ダーザ・オーサムというショタキャラ13
そしてそうなってからのオージンの行動は素早かった。
自らが恋をしていることを公言し、相手が私、ルクレアであるとさりげなく示唆した。
噂はどんどん広まっていき、いつの間にか、私がオージンの想い人であると囁かれるようになったという。
…おい。全然しらんかったぞ。んな話。
もしかして、トリエットの言葉ってそのせいでか?相手オージンだと思っていたのか?
迷惑、この上ない…取りあえず、もしこれが原因でオージンファンにいじめられたりなんかしたら、絶対莫大な慰謝料請求してやる…。
そして思惑通り噂が広まってからは、オージンは自重を捨てた。
彼はディビットを見掛ける度に、積極的にのろけ話を仕掛けるようになったという。
エンジェの名を、私の名前に変え、とうとうとエンジェへの愛を語る、語る、語る…。
オージンの考え通り、オージンが話しかけたことによる直接的な被害は出なかったらしいが、精神的な被害は、また別である。私がディビットでも、んな話聞かされまくったら、ガリガリとライフが削られるだろう。間違いなく。
拒否したくともディビットは一般庶民。オージンに堂々と逆らうことなんか出来ない。
その場では笑顔を浮かべて話を適当に聞き流すディビットだが、会うたび会うたび、繰り返されるのろけ話に、ディビットの中の苛立ちは蓄積されていく。
そしてその結果が、今である。
「うぜぇ!!きめぇ!!面倒臭ぇ!!もっと、他人の迷惑考えやがれ、糞王子!!」
顔を真っ赤にして叫ぶ、ディビット。
…うん、御怒りもっともですね・/。その言葉には全面的に同意する。
ドヤ顔&陶酔顔でエンジェへの愛を語るオージンは、非常に気持ち悪いし面倒だ。ましてや、あれがエンジェの名前ではなく、私の名前で語られているかと思うと…うう。サブいぼ立ってきた。なんて迷惑な野郎何だ。あいつは。歩く公害だ。
ディビットは、それから暫くオージンに対する不満を叫んでいた。延々と30分程語って満足したのか、最後に小さくため息を吐いて口を閉じた。
ようやく、怒りモードの悪魔様から解放されるのかと、内心ほっとする。
…いや、良かった。八つ当たりムードに移行する前に、興奮が冷めてくれたようで。
あのままのテンションで、私の失敗がばれていたかと思うと、どんなお仕置きが待っていたもんか、分からんからな。恐ろしい…。
…しかし、足痺れた。
「…マジで、理解できねぇ」
ディビットは顔を顰めながら、ディビットは大きく首を横に振った。
「なんであいつは、あんなに愚かなまでに、愚姉に夢中になれるんだ?恋に盲目的になれるんだ?」
おんや。
もしかして、ディビットも。
むくむくと浮かんできた好奇心に、もしかしたら再び怒りを再熱させてしまうかもと思いつつも、ついつい口を挟んでしまった。
「ディビット」
「…あん?」
「恋をしたことって、ある?」
なぞるのは、いつぞやのオージンの問いかけ。
私がイエスと答えられなかった問いに、ディビットはなんて答えるのだろうか。
私の言葉を聞いた途端、ディビットは苦虫を噛み潰したような、憮然とした表情で、舌打ちをした。
「--くだらねぇ感情だ」
そして、どこか遠くを見るように、過去を反芻するかのように目を細めて言い放つ。
「くだらねぇよ…恋なんて」
無機質で平坦な言葉だったが、その言葉にはどこか痛みが滲んでいた。
恋を、くだらないと言うディビット。
ディビットは、だけど、否とは、恋をしたことが無いとは、言わなかった。
……やっぱり、あれですね。
私のいつぞやの考えは、まちがっていなかったわけですね。
--やっぱり悪魔様、男の子好きになって、ちゅーしてもフェロモン魔法効かずに、フラれちゃったのですね!!
だからここまで性根ひん曲がっちゃったと。分かります!!