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第1話

 まだ日が昇り切っていない明け方。王城の裏門からは2人の人影が姿をあらわした。


「姫、誰かに見られてはいけませんよ。早く市街地までいかなければ」


「エリス、これからは姫と呼んではいけません。私はあくまでラーン商会の一人娘ユーリです。お嬢様と呼んでください。」


「しかし、姫」


「いいから早くいきますよ」


「姫、陛下が仰っておられたように貴族達に気付かれてはいけないのですよ。ただでさえ王族の方々や貴族が庶民とかかわることを批判するような奴が多いのですから。そのようにはしゃいではみつかってしまいますよ。」


「わかっています。」


 この二人はローラン王国第一王女ユーリシア姫と王国近衛騎士団に所属するエリス・ブラフォードである。なぜ王女と近衛騎士が密かに城から出てきているのか。その答えは数日前にさかのぼる。








「なに、お忍びで諸国を旅し、庶民の暮らしぶりを見て回りたいというのか。」


 ローラン王国国王エゼルベルトは愛する一人娘ユーリシアからの願いを聞いて難しい顔をしていた。


「はい。民たちの生活をみて、苦しんでいる人がいたら助けたいのです。」


「確かに民の生活を知ることは上に立つものとしては大切なことだ。しかし、なにも地方を旅までする必要はないのではないか。」


「しかし、お祖父さまは諸国を旅して弱い人々を救いました。私もそのように人々を救いたいのです。」


 確かにユーリシアの祖父、王にとっては父であるエドワードは退位したあと、身分を隠して旅をしてか弱い人々を救ってきた。しかし、武人としても活躍した父とは違い彼女はいくら治癒魔法と多少の護身術は使えるとはいえ女である。娘の身を案じる父親としてはそのような旅などしてほしくないのである。


 国王はその意見を却下しようとしたとき、隣にすわる人物が声を発した。


「いいではありませんか。将来女王として政治を行うときには庶民の様子を知っているということは大切なのですから。それに即位してしまってはそのような機会もないでしょうし。」


 彼女は王妃であり、ユーリシアの母親であるエリザベートである。


「しかし、王都ならまだしも地方とまでなれば治安の悪い地域もあればモンスターもいる。危険すぎるではないか。」


「かわいい子には旅をさせよというではありませんか。そんなに心配なら護衛のものを誰かつければいいでしょう。それなら心配ないのでしょう?」


「う、うむ。それならよかろう。」


「ユーリ、父上の許可が得られましたぞ。旅に出て上に立つものとして必要な心構えを学んできなさい。」


「はい!ありがとうございます。父上、母上」


 こうしてユーリシアのお忍びの旅は強引に認められたのである。


 彼女の護衛には王国近衛騎士で子爵家の息女であるエリス・ブラフォードが選ばれ、彼女の旅に同行することになったのである。








「姫、まずは「お嬢様ですよ」・・・お嬢様、まずはどちらにいくつもりなのですか。」


「最初は東部に行ってみたいと思います。それに東部には旧王都もあります。ぜひ一度旧王都キアラにはいってみたかったので。」


「わかりました。」


 二人は市街地へ向けて静かに向かっていった。その様子を密かに見つめる存在に気付かないまま。

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