ロロ
XXXXと幼馴染だと、気付くことがある。
XXXXの周りにいたら、色気づいた女の子たちがあの手この手で嫌がらせをしてくる。といっても、彼女たちはXXXXと親しいわけじゃない。親しくないからこそ、親しくしている人物が気に食わない。それが同性であろうが異性であろうが関係なく、嫌がらせをしてしまう。
我が家は代々、XXXXと並んでも絵にならない容姿のせいか、僕も嫌がらせを受ける。
小説の中には、我が家のような平凡な容貌の者に物好きな美男美女が一目惚れする、という話があるものだが、現実では我が家に相応しい顔の持ち主と婚姻が繰り返され、我が家の顔面偏差値は変わることはない。
顔面偏差値が安定しているのはXXXXと同じだが、何故か涙が出てくる。哀しいわけじゃない。悲しいわけでもない。涙が出てくるなんて、気のせいだ。これは目から汗が出ているんだ・・・。
(5分ほど目を閉じて、天井を見上げる。ここは家の中だから。)
我が家とは逆に顔面偏差値の高いXXXXにはとんでもないジンクスがある。彼ら自身が種族特性と称しているものの一つがそうだ。
XXXXは痴情のもつれで殺されることが多い。
XXXXの壮年期までの死亡原因1位が交際相手に刺されるって、どうなってんの?
普通なら事故か病気か魔物ってところが、何故か交際相手による刺殺。
個人差はあるがXXXXはヒトと同じように、殺されてもおかしくない性格や、口の悪い人物もたまにいるという程度なのに、交際相手に刺されるのが、死因の第1位。
本当にどうなってんだか・・・。
ロロの叔父たちや兄弟たちもほとんどが交際相手に殺されたらしい。ジンクスだけでなく、叔父たちや兄弟たちの死で、ロロはますます恋愛願望も結婚願望も失ってしまった。
可哀相なロロ。
目の前にいるロロの頭が無性に撫でたくなる。
飲んでいたお茶をテーブルに置いて、席を立ち、ロロの側に行く。
ロロは椅子に座ってお茶を飲んでいるので、頭にも簡単に手が届いた。
彼の淡い黄褐色の髪を撫でる。
「どうした?」
「僕はロロが好きだよ。ロロは僕のことは好き?」
恥ずかしいが、重要なことだから訊かないといけない。
火を噴きそうなほど、顔が熱くなる。頬っぺたも赤くなっているかもしれない。
ロロは驚いたように目を見開いたが、次の瞬間、笑顔を浮かべる。
「俺もシャーリーのことは好きだよ」
「僕はこんな僕だけど、本当に?」
僕は僕でしかない。
平凡な顔と平凡な能力の平凡なヒト。
シャーリーと呼ばれたことよりも、平凡な自分がロロと一緒にいることに自信が持てなくなる。
後ろからロロの首に抱き付いて、不安で小さくなった声で言う。
「じゃあ、気持ちは変わらない?」
ロロが僕のほうを振り向こうとするので、ロロの首に回している腕を緩める。
ロロは右手で僕の左腕を掴み、引っ張った。僕はロロに倒れこんだが、くるりと回転し、何故かロロの腕の中にいた。
そして、勘違いでなければ、彼の膝の上に座っている・・・。
「明日、式の時に会おう。シャーリー」
ロロは軽く、唇にキスする。
恥ずかしさのあまり、一瞬、頭が真っ白になるが、またシャーリーって呼ばれたことに気付いた。
さっき注意しなかったからって。
「あっ、シャーリーって呼ぶのはやめて!シャルルお祖父ちゃんみたいだから。ロッティって呼んでよ!」
僕は学園に行くようになってから、シャルルお祖父ちゃんの親友のロロ小父さんをロロと呼ぶようになった。そうかわらない年齢に見えるロロを小父さん呼ばわりするのが、不自然な気がするから(父も叔父叔母も、ロロと呼ぶし)。
「シャーリーのほうが良いと思うんだがなあ」
「嫌だよ。ロッティのほうが良い」
優しい笑顔でロロが笑う。
ロロが笑うと僕も嬉しくて、笑顔になる。
前略
シャルルお祖父ちゃん(本当は曾お祖父ちゃんだけど)
僕がロロを幸せにするから、安心してね。
曾孫のシャルロッテより
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
本編内では語られていませんが、シャーリーはXXXX達が自覚していない種族特性に気付いていたり、実は結構大物です。書き終わってみると、シャーリー、凄すぎるんですけど・・・。
シャーリー>|越えられない壁|ロロ
そして、ロロは6時間ほど前にいきなり、シャーリーとの友情エンドから変更になりました。