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オージン・メトオグという王子2

「取り合えずご主人様、一度オージンのご主人様への反応見たいんで、挨拶してきて下さい」


「何で俺が…」


 ひどく嫌そうに返すディビット。


 あなたの、あーなーたの、好感度でしょうが!!

 悪魔様が動かにゃ、どうにもならんに決まってるだろぉが!!だぁほ!!


「…ご主人様にしか確かめられないのです。申し訳ありませんが、よろしくお願いします」


 …しかし、そんな本心を言ったところで、悪魔様による虐げが待っているだけなので、私はにっこり微笑んでお願いをする。

 秘技・菩薩スマイル!!

 男はかわいこぶってうまく操縦するのが、夫婦円満の秘訣だって前世で呼んだ本に書いてあった。婚活成功する前に取らぬ狸の皮算用で買っていた夫婦生活指南書に書いてあったんだ…っ!!

 前世の私は(そんなもん簡単に出来んなら、今こんなに必死に婚活しとらんわ)と思っていたけど、今生の私はハイスペック!!おちゃのこさいさいでやって見せましょ…


「……なんへ、わはひはいは、ほっへほひっははれてひふんへふ?(訳:なんで、私は今、ほっぺを引っ張られているんです?)」


 うにょーんと、容赦なく引っ張られる我がほっぺ。ディビットに隸属魔法を使われて以来、暴力にさらされまくりなのにニキビ一つ作らない、健気な子である。…今夜も高級パックで手入れしてあげるから、この先もほっぺたよ、白くて愛らしいプルツヤのままでいてくれ。間違っても肌荒れなぞ起こしちゃダメだよ。


「ドヤ顔が透けて見える、作り笑いがムカついた」


 残念ながら、私の菩薩スマイルは悪魔様のアイアンハートには届かなかったようだ。…無念。

 誰か対悪魔様マニュアルとかくれんかなぁ。「横暴なご主人様を躾るコツ」なんていう、ピンポイントに問題解決してくれる本とかないもんか。ボレア家の財力に飽かして探させてみようか。


 私のかわゆいほっぺたに嫌がらせをするだけすると、ディビットは早足で真っ直ぐにオージンの元へ向かっていった。…結局やるなら、最初からつべこべ言わずに向かっていればいいものを…

 ディビットに気付いたオージンは、背後に花を散らしそうな輝く笑みを浮かべて口を開く。


「おはよう。エンジェ。今日の君も花の精霊のように可憐だね」


 ………………ん?


 あれ、なんか違和感。


 オージンの対応は、特別他の知り合いに見せるものと変わりはない。まあ、好感度0の状態らしいし、そんなもんだとは思う。

 だけど、なんか今、オージンの言葉がしっくりこなかった。何がおかしいのかわかんないけど、なんか、おかしい。別に変な言葉使ったわけじゃないけど…うーむ……。


「……貴様は、また物陰でこそこそしているのか」


「っぬぉ…!?」



 不意に真後ろから掛けられた声に、思考回路が中断される。

 でそうだったのにっ…今、違和感の正体気付けそうだったのに…!!

 ……てか、驚きのあまり、変な声出たぞ。あかん。この奇声は、みなの憧れルクレア・ボレア嬢に相応しくないぞ。


 落ち着け、落ち着け私。be cool、びーくーる。私はかりすま。カリスマ悪役令嬢ルクレア・ボレア。

 ……よし、自己暗示完了!!


「……また、貴方ですの。つくづく変なタイミングで出没される方ですわね」


 悪役令嬢の仮面を張り付け、飽きれ混じりの眼差しで緩慢に振り替える。

 気だるげに、焦る様子なんか微塵も見せることない、余裕の表情で。


 奇声?なんのことですの?貴方のお耳に問題があるのではなくって?


「それは、こちらの台詞だ……貴様、今度は何を企んでいる?」


 振り返った先には、案の定、むっつり陰険メガネ野郎ことマシェル・メネガが立っていた。

 とてもデジャブだね!!この場面。

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