17 これがテンプレートかぁ
えーと、ここは…あ、新しいアポネシア様が用意してくれた家だね。確かにちっこい可愛いらしいお家だね。私がぐっすり寝てたベッドの横の机に手紙が一通置いてある。まぁ、流れ的に差出人はアポネシア様だよね。気になるけど先ずはクリーンと口の中にミニクリーンを使いさっぱりする。
特にこのミニクリーンは日本でいた頃の歯磨きよりさっぱりして寝起きや食後は欠かせないね。まぁ、私の魔法だから他の人はあんまり精度の高くない歯磨きで磨いてるみたいだけど、今度私も買ってみようかな。あいつ、歯磨きしてないぜて、噂たっても嫌だしね。
身支度を整えて一息ついてから気になる手紙を読む。
色々横道に逸れたり大変だったりプリンとポテチにハマってるなどどうでも良い話が大半を占めてた。
私に関する所を要約すると私はここ、ハーデルという街で親から引き継いだ家で暮らしている。両親は私が15になる少し前に他界、そこにトラウマになる様な理由はないらしい。この辺りは私が家族との別れに対して少なからずトラウマがあるから手紙にも物凄く気を遣われて書かれていた。
そして私はハーデルの冒険者ギルドでそつなく仕事をする新米冒険者て感じ、だけどやっぱり剥ぎ取りや採集採掘が壊滅的に下手くそなので討伐駆除依頼が中心で生活してる、魔物は討伐すると魔物の核となってる魔石から特殊な魔力が放出した後命を失う。その魔力をギルドガードが記録したくれるからよくあるテンプレの討伐証明証みたいな部位を持って来なくて良いのが救い。だけど本来は素材を販売した方が当然良いから他の人は素材も解体して持ってくるんだけどね。
と、私は少し変わり者な冒険者としてやってるみたい。
状況がわかった所で取り敢えずの持ち物を確認。取り敢えずこの世界に馴染んでいる着替えと、私が作った装備一式。後精霊のコインと自分で作った回復薬。うんうん、取り敢えず問題は無さそうね。
後は持ち前の美貌と軽快なトークでイチコロね……うそ!アポネシア様だからまたうっかりがあるかもだしね、私もそんなに頭も良くないし。アレンみたいなただの変態だったらまだ良いけど。
取り敢えずこうしてても始まらないしギルドへ行こうかな。アレンは確か16歳でEランクでDランクの試験を受けるとかなんとか言ってたよね。エッチだと持て囃される集団なのかな?私のギルドガードを見るとF。Gが始まりでF、まぁ良いのかな?今は18歳だけど私の場合めちゃくちゃSにしたい訳じゃないしね、なれたら嬉しいなて感じだけど剥ぎ取りや採掘採集が出来ないなんてね。たまたま魔法でバラバラになったのはアレンのゴブリンの剣を作った時みたいに出来るけどあれは私の魔法でアイテム作成してるから良いけどあんだけ汚い状態の素材は今の水準だと使えないってアポネシア様の手紙に書いてあったしね、もっと丁寧に解体しないとダメだって。
ギルドに着くと会釈程度に挨拶される人がいた、なんか私は知らないのに向こうは知ってるて、不思議な気分。手紙には個人的に仲良くしてる人はいないって書いてあったから私も会釈する程度に返しておいた。ただ、やっぱりチラホラ私の事を見てるのは……惚れられるてるのかも、照れるな。
私の場合は個別な依頼ではなく常時依頼しかこなせるのはなさそうかな?うーん、あれ?オーク5匹討伐。ふむふむ、これにしようかな?ついでにゴブリンやスライムも倒せば数日働かなくても良さそうだし。
「お、さーくーら、今日もゴブリンか?ハーデルのゴブリンを絶滅してくれるなよ、お前の仕事なくなっちゃうよ」
「ちょ、辞めてあげて下さいよ、ゴブリンで精一杯なのにE級のハンマさんの圧かけたらちびっちゃいますよ」
「……」
うーん、なんというかテンプレート?太っちょの気持ち悪いニヤニヤ男とほっそいイヤラシイ目つきをした男と小さいフードを被って無口の男がニヤニヤ話しかけてきてる。気持ち悪っ。多分私がゴブリンとかばっか倒してるから嫌味を言ってるんだろうな、めんどくさ。1人無口だけど同罪だよね。
「鉄の重し」
「なっ、なんだこれ、重い」
「おい!お前何かやっただろ」
「重い…」
取り敢えずギルドの床にめり込んでる3人を残して私はオークを倒す為ハーデルの森へ向かう事にした。
「おい!櫻、今なら許してやるぞ!」
「今ならハンマさんが許してくれるって言ってるから早くこれを取れ」
「重い……」
なんか聞こえるけど他の人達がなんとかしてくれるでしょ。