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第2話

 王城をでた2人は王都の中央にある冒険者ギルドに向かっていた。


 冒険者とは、薬草の採取からモンスターの退治、商人の護衛までありとあらゆる依頼を請け負う何でも屋のような存在である。先王エドワードがギルドという組織を作り、荒くれ者が多かった冒険者をまとめた。


 今回はあくまで商人の娘とその御付の者という身分で旅をするため護衛として冒険者を雇うことにしたのである。


「お嬢様、護衛など私一人で十分です。冒険者など雇う必要はありません。」


「エリス、今の私たちは商人の娘とその供の者ですよ。そのような女二人で旅などするものはいませんよ。旅をする際は冒険者の方を雇うのが一般的だそうではないですか。」


「だとしてもなにもわざわざ冒険者を雇わなくてもいいではないですか。誰か近衛のものをもう一人冒険者のようななりをさせて連れて行けばいいではないですか。」


「私は本物の冒険者の方と旅したいのです。」


「またそのような我が儘を・・・。ハア分かりました、お嬢さまの仰るとおりにしましょう。」




 冒険者ギルドは王都の中央にあり、通常は依頼を受けに来た冒険者や達成の報告にきた冒険者であふれている。しかし二人が到着した時刻はまだ早いのかギルドの中は閑散としており数人の冒険者が併設された酒場にいるだけである。


 二人は旅の護衛を頼むために受付に依頼をだしに行った。


「すまないがキアラまでむかう旅の護衛の依頼をだしたいのだが、頼めるだろうか。」


「はい。旅の護衛でございますね。了承しました。」


 受付の女性が書類を書き込んでいく。


「どのくらいで護衛のものが決まるのだろうか。」


「今は、朝方で冒険者の方々が少ないのでもう少したってからでしょうか。」


「そうか、ではお嬢さ」


「護衛なら俺を雇いな。」


 そこに酒場から声がかけられた。

 声を挙げたのはいかにも冒険者いった体格の大きい髭面の男であった。酒に酔っているのか顔を赤く染めた男はふらつきながらも二人のもとに近づいてくる。


「俺がおめえさんたちの護衛をやってやるよ。」


 ユーリシアとエリス、二人をなめまわすように見ながら男は下卑た笑いを浮かべる。

 エリスは眉を顰めながら断ろうとしたとき、べつの声がかけられた。


「お嬢さん方、そんな下品な男を雇う必要はないですよ。私があなた方の護衛になりましょう。」


 酒場の奥から軽装な鎧を着こんだ男が口を出してきた。


 当然わりこまれてきたと感じたヒゲ男は面白くない。


「なんだテメエはこの仕事は俺が引き受けたんだ。若造は引っ込んでな。」


「いやいや、お嬢さん方は断ろうとしていますよ。そうでしょう」


 エリスは断ろうとしたのを遮って会話に入ってきたのはおまえだろと思いながらも返事をする。


「う、うむ。悪いが今回は断らせてもらおう。」


「な、何だと!俺が護衛してやると言ってるんだ。ありがたく受けやがれ。」


 断られて頭に血が上ったのか、鬼のような形相でエリスにせまる。エリスはヒゲ男の相手をしようとしたがそれより早くとなりの若者が動いた。

 ヒゲ男がエリスに対して伸ばしていた腕をつかむ。


「お嬢さん方が困ってるんだ。護衛の押し売りなんてマネはやめるんだな。」


「なんだと、コノヤロー」


 ヒゲ男は若者に邪魔され頭に来たのか、若者に向かって殴りかかる。

 しかし、若者はつかんでいたヒゲ男の腕を軽くひねる。すると、大柄なヒゲ男は宙をまって地面に打ち付けられる。男は背中を強く打ったせいか気を失ってしまったようだ。


 若者が二人の方に向き直り、笑いながら口を開こうとしたとき、それよりも早く今まで口を閉じたままだったユーリシアが声をあげた。


「あなたに護衛をお願いします!!」


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