔を出すと不安そうに階段を上ってくる、さながいた。


「サナ、こっちこっち」

「あ、お姉ちゃん…… なんか私ずっと暗い場所にいて光が見えたと思ったらこの部屋で……」

「もぉ、泣かないの!」

「お姉ちゃん、なんか旅行の帰りに事故に遭う夢を見て、それがすごいリアルでほんとに死んじゃったかと思ったの」

「サナやお母さん達はみんな無事よ」

「ん? お姉ちゃんは?」


 ありゃ、やっぱり気づくよね…… う~ん、本当のことは言えないし。


「アハハ、何か私だけ日頃の行いが悪いのかな? ダメっぽい」


 あ、ものすごいサナが怒ってる顔してる。

ふざけすぎたかな…… 軽い感じで行ったつもりなんだけど。


「なんでへらへらそんなこと言うの! いつも肝心なところでふざけてばっか!」 


やっぱりものすごい怒られた。

真面目になることが気恥ずかしなんて、情けないよね。

でもさぁ、真面目に考えちゃったら泣いちゃうよ……


「ごめんね、むしろ日頃の行いが良かったから最後こうしてしゃべれるのかな?」

「おねえちゃん……」

「もぅ、泣かないで、なんかここにサナの見たかった映画のDVDもお菓子もあるんだし」

「やだぁ、じゃあ私もずっとお姉ちゃんといる」

「そんなこと言わないでよ……」


 なんか女神様の前では泣きそうなのを励まされたけど、さなの前では逆になっちゃた。

女神様もこんなに困ったのかな?






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