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時代遅れの女神様からの贈り物 改訂版  作者: 白ヤギ
2 ありゃ、異世界にきっちゃたかも
13/17

13 ん? あれは無理でしょ?

前回の話と10話に、サラさんが桜の金色の髪の毛についての一文を加えました。

 何だよこれ。

桜さんは確かに転移する前に、あの魔物の大群なんて、比べ物にならないと言っていた。

それでもこんな化け物がいるなんて。

体の奥底から震えが止まらない。

足に力が入らず今にも座り込みそうだ。

桜さんが、繋いだ手を力強く握ってくれる。

それが唯一立ててる理由。

もしかしたら桜さんならあの龍を倒せるのかもしれない。そんな希望を信じて。


 桜達の目の前にいるのは、四大元素の象徴と言われてた一つ、風の龍『ヴェルシナ』が風の山に棲みつき約600年。

 次第に信仰心は忘れられ、精霊魔法も使われる事も少なくなり、徐々に魔力の淀みに蝕まれ邪龍にまで身を落としてしまった、悲しい神龍の成れの果て。

純白だった鱗は黒く染まり、蒼く澄んだ瞳は見る影無く、憎悪の紅い光を浮かべる。

ヴェルシナの通った後は、体を覆う瘴気で汚染され生き物の反応は無い。

夕日を背に、ヴェルシナは吼える。


『空間遮断』


「アレン、そこなら安全だから」


 う~ん、これ無理じゃね?

アレンの方は、空間遮断したからあいつの攻撃が届く事も無さそうだけど……


ヴェルシナ


桜より少し強い

状態 邪龍化


 私より少し強いて、出てるしね。

邪龍化てなんだろ?

あんなデカイし、翼なんか4枚もあるよ?

頭の角もとんがってるし……まだ、まん丸の角だったら優しそうでいいんじゃないかな?

あの目、めちゃくちゃ怒ってるし……


「GYAAAAAAAAO」


 え?なにあれ?

吠えると同時にブレス?


『防御障壁(バリア)』


 んぐぅ、保たない。

アレンが何かか叫んでるけど、実際ここと違う空間にいるから、声は届かないよ。

あれ? 私がもし死んじゃったら、アレンもやばくね?

尚更死ぬわけにはいかないね。


『空間転移(テレポート)』


 ふぅ~、一応逃げれたけど、私がいた場所ヤバイね。地面消滅してんじゃん。

ただ、思ったより飛べなかったのは、アレンで空間魔法使ってるからかな?

あんまり、転移を頼るのは危ないかも。

やっぱり倒せっこ無い気がする……そもそも何で私、親切にこいつ倒そうかしてるんだろ。

まぁ、やれるところまでは頑張ろう。


 風の杖を取り出し、一度深呼吸をし呼吸を整える。


 なんか風の精霊さんは、あっちに全部取られてるぽいね。転移も心許ない。

風の魔法が使えないと私は速く動けない。

だって風以外で早く動くイメージ出来ないもん。

まぁどっちみち、攻撃あるのみね。

あんなデカブツには、こっちもでっかい魔法撃たなきゃ。


『星の記憶・読み込み(スターメモリーリーディング)』

『属性変更(アトリビュートチェンジ)』

『七色の柱(レインボーピラー)』


 桜はまず、この地で使われた魔法の記憶を呼び起こす。

無数の魔法陣が桜を中心に多数現れる。

風の聖地である事から、圧倒的に風の魔法陣が多い。

属性を変更して有効な属性を探す。

魔法陣は、使用する者の癖や思考によって様々な形を表す。

属性を変更する際、現れた全ての魔法陣を桜好みに変更修正されていく。

そうして、成形され完成した魔法陣から、7つの属性の柱がヴェルシナを貫く。


 アレンは、閉ざされた空間の中から桜を見る。

魔法の知識が疎いアレンでもさすがに異常性に気がつく。


 なんで、桜さんは準備もせず、あんなに精巧で巨大な魔法陣をかけたんだ?

ばあちゃんが、どれだけ準備しても精々あれの半分にも満たない大きさのを一つ作るので精一杯の筈なのに。

それを一瞬で10個以上も? スゲェ。

属性も最低7つ使えている。

これっておかしいんじゃないのかな?

きっと桜さんは名前を残す冒険者になる。

今俺にかけてくれてる魔法だって、きっとすごい魔法の筈だ。

桜さんなら、あんなやつきっと倒せる。


 桜の魔法を喰らい、苦しそうに叫ぶヴェルシナ。

翼は傷付き、腹や足からは赤い血が吹き出る。

それでも、貫かれた傷口はみるみる塞がっていく。

治りの遅い翼以外血の汚れを拭き取れば魔法で貫かれたのが嘘の様だ。


 あり? 思ったより効いて無いね……

う~ん、何でだろ? 体貫いたよ?

そもそもこんな立派な龍をもし殺せたとしても、龍人族て人に怒られないのかなぁ?

分かんないし、精霊さんに聞いてみよ。光のコイン沢山あったよね?

これを錬成で精霊に戻せばいいよね? なんか、掛け声要るかな?


