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行方不明な「またいつか」  作者: 二尾 二穂
2/2

ネタバレ

 前話のあとがき通り、ネタバレです。

 全体的に前話や設定が暗いので、前書きとかあとがきとか、サブタイトルとかでちょっと軽くします。……不発だったら、ごめんなさい。

 平凡な男子生徒が主人公の学園ハーレム系ギャルゲー。

 男子生徒は神様からのお詫びで記憶有りの転生&ゲームループ。


 今回は隠しキャラでもある攻略対象の『人づきあいが苦手で孤立している女の子』を落とす。

 攻略対象を攻略していくたびに、選択式で次の週にもその好感度を持ちこせる。

 最終的には完全ハーレムにも持っていける。


 男子生徒はそれを狙って、通常ルートを全員攻略してから攻略できるようになる隠しキャラの孤立している女の子を攻略した。

 女の子はゲームの知識がない上に神様の作ったゲーム世界の設定の一部なので男子生徒の異常性やここがゲーム世界だということに気づけない。

 しかし、女の子は何故か繰り返し続ける世界を記憶しており、そのせいで自分は異常者なのだと思いつつも誰にも言い出せず、精神をほとんど崩壊させていた。


 追い詰められ、いつ発狂してもおかしくない自分をギリギリのところで保ち、孤独であることを選ぶが、男子生徒のほうから関わってくるために、本来は孤独が嫌いな女の子は男子生徒に依存するようになる。


 それでも男子生徒に依存し続けるわけにはいかないと卒業式の時に別れを告げようと決意していた。

しかし、男子生徒がすでに攻略した女たちから男の浮気の証拠である写真を渡されて、女の子はギリギリのところで保っていた精神を完全に精神を崩壊させる。


 異常な世界なのだから、自分が異常であっても構わない。

 でも、異常な世界で生き続けたいとは思わない。


 そして、男子生徒に誘われた旅行を絶好の機会として(男子生徒にとってはこれも攻略過程のイベントの1つ)、男子生徒に遅行性の睡眠薬を飲ませて山歩きに誘い、頂上で疲れて寝入ってしまった男子生徒の体を(これも男子生徒にとっては膝枕イベント)、目が覚めても身動きすらできないくらいがっちり拘束して、整備されていない山奥に半ば引きずるようにして連れていく。


 人がやってくることがなさそうなほど奥まった場所の一本の木の近くで、バッグに入るほど小さなスコップ一本で男を埋められるくらいの穴を掘る。


 男子生徒は意識を取り戻したらしいが、口を開けないようにしているので何を言っているのかわからないし、食べ物どころか水分すら与えられない。

 目隠しもしているから、地面に転がされていることは分かってもこれから自分がどうなるのかわからないかもしれない。

 やがて、疲れたのか大人しくなった男子生徒に最初から最後まで構うことなく、穴を掘り続けた女の子は、男子生徒の体を穴に転がして落とした。

 うー、うー、という音が聞こえる。


 生きているから、一緒に逝ける。


 市販の睡眠薬を一回の容量の倍以上飲み込んでから、女の子は一か所に固めておいた掘った後の土をかぶせ始めた。

 掘るのは大変だったのに、埋めるのは早かった。

 まだ、かすかに動く地面を素手で均して、ぼんやりしてきた頭のまま、女の子はバッグの中の小さな水筒にいれておいた殺虫剤とか、塩素洗剤とか、体に悪そうなものを次々に飲み干す。


 焼けるような感覚。

 動物の本能として激しい嘔吐感に襲われる。

 瞬く間に口の中も、喉も、お腹も痛くなってくる。


 女の子が死ぬために用意した劇薬の最後の一本を震える手で手にしたとき、写真を入れた封筒に手が触れた。


 麻痺してきた頭が痛みを遠いものにさせる。

 封筒を取り出して、写真を広げようとしたら震える手から中身が滑り落ち、あたりに散乱する。


 不自然に破られた写真の中に居るのは愛するひとが一人だけ。


 男子生徒を埋めた隣に倒れるように横たわって、すぐに訪れる死を待つ間に、その写真を次々に手にとっては笑っている男子生徒の姿を見つめる。


 やがて、女の子は事切れた。




 





 神様は、自分がやってしまった失敗に気づいた。

 あの男を間違って死なせてしまったくらいだから、そのうっかりさには定評がある。


 男が望んだゲームの好感度の持ち越し選択の末に現れる隠しキャラ。


 それとそっくりの世界を作ったのだが、好感度の持ち越しの自覚を他の攻略対象には持たせないように、他のキャラには毎回記憶を無くす設定にしたのに、隠しキャラの子にだけは原作オリジナルのゲームを参考にし過ぎてしまった。

 原作オリジナルで攻略の記録条件がかかっていたから自分が設定するときには記憶消去を彼女だけは個別設定しなければいけなかったのに、そうするのを忘れてしまっていた。


 まあ、あの男の国は今のところハーレム制度などないのだし、好感度の持ち越しなんてしないだろう。

 好感度の持ち越しさえしなければ、自動的に隠しキャラだった子を含めて、攻略対象全員の記憶は消去されるんだから、さほど問題はない。


 あの世界は、あの男にも言ったようにゲームのようでいてゲームのようにプログラムに縛られた世界ではないから、最初から隠しキャラの女の子だって存在を認識して攻略することだってできる。

 

 つぎは、失敗しないようにしないとなぁ。

 失敗の補正なんて、失敗一回につき一度しかできないんだから。


 その補正にすら失敗したら、本当に、魂は行き場を失って消滅してしまう。


 ただ、同じ(ゲーム)世界に攻略対象として虚像うつわを作ってあげた女の子たちは、正常に最期を迎えた人間の中でも、次に生まれるときに高潔な人生が定められている魂だから、転生するまでの間に、できるだけ魂の穢れとか欲望とかを落としておきたいんだよね。


 そういう子たちに、ゲーム設定に従って自動的に欲望を発散できるシステムに組み込んで効率化に使えるんだから、怪我の功名ってこういう時に使うんだよねぇ。

 

 作者の他作品とは毛色が違うと思っております。

 本格的なヤンデレとかホラーとかバッドエンドの練習でした。


 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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