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逆ハーエンドを目指します6

 

「どーもー、ルクレア様。毎度おおきに~。あのルクレア様からご依頼頂けるとか、ほんま光栄やわ~」


 携帯電話の所有を言っていなかったことに対する悪魔様のお仕置き後(腕を雑巾絞りされました…痛い)、許可した人物は侵入可能なように作り替えた結界から入ってきた少女の名前は、キエラ・ポーサ。

 太めの三つ編み、まん丸眼鏡、鼻から頬にかけたそばかすと、一部の人にはたまらないテンプレ的外見を持つ彼女は、エセ関西弁(この世界ではサイカ地方の方言となっている)を駆使する、守銭奴系サポートキャラである。

 出身は、サイカ地方における血筋だけはほどほどな、貧乏中流貴族。学費を出すだけで精一杯な家を助けるべく、自らの能力をフル活用して情報屋として活躍している、健気な少女である。

 キエラは満面の笑みを浮かべると、手を揉み手にして私に近寄ってくる。

 榛色の眼には、隠しきれない好奇心がありありと浮かんでいる。


「…で、孤高のカリスマ令嬢とご評判のルクレア様は、一体誰の情報がご入り用で?ウチの基準でえぇなら、数値でその人の好感度までお教えしまっせ?」


「……」


「もしかして、相手はルクレア様とセットで目撃されるんが多い、マシェル・メネガ様だったりします?氷の貴公子と、孤高のカリスマ令嬢のビッグカップル!!美男美女の組み合わせ!!いやぁ、想像しただけで目の保養やわ~。全力で支援さして頂きますわ~」


 私の口端が引きつった。


「…不本意過ぎる勘繰りはやめて頂けるかしら?」


 あの、マジメガネだけはありえん。

 つか、いつの間にそんなセット扱いされてたりすんの1?どう見ても犬猿の仲だろーに、何仲良い説出ちゃってんの!?マジやめてくれ!!


 キエラ・ポーサは情報屋だ。だが、彼女が強みとしている情報はある特定の分野に偏っている。

 ある特定の分野…まぁ、乙女ゲームのサポートキャラの時点でおわかりだろう。恋愛に関する情報だ。

 キエラは身体強化系魔法の使い手である。そしてその能力は、彼女の「眼」に集中している。

 普段は魔力遮断眼鏡で隠しているが、彼女が眼鏡を外すと、視線を向けた相手の情報が文字になって現れる。あの有名な戦闘力が見える片眼鏡っぽいアイテムを、想像すればいい…と、思う。なんせ、それは生れた時から自然的に眼の奥に「式」が刻まれている存在でしか、実際には分かりえない世界なのだから、どんなものなのかは能力者の言葉から想像するしかないのだ。正確には分からない。

 そして、その見える情報の種類も人によって様々らしく、中には身長・体重・趣味のようなプロフィール的な情報(ただし誤魔化しはきかない)くらいしか読み取れない物もいれば、その人が隠したいような機密レベルの情報まで読み取れる人もいる。

 そして彼女は、恋愛ごとの情報分析のスペシャリストだ。逆を言えば、恋愛ごと以外の情報収集は不得手らしい。

 この学園では決まった婚約者がいるものも少なくないが、やはりそれと恋は別物。政略結婚をしないといけないならば、学生のうちだけでも…と思う生徒もいれば、逆に社会に出たら老いそれと交流出来ない人を学生という立場を利用して何とかお近づきになれないかと画策する生徒もおり、一般の思春期の子同様に、皆「恋愛」ごとには非常に興味津々だ。キエラの情報は、非常に需要が高く、結構な利益を上げているらしい。


「今日呼んだのは、私の為じゃないんですの。好いてくださる殿方の情報が知りたいのは、この子ですわ」


 私は咳払いを一つして、隣にいたディビットを手のひらで指し示す。


「彼女の名前はエンジェ・ルーチェ。貴女と同学年だから、もしかしたらご存じかしら?」


 何や…依頼主ルクレア様やないんかい…と、非常にがっかりした表情でキエラは、どうやら全く目に見えなかったらしいディビットを目に留めた途端、目を見開いた。



「え、依頼ってディビ…エンジェなん?え、仲良くなったゆー噂ほんまやったんかぁ!!」


「…ディビットでいい。こいつは俺の正体知ってるし、既に下僕化済だ」


「……あー、やっぱりそういうことやったんか。急に仲良くなるなんておかしい思えば…ルクレア様、こんな鬼畜男の下僕とか、ほんまご愁傷様やわ~…」


 …あれ?え?こいつら、知り合い?

 しかも、キエラ、ディビットの正体まで知っている?

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