「いでよ! 光の精霊、白子ちゃん」


 本来なら光の精霊は、青白く発光するウィル・オ・ウィプス。

そんな知識の無い桜がイメージしたのは、まるで花の妖精。

ほのかに光る白い花の中に、優しく微笑む少女が座る。

元々精霊のコインに、精霊に戻る力なんて存在しない。

あくまで精霊のコインは、過剰な魔力が老廃物の様になり、それが固体化された物。

それを精霊に祈りを捧げる事により、精霊は過剰な魔力を捨てれて、術者は素材になるコインをもらう。

ただ、それだけの話。

 

 桜の中では、固体がコイン、液体が魔力、気体が精霊だと思ってる為、桜は都合よく世界を書き換える(・・・・・・・)。

それがどれだけ異常な事とも知らずに。

それがどれだけ危険な事だと気がつかずに。

そんな事を知らない桜はヴェルシナの攻撃を、魔法で凌ぎながら呑気に精霊に質問する。


「白子ちゃん、出てきてもらっていきなりだけど質問してもいい?」

「大丈夫ですぅ、いつも魔法のご利用ありがとうですぅ~」


 なんか凄いのんびりしてる。

大丈夫なのかな? でも、精霊様だし色々知ってる筈だよね。


「えーと、あの龍倒しても大丈夫なのかな? 倒せる気はしないけど……その、龍人族てのに怒られないかな?」

「大丈夫ですぅ、むしろ感謝されるですぅ」

「え? 感謝?」

「そうですぅ、邪龍に堕ちた龍を倒さないと新しい龍が産まれないですぅ」

「あ、そうなんだ」


  産まれなくても、私的には良いんだけど。でも倒しても良いんだね。


「あと、あいつ攻撃しても全部すぐ治っちゃうよ? なんでかなぁ?」

「それは桜が魔法で攻撃してるからですぅ、邪龍化してしまったら瘴気が強制的に治しちゃいますぅ

 常識ですぅ」


 常識なんですか? 初耳ですよ。

だけどそんな事を言ったって、魔法しかないんだけど……


『極大石の槍(ビッグストーンランス)』


 これはどうかな? 本物の岩を槍にした物。これなら大丈夫?

あ、ダメだ? 魔力通ってないとあいつの周りの靄(もや)みたいなのすら通らないんだ。


 桜が呆然としてる所に、ヴェルシナが、尾で無造作に地面を薙ぎ払う。

無数の岩を巻き込み強風を起こしながら桜に襲いかかる。

バリアを張るが破壊されそのまま桜に直撃する。

所詮は普通の女の子。

咄嗟に直撃する直前にバリアを何重にも張るが、恐怖でうまくイメージ出来なかった。

不完全のバリアでは衝撃を抑える事はできない。

バリア越しとはいえ、受けた衝撃が全身の骨を砕きながら桜を飛ばす。


 最初に出してた1つの魔法陣が光、桜を治す。


 あ~めちゃくちゃ痛い。

良かった、オートヒールの魔法陣作っといて。

でもきっと体が切断されたりしたら無理よね。あれ? これ私もう一度死ぬパターンじゃね?


 桜がどれだけの魔法を浴びせても、ヴェルシナは怯まない。無造作に繰り出される攻撃、それが掠るだけで瀕死になる桜。100の攻撃を与えても、自分が1回当たるだけで逆転される。

ヴェルシナも、無傷ではない。

桜に何度も破壊された翼は再生しても歪な形のまま。

硬い鱗も所々剥がされ、柔らかい表皮が見えている場所もある。

それでも致命傷を与えるほどではない。

 

 日は暮れ夜を深めて桜は疲れていく一方、疲労を感じさせないヴェルシナ。

このままだと、日が明ける頃には桜の魔力や体力が尽きることは明白だ。

 

「ねえ、白子ちゃん、これ無理よね? 逃げたらどうなるの?」

「このまま邪龍が進んで街などを壊しますぅ、最終的には龍人族や魔人族が倒すと思いますが、それまでは人族が死に続けますぅ」


 そーなんだ。

でもどんだけ魔法撃っても効かないし。

魔力どうこうよりも、疲労で倒れそうだ。

せめて、瘴気が消えて魔法が通ればまだいけるんだけど……

浄化の炎も効かなかったし……


「瘴気て消せないの?」

「角をへし折ってやれば消えますぅ、私が剣になるのでそれで折れば良いですぅ」


 白子ちゃんて、意外とへし折るとか言っちゃう子なんだね。

て、そんなの事よりも、問題は私が一切、剣を使えないって事ね。

剣だけじゃなく、ナイフも調理器具もありとあらゆる物の扱いが異常にダメになっちゃったんだよね。

誰か転移で呼んでくるしかないけど、誰を呼べば良いんだろ。


「白子ちゃん私、剣を全く使えないの、他に良い考えないかな?」

「桜が連れてきたあの子使えば良いですぅ、『勇者の種』持ちですぅ」

「え? アレンの事? 勇者の種?」

「勇者になれる資格ですぅ、桜はバカなのですぅ?」


 え? バカにされて、2度目よね? しかも説明それだけ?

私はアレンを見つめる。アレンの顔が赤くなっていく……

バカなのかな? 今、私が恋する乙女になってみつめるわけないでしょ。

本当に大丈夫なのだろうか……でもしょうがないよね。


「白子ちゃん頼むよ」

「は~い、まかせるですぅ

 あ、最後に精霊はみんな桜に感謝してるですぅ

 精霊魔法使ったりお祈りありがとうなのですぅ~」

「あ、こちらこそいつも助けられて……今回もまた」


 白子ちゃんが剣に姿を変える。

いつか前に日が落ちて暗くなったはずなのに、剣を中心に光りが広がる。

何か温かい気持ちになる光だ。


クラウ・ソラス


光の精霊が宿る剣。

闇に堕ちたものに打ち勝つ力を与える。

練成で作ったものなので、魔力が切れれば消える。


レア度 ー


 すごい! 白子ちゃんは。

あとは……問題は、実際斬るアレンよね。

アレンにもしもの事があったら私が殺したようなものだ。

だけどどうしようもない。事実あいつが野放しになったら結局みんな死んでしまうのだ。

でも、アレンに聞いて無理だと言われたら、また別の方法を探すしかないね……


なかなかうまく書けない@w@;

いつもの事ですが><

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