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時代遅れの女神様からの贈り物 改訂版  作者: 白ヤギ
1 ありゃ死んじゃったぽいね?
1/17

1 プロローグ

 人はいつか死ぬ。

『本城桜』は今日18歳になったばかりで、短い生涯を閉じた。


 女の子ながら家が空手道場ということもあり、高校生にあがり黒帯を取得していたが、それ以外はいたって普通の女の子。家族も両親と妹の4人家族で、本当にごくごく一般的な家族だ。

歳の離れた妹とは仲は良かったがそれも別に特別なほどではない。


 誕生日という事でささやかな家族旅行に行った。

高校に上がり、なんとなく恥ずかしがって家族旅行は断っていたが、来年から大学に行くために一人暮らしをして家族を離れる事もあり、久しぶりの家族旅行だった。

いつも3人で行ってた為か妹も私がいてうれしそうだった。

こんな事ならもっと一緒に行けば良かったなぁ~なんて暢気に思ってた。


 そんな私は帰り道、車線をはみ出した酔っぱらい運転のトラックによって、あっけなく人生の幕を下ろした。


 気が付けば真っ暗な部屋に、女性が一人。

なぜ真っ暗なのに女の人か分かるかというと、女自身がぼんやり光っているからだ。

さらに私が死ぬまでの映像が、テレビに映っている。

この女性は神様らしい。なんとなく納得だ。


「なるほど…… これが私の死ぬまでの映像なんですね」

「う~ん、まだ死んでないわよ」

「え! 生きてるんですか」


 私はホッとした。そりゃそうだよね。まだ18歳だもんね。

じゃあこれも夢かな? よくみたらこの神様もなんだか私に似てる気がするしね。


「死んでないというか…… 選んでもらうことになるわ」


 う~ん神様の割には歯切れ悪いなぁ~。


「え~と、何をです?」

「今桜の家族は4人とも死の淵にいるの」

「あ…… そーなんですね」

「その言いにくいんだけど……」

「なんです? はっきり言ってください」

「桜が生きるなら3人が死んで、3人が生きるなら桜は……」

「あちゃ~それはハードな選択だ」

「桜…… 」


 いやぁまいったね。これ私生きます! なんて言ったらめちゃ悪い奴じゃん。

普通そんな選択を悩むのはお父さんでしょ。

なんかこんな真面目な場面なのに、つい茶化しちゃう。

思えば空手の全国大会決勝でも、なんか真剣になれなかった。

やっぱり私みたいな性格じゃ、一番になれなかった。


 でもこんな時も真面目に考えれない。

でも普通の女子高生だよ。そんなの選べるわけないじゃん。

生きたいに決まってるじゃん! でも残りの人生3人を殺しちゃったなんて思って生きてくんでしょ? 

そんなの無理だよ…… 

神様もこんな事なら選択なんてさせないでよ。


「桜が後ろめたさ感じるなら、生きるとしてもこの記憶は消せるよ」

「それでも…… やっぱりいいです。3人に生きてもらいたいです」

「それでほんとにいいの?」

「いやぁ~まぁしょうがないですよ」


 神様は悲しそうな顔してるけど、そりゃこうなりますよ。

家族3人と自分1人、神様の前で自分だけでも生きたいです! とはなかなか言えないよ。


しかしこの真っ暗な部屋、暑くも寒くも無くなんかほんと不思議。

神様もなんでかほんわか光ってるし。

優しい光だねぇ〜。

しかし死ぬ人ってみんなこんな事されるのかな?

あ~でも今回は、選択しないといけないからかな?

分かんない。


「あの、神様?」

「なぁに?」

「えと、みんな死んだらここで神様に会うんですか?」

「あ~違うわ、私は長い事寝てたみたいだけど目が覚めたときちょうど桜が死んで魂が繋がっちゃたのよ」

「う~んと、そんなこと普通起こるんです?」

「起こらないわね」


 やっぱり、レアなパターンなんだね。


「とりあえず私は死ぬってことですよね?」

「まぁ3人が生きる事を選択したならそうなるわね」

「はぁ~そうですか、あのいろいろ気を遣ってもらってありがとうございました」

「気にしなくていいわ、それと桜、異世界に転生してみない?」

「転生…… ですか?」

「そぅ、地球とは全く違う、剣や魔法そして魔物がいる世界」


 転生、最近はよく小説にある展開だよね。

なんか()強い力をもらって、女の子にモテモテな人生を歩んでいくやつだ。

妹が好きだったなぁ~、まだ中学生のくせに、一丁前に小説読んでた。

お姉ちゃんお姉ちゃんて、よく小説の内容話に来てたなぁ。

それを私がなるってことか。

大丈夫か? 私バカだよ。

なんかポンプとか作れないよ? 料理も大して…… 

しかもお約束の剣と魔法の世界。


「あの、なんで私なんです? 特に何もできないですよ?」

「たまたま桜と魂が繋がったからよ、それに何かしなさい、て訳じゃ無いしね」

「ほんとですか?」

「えぇ」

 

 なんか話がうまい気がするなぁ……

あ! なんか神様だと思ったのが邪神で、封印を解く手助けをしちゃったての、妹から聞いたことある。

ハハーン、まさかこの神様も…… 


「あの、なんで長い事寝てたんですか? なんか悪い事したなんて事は…… ?」

「う〜ん、説明しづらいけど、確かに桜が言うように封印されたようなものね」


 やっぱり! あぶなっ! でも、なんか悲しそうな顔だ。


「あ、あの、なんで封印されたんです?」

「世界には複数の神がいたわ。人族の神、魔人族の神、龍人族の神、天人族の神の4柱ね」

「はぁ〜なんかついていけない」

「まぁとりあえず聞いて」


 神様は笑顔でそう言うが話半分も理解出来ない。


「えと、その人族以外はみんな悪い奴ですか?」

「う〜ん、どっちかといえば、人族のが悪い奴かも」

「え…… それじゃあやっぱり神様は悪い奴なんですか?」

「そんなに焦らないで、人族は力を持ち過ぎちゃったの。個人では弱くても、数で圧倒していったの」

「そーなんですね」

「力を持ち過ぎた人族は、他の種族の土地にまで侵略をし始めたの」

「うわぁ、どこでも同じですね」

「そうかもね…… それで三種族と人族の戦争が始まりそうになった時、それぞれの神々が私の所へきたの」


 う〜ん、なんかよく分からないのが、その世界では神様って、実在してるのかな? そもそも他種族てのは、普通に同じ場所に住んでるんだね。てっきり魔界とか、天上界とかではないんだね。


「それで、戦いが始まったんですか?」

「そう神話では伝わってるけど、私は自分の子達の愚かさに呆れ、他の神々の封印を受け入れたの」

「へぇ〜そうなんですね」

「元々私達の仲は悪く無かったしね」

「そ、そうなんですね」


複雑!


「じゃあなんで神様は目覚めたんです?」

「それはわからないわ」


 神様は首を横に振りながら続ける。


「目覚めた時には、桜と魂がリンクしてたの」

「そ、そうなんですね」

「元々桜の世界からも、昔はこっちに転生出来てたけど、今の力じゃ無理ね」

「む、難しすぎます。神様の力は今は完全じゃないのです?」

「そうね、今の私は何故か世界に干渉が出来なくなってる。桜を通せば多少干渉出来ると思うけど」


 なんだかんだで、私が転生したら神様もメリットがあるのね。私としては転生しないと死んじゃうから、する一択だけど。


「あの、転生の件は是非お願いしたいのですが……」

「そぅ助かるわ」


 そう言うと神様は優しく微笑んだ。


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