逆ハーエンドを目指します4
「…へ?」
第二イベントが起こっていない?
「…えと、それはマシェル・メネガだけとかそういうわけではなく…?」
「てめぇが【攻略キャラ】だと言っていた5人全員だ」
…何故に!?
第一イベントが発生すれば、そこでの選択肢はどれを選んでも、必ず第二イベントは出現するはずなのに、一体どうしてそんなことに!?
――さて。ここで、私が転生した乙女ゲーム「君に背中に翼が見える」について説明しよう。
女性向け恋愛シミレーションゲーム…通称「乙女ゲーム」とは、イケメン揃いのハイスペック攻略キャラの好感度を高めて、それに応じて発生するラブイベントをこなしつつ、最終的にイケメンとくっつくことを目的としたゲームである。男性の諸君には、ギャルゲーの女性版と言えば分りやすいだろうか。
一言に「好感度を上げる」と言っても、その好感度の上げ方はゲームによって様々だ。恋愛シミュレーションをやったことを無い方は、勝手なイメージで「なんか選択肢選んでいけばいいだけじゃない?」と安易に考えてはいないだろうか。
甘い。
甘すぎる。
メイプルシロップを大量にぶっかけた砂糖菓子のように、べたべたざりざりに甘すぎる!!
乙女ゲームはそんな風に全てをいっしょくたに出来るもんじゃないんだっ!!
もっともっと奥が深いものなんだっ!!
前世で乙女ゲームをやり込むあまり、ついには同人乙女ゲームにも手を染めた、このルクレア・ボレアが、そんな甘いあなたに乙女ゲームの神髄を教授してあげようじゃないかっ!!
私が考えるに、乙女ゲームにおける好感度の上げ方は、おおざっぱに分類して三つのタイプに分けられる。なお、私は説明上、「○○型」と言った名称で3種の形体について語るが、乙女ゲーム研究における専攻研究を把握していない為、それらは全て私が独断と偏見で命名した、オリジナルの名称であることを事前に注釈しておこう。
一つ目は【ノベル型】
一般的に、乙女ゲームと聞いて想定するのは、まずこのタイプではないだろうか。小説形態で物語が展開されていき、途中で選択肢が表れ、その選択肢の結果で物語が分岐していくパターンである。操作性が簡単で、攻略を失敗した場合に修正しやすいという利点がある基本的な型である。選択肢のパターンを知っていれば、簡単に望みエンディングが見られるため、ゲームの初心者、及び「攻略まで面倒な試行錯誤やってられるか!!」という方にお薦めである。
二つ目は【通い型】(これに横文字のタイプ名を思いつけなかったことが残念で仕方ない…だがアドベンチャー型っていうのもちょっと違うんだよなぁ)
ノベルゲーム型同様、会話などにおける選択肢も重要視されるが、それに加えて「キャラクターに会いに行った回数」も重要視されるタイプである。単純に目当てのキャラクターに集中的に会いにいけばいいタイプもあれば、目当てのキャラクター以外の他の特定のキャラに会いに行った回数も複合的に判断されるものまで、難易度はゲーム及び攻略キャラによって様々である。なお、この形態のゲームの場合、会いに行っても必ず選択肢が出たりイベントが発生するとは限らず、同じような浅い会話が繰り返される場合もあり、根気と忍耐力が必要とされる場合がある。単純作業が苦ではない人にお薦めだ。
三つ目は【シミュレーション型】
これが個人的には一番手間がかかるタイプだと個人的には思っている。恋愛シミュレーション以外の、シミュレーションゲーム…例えば育成シミュレーションや、経営シミュレーションのような要素を含んでいるタイプだ。
育成系の場合は、育て上げた主人公のステータスが、経営の場合は収益具合等が、恋愛イベントの発生やキャラの好感度に関わってくる。
恋愛シミュレーションタイプ以外のシミュレーションゲームも一緒に遊べる、一石二鳥なゲームであるともいえるが、複数のゲーム要素を持っているだけに攻略は一層困難になってくる。
恋愛イベントは十分でもうお前ら付き合ってんだろってなくらいいちゃいちゃラブラブしていたのに、別要素の達成度が十分でなくてキャラに振られた時の悲しみと言ったらもう…そんなものより、大事なのは心じゃないかベイビー!!私たちの心と心は確かに繋がっていたのではなかったの!!…と、枕を涙で濡らした過去は苦い記憶として私の胸に刻まれている。他シミュレーション要素が強すぎると、肝心の恋愛要素が薄かったりすることもあって、好みが分かれるタイプだと個人的には思っている。
…どうだろうか。乙女ゲームをよく分からない読者さんがいるならば、上記の説明で乙女ゲームの奥深さの片鱗を味わって頂けただろうか。かつてそんなゲームに萌えに萌えた私の熱いパッションが伝わっているだろうか。
以上のことに踏まえて、「君に背中に翼が見える」について説明しようと思う。
「君に背中に翼が見える」は上記で言う「ノベル型」に分類されるゲームである。