俺と幼馴染1
わかり辛かったので、「シャーリーと幼馴染」を追加しました
平日の朝、自宅―――
「おはよう、ロロ」
朝食を摂り終えた俺はよく知る声のした方を見ると、玄関の扉を開けた馴染みの顔が見えた。
馴染みも馴染み、幼馴染。
「オッス、シャーリー」
俺は片手を上げて挨拶する。
このいつもの風景は、学校に行くようになる前から始まった。
小学校に行くようになる前までは、遊びに来るか、遊びに誘いに来た時。学校に行くようになった後では一緒に登校するか、休日を共に過ごす為。
俺は席を立ち、足元に置いた鞄を手に、シャーリーに歩み寄る。
「宿題はちゃんと持ってるか?」
俺がからかうと、シャーリーは晴れ晴れとした笑顔になる。
「モチロン。昨日、一緒に勉強した傑作を忘れたりしないよ。ロロがいなかったら、僕はまともに宿題ができないからね」
ソレは笑顔で言う事じゃない。
「居眠りなんかしないで、ちゃんと授業を受けていたら宿題できるはずだぞ?」
「無理無理無理無理。起きていられない。先生が何言っているか、サッパリ分からない。入試もそうだけど、定期テストもロロがヤマを張って、教えてくれているから学園にいられるだけだし」
シャーリーは良い笑顔で言う。
だから、ソレは笑顔で言う事じゃない。
シャーリーと俺は学園という高等教育の機関に通っている。学園は高等教育機関だけに、学力か財力が高くなくては、通う事ができない。
幸い、俺はXXXXなので、種族特性として知能が高い。だから、ヒトの教育機関で受ける勉強は簡単すぎて、通うメリットはない。ヒトの国に住んでいるから、それなりの職業に就くために通っているだけである。
卒業証書目当てという、XXXXらしい理由だ。
「宿題はいつもやってるから、な。入試はともかく、テストは実力があるっていう証拠じゃないか」
「宿題でやったとこは、3日で忘れる」
ドヤ顔でシャーリーは言い切った。
ドヤ顔で言う事でもない。
「何のかんの言って、5年も頑張って、あと1年で卒業じゃないか」
「スウィートセブンティーンだから、何が起きてもおかしくない♪ロロ、甘やかして☆」
「おいおい。幼馴染枠で充分、甘やかしてるぞ」
「親友枠の分も追加して☆」
シャーリーのウィンクを俺は避けた。
「俺は親友を甘やかさない事にしている」
シャーリーは眉を寄せた情けない顔をした。
「じゃあ、僕は親友じゃないって言うの?」
「親友とは対等でいたいんだよ。甘やかし欲しいのなら、幼馴染枠で我慢しておいてくれ」
「ケチ」
ふてくされた顔は学園に上がる前の子供以外しないで欲しい。イラッと来る。
つい、声も言葉も荒れる。
「ケチで結構」
「ケチなロロに質問です。ロロは宿題忘れてない?」
相変わらずシャーリーの切り替えは早い。
「大丈夫。ちゃんと昨日のうちに鞄に入れてある」
シャーリーは可哀想なものを見るような目で俺を見てくる。
何故、そんな目で俺を見るんだ?
「ロロ・・・。一度、確かめたほうが良いよ」
「ああ」
俺は鞄を開けて、宿題を探したが・・・なかった。
鞄の中は混沌としていた。
こんなところに宿題はおろか、筆記用具が入っているはずがない。
「・・・ない」
「うん。その鞄、昨日、持っていた鞄と違うからね」
「俺の鞄だとばかり思っていたが、コレ、誰の鞄だ?!」
「小父さんの鞄じゃないの?」
「中を這っているのは・・・」
「入っているんじゃなくて、這ってるの?!ナニそれ?!怖いんですけど?!」
驚くシャーリーに鞄の中を見せる。
「確かに這ってる・・・。これ、ナニ?」
「親父の(勤める)研究所で研究されている魔物?じゃないかな」
鞄の中を這っているものが何なのか知りたくない。
俺も研究所で働くようになれば、知る事になるんだろうか?
XXXXだからって、研究所で働かなくてはいけないという訳でもない。学園や初等教育機関で働いたり、魔術師としての勤務先は多々ある。ギルドに加盟して、魔物と戦ったり、危険な地域に出かける事もできる。コレも全て、ヒト以上の魔力を持つXXXXだからできること。
「ちょっと、この鞄、親父に渡してくる」
「わかった」