2 説明を聞くよ~
私は転移されると思って目を瞑る。
む? なかなか変化無いなぁ。
うっすら目を開ける。
「桜、何をしてるの?」
「えと、転移に備えてましたけど……」
「あ、ごめん、魂が向こうの体に馴染むまで時間があるから、暫くここで勉強ね」
「あ、そうなんですか?」
もぅ、それならそれで先言って欲しいよね。神様チョット抜けてる気がする。転移といえば定番だけどすっこい力が手に入るのかなぁ?魔法とかある世界みたいだし。
「あの、じゃあ質問有るんですけど良いです?」
「勿論よ」
「えと、転生する私って凄い能力とか有るんです?」
「う〜ん、桜の元いた世界からしたら凄いけど、この世界では中の上程度ね」
「あ、そうなんですね」
「えぇ、尤も経験を積めばもう少しは強くなるかもだけど」
なるほど、テッキリ頭3個くらい抜けてるか思ったけど結構普通だよね。それでも、中の上は結構凄いかも。
「ただ、桜は魔法特化みたいね……」
「え? 元いた世界では結構な空手少女でしたよ?」
「それは知ってるわ、でも身体能力が低いままだから」
「あ、そうなんですか」
こんな説明されても、強さの基準が分かんないしサッパリだね。
そもそも、地球にいた頃は強さなんてあんまり意味無かったしね。
可愛さとか、頭の良さとか、何より人間関係の構築の上手さが大切だった気がする。
「やっぱり強さはかなり必要な世界なんですか?」
「う〜ん、そうねぇ。あるに越したことはないわね」
「そうなんですね、あの…… 強いと言われても強さの実感がないのですけど……」
「ちょっといい」
そういうと神様は、私のおでこに手を当てた。
暖かい手だ、そう思った。何をされてるかわかんないけど安心する。
「なるほどね、桜の記憶を見せてもらったわ」
「は、はぁ」
「大雑把にだけど、桜のいた世界の、一般成人男性を1としたら、最も弱い『ゴブリン』と言われる魔物が5くらいの強さね」
「え、え~と、大人5人いたら倒せるって感じですか?」
「まぁ、そうね。桜の記憶にあった、このシールズていう人達は武器を持った状態なら10くらいね」
あ、なんか恥ずかしい。
妹と一緒に見た映画だ。なんかアメリカの兵隊さんが、タリバンが沢山のところから助かる、みたいな映画だったなぁ。
え? あんなに強くて10? あの映画での強さでも10しかないんだ……
だけど、いつもあんな映画ばっかり見てると思われたら困るよね。
野蛮人みたいじゃん……
「そうなんですね」
「ゴブリンの中には魔法を使えるゴブリンメイジというのもいるのだけど、それは15くらい」
「え! そんなに強いんですか?」
「強い? いえ弱いわよ。ちなみに向こうの人間は、普通の主婦が1500くらいで、騎士や冒険者と言われる人達は、桁が2個も3個も違うわよ」
「え…… てことは、私今、中の上てことは、それなりに強いってことです?」
「まぁそうね、でも大きな町に5人程度はいる強さ、ここから経験を積めば国に1人か2人程度にまでなる可能性はあるけど」
普通の主婦が、あんなに強い兵隊さんの150倍ておかしくないかな?
なら私も普通の主婦程度でいい気がする……
でもまだ分からないことだらけだし強いことに越したことはないかも。
「あ、あの他にも沢山分からない事があるのですが…… あの魔物って?」
「あぁ、桜の世界には居なかったものね。魔物は2種類いて、一つはもともといた生物に、魔法を使った際に出る魔力の淀みや人の悪意が取り付いたパターン。もう一つは、精霊の老廃物や死骸で出来る、魔石が元になってる魔物ね」
「は、はぁ」
「他にも違う場合もあるけどそんなところね。繁殖する魔物もいるけどね」
いやいやいやいや、「魔物ね」じゃないでしょ。
全然わからない。魔法を使うと魔力が淀むって……
私、魔法特化て言ってたから、私が魔法使う度に近くで魔物が産まれたらどうなっちゃうんだろ。
「桜個人の魔法でいきなり魔物が産まれるなんて事はないから安心してね」
「あ、そうなんだ」
「桜の場合は、特に魔力をロスする事無く魔法を発動するから、なおさら大丈夫」
「は、はぁ~」
魔力をロスしないと言われても実感湧かないや。
「魔法はあっちの世界に転生したら何も考えなくても使えるわ」
「ホントですか?」
「本当よ、これが桜のステータスね」
そう言うと私の目の前にゲームのような画面がでてきた。
話の中で出てくる映画は『ローン・サ〇イバー』の、アメリカの兵隊をイメージしています。
たまたまテレビでやってたから強さの基準として出しました。
めちゃくちゃ強くてビックリでした。
実話なんてすごいです。