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ダーザ・オーサムというショタキャラ2

 マシェル・メネガの図書館イベント。

 それはマシェルの好感度が一定以上を満たしている際に、図書館へ行く選択肢を選んだ際に出現するサイドイベントである。

 マシェルはマジメガネの渾名に相応しく、ダーザ程ではないが、図書館に出現する頻度が高く、ダーザを攻略しようとすると、おまけのごとく出現することが多いのだ。(ダーザを攻略したいお嬢様にとっては、てめぇじゃねぇ感が満載のおじゃま虫キャラである。なお、マシェル攻略の際は、逆にダーザがこのポジションになる。…恋愛ゲームのプレイヤーって、自分の都合でキャラの評価を変える、実に残酷で勝手な生き物だね。うん)

 図書館イベントは、メインの恋愛イベントではないが、選択肢の好感度も左右され、専用のスチルもある。スチルコンプを狙うものにとっては、外せないイベントである。

 …まさかそのイベントを、実際に体験することになるとは…。


「…で、貴様は何の本を探しに来たんだ?」


 キタキタキター!!

 選択肢分岐前の、クエスチョン!!

 ここで何の本を応えるかで、マシェルの好感度が変化するのだ。


 ゲーム中の選択肢は、3つ。


 A.氷の精霊の物語の絵本

 B.魔術に関する参考書

 C.世界の拷問辞典


 …まぁ、選択肢をみた時点で、大体どれが好感度上がるかお察しであろう。

 Aが好感度アップ。Bが好感度変動なし。Cが好感度ダウンである。

 Aに関しては、マシェルは氷属性。自分の属性に興味を持たれれば、嬉しいもんだ。まぁ、わかりやすい選択肢である。Aを選ぶとノリノリで本の内容を語ってくれる。絵本というのが、ちょっと意外性があるかもしれないが、そこはあれだ。お堅いマシェルが絵本を語るという、ギャップ萌えを狙った製作者の意図だ。…相手がマジメガネな時点で私は萌えんけど。

 Bは、可もなし不可もなし。次の考査に対してちょっと話して終わり。…そろそろテストも近いな。いくらハイスペックな私といえども、勉強はしとかんと成績が落ちる。特にマシェルには負けたくないから(入学して以来全勝だ。ざまぁ)対策練らんと…と、思考が逸れた。

 …そして、C。当然ながらドン引きされる。当たり前だ。私でもドン引きする…てかしたわ。

 あれ、この本のタイトルどっかで見たことがあるなぁ…と思った人。貴方は素晴らしい記憶力の持ち主だ。この本は、実は既に出現している。

 そう。以前、悪魔様が借りていた、あの本である。…んなもん神聖な図書館に置くなや!!マジで!!被害被るかわいそうな人が出現するかもしれないだろう!!私とか私とか、私とかさぁ!!


 …まぁ、以上がゲーム上の選択肢である。


 そのことを踏まえて、マシェルの質問に答えなくてはならない。

 ならば、解答は一つだ。


「――…辞典」


「ん?」


「……世界の拷問辞典、ですわ」


 沈黙。


 ――あああああああ、唖然と見開かれるマシェルの視線が、横で盗み聞いていた一般生徒の視線が痛い!!こいつ、どっかおかしいんじゃないかって、空気が、本気で寒い!!

 でも、仕方ないだろう!!私はマシェルと恋愛する気は無いんだ!!陰険マジメガネ野郎といちゃいちゃラブラブするのはごめんなんだ!!だったら、好感度下げる解答するしかないじゃないか!!例え、どんだけドン引きされようが!!


 私は頬が熱くなるのを必死で耐えながら、マシェルを見据える。


 さぁ、マシェル!!思う存分ドンびくがいい!!本望だ!!がっつり好感度、落としやがれ!!


「――ぷっ」


 …え。わら…


「ぷはっ…くくく…貴様、拷問辞典って、拷問辞典ってどういう選択肢なんだっ…似合うと言えば似合うが、そのチョイスは無いだろう…くくく…」


 ……え、なんでそんな無邪気な顔で、笑ってらっしゃるの?マシェルさん。


 マシェル・メネガ。いけ好かない陰険眼鏡野郎。

 だが、奴は美形である。


 ――そして、美形の笑顔は、心臓に悪い。


「…な、なんでそこで笑いますの!?」


 我慢していた熱が、一気に顔に集中するのが分かった。


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