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それは俺のために命を堕とした

作者: 熾楼

話の最後は自信がありません。

でも最後までお願いします。

読んだら評価感想をお願いします。

ちりんちりんっ


「!クロ、また逢いに来てくれたのか?」


ちりんっ


「にゃぁー」






--------それは俺のために命を堕とした









この猫は、クロ。先日、雨の中で弱っているのを俺が見つけ、家へ連れて帰って看病をしてあげた猫だ。

どうやらそれが原因で俺に懐いてしまったらしく、毎日のように家へ遊びに来るのだ。

まぁ、それはそれで嬉しいがな。


コンコンッと扉を叩く音がした。


「おはよう、シュン。あら、そちらの猫ちゃんは?」

「あぁ、クウか。おはよう。この仔は【クロ】だよ」

「クロ??」


部屋に入って来たのは、俺の幼馴染みの【クウ】。

そして【シュン】というのは、俺の事。

俺は生まれ付き病気がちで殆どは家の中か、布団の中、車の中に居る。 今も布団の中に居るのだ。

外へは空と執事の【サカキ】が居ないと出られないのだ。

そのため、空は俺の為に毎日のように家へ来てくれる。


俺は空にクロの事を話した。



「ふーん?その猫ちゃんが雨の中、弱って震えていたのねー?」


空はとりゃっと言いながら俺の膝の上に居るクロの額を人差し指で軽く押した。


「にゃー」


どうやらクロは額を押されて楽しんでいるようだ。


「で、それからというもの、この猫ちゃんが毎日家へ来るもんだから名前を付けたのね?鈴付きのリボンまで付けちゃって。(笑)」

「にゃあー」


ちりんちりん


空はクロが気に入ったらしく、クロの首に付けたリボンに付いてある鈴を何度も鳴らし、クロの遊び相手をしている。

クロは俺の膝の上で何度も寝転がったりしている。

布団が猫の毛だらけだ。


「飼わないの?」

「飼いたいが、うちが許してくれるか…」

「榊は?」

「良いんじゃないかって」

「なら、勇気出して言ってみなよ?ねー?クロ!何時でも春と一緒がいーよねー?」

「にゃぁー!!」

「クロ…」


俺は、クロが肯定して鳴いたように聞こえたのが嬉しかった。


「言えば良いのに…飼いたいって。」

「……あぁ………」

「……相変わらず弱いわねー?言う勇気も根性も無いんだぁー?」


空はくすくすと笑っている。


「……うっさいな…」

「もう…仕方ないわねー、あたしが根性無しのアンタの代わりに言ってあげるわよ。」

「本当か!!?有難う。空!」

「いいえー」




空が親達に言ってくれたお陰でクロを飼うことが出来た


「クロ、これからは一緒だからな」

「にゃー!!」

「二人して嬉しそうねー」

「クロは『二人』に入るのか?」

「にゃー?」

「あ。ごめん。『一人と一匹』だわ(笑)」

「にゃー!!」

「クロったら可愛いわねー!!ほれ、うちん家においで!」

「にゃー??」

「止めろよ!クロは俺のだっ!!」

「にゃー!!」

「やぁねぇ?焼いてるのぉ??珍しい(ニヤ)」

「う、うるさいなっ!!」

「にゃー!!」


クロがうちに来てから、俺達は前よりも沢山笑うようになった。





それから、何ヶ月経っただろうか

ある日突然俺の病態は悪化した








「ゴホッ……ゲホッ…」

「春……大丈夫?」

「…あ、ああ。大丈bゲホッゴホッ!グッ!!」

「春!?」

「大丈夫、だか、ら…心配しないで…空…。」

「春…」

「それ、より…クロ、は……?」

「……クロなら…この部屋の前でずっと貴方が元気になるのを待ってるよ…。アンタが病気だから、クロを部屋の中に入れられないの。ごめんね。」

「…大丈夫…」

「クロの世話は榊さんがしてるれてるから。」


俺は早く元気になってクロに会いたかった。




たまに夜中起きると、クロが部屋の前で鳴いているのを聞いている。


ごめんな、クロ。心配かけて。

俺、頑張るからな。

クロ、待っててな。


そして俺は眠りに着く…


「…にゃあー…」


今夜もまた、クロは心配そうに俺の部屋の前で鳴いていた。




それから二週間して、俺は病院へ入院した。

手術をする為に。


「………クロ………」

「今クロは榊がちゃんと面倒見てくれてるからね!早く元気になりなさいよ?」

「分かってるよ」

「良かった、前よりも少し元気になって」

「……もうすぐで治るかな?」

「治るわ!私が保証する!」

「有難う、空」



でも、本当は治る確率が低いんだ。

手術成功確率は30%

半分も行ってない…


今日は手術の日。

最後にクロに会いたかった。

だから一生懸命お願いして、クロに会わせて貰った。


「にゃあー!!」

「よしよし!クロ、久しぶりだな!」

「まったく!クロも春も嬉しそうね?」

「全然会えなかったんだ、当然だろ?」

「あっそ。」

「にゃあーん♪」

「クロー!」

「にゃあー♪」

「クロ…今日手術なんだ…俺の事見守っててくれな…」

「にー!」

「もう行くよ、春」

「ああ。榊、クロを頼むな」

「承知いたしました。坊ちゃま、頑張って下さいませ。」

「ああ。有難う、榊。」

「にゃー、にゃあー!」

「あはは、有難うな!クロ!俺の事待っててくれよな?」

「にゃあー♪」

「じゃあ行ってくる。空」

「ええ」



俺と空は手術室へ向かった。

それをクロは悲しげに見ていた。


そして最後に…

「…にゃあー」

鳴いてくれた










_______手術室


ピピッピピッ


「先生!春君が……!!」

「…も、もう駄目か…」

「そんな…!!」

「もう、どうしようもない…」



「………春……頑張って………!」

「にゃあー…」

「坊ちゃま……」



もう、間に合わないらしい。

どれだけ医者達が頑張って俺を手術しても、もう、無理だって…


空や榊やクロが心配して俺の事呼んでも…助からないんだ……




―――――クロ……―――――




―――ちりんっ

『にゃあー』―――



ピッピッピッ


「先生!春君が息を吹き返しました!」

「よし!あともう少しだ!成功させよう!」

「はい!」


春はクロに付けてあげた鈴の音を聴いた。

春はクロの声を聴いた。

その時、春は息を吹き返し、手術は見事に成功した。

誰もが喜んだ




一時期だけ……




俺が起きた頃には、クロは目を開けず、ぐったりとしたままだった


「クロ……クロ!!クロ!!!」


いくら俺がクロを呼んでも、クロはぴくりともしない


「なん、で…なんでクロが…!!」

「クロね、ソファーで大人しく春を待ってたの。それで手術が終わった時、急にパタッて倒れて…」

「クロ……クロぉ…」


俺はクロを抱きながら、泣いた。


俺はクロの声を聴いた。

クロの声を聴いたから、息を吹き返したんじゃないかと空は予測する。

そして俺が助かった瞬間にクロは倒れた。


この事からすると、クロは俺の為に命を堕としてまで、俺を助けたんじゃないかと考えられる。

クロは俺の為に命を落とした。

嬉しいけど、クロが死んだのは俺の所為でもある。

それが悲しくて、悲しくて。

ずっと泣いた。



「クロはアンタの為に命を堕としたのよ?アンタがそれで泣いていたら、クロはどんなに悲しむと思う?少しは考えて。有り難いと思いなさい。クロの命を、思いを、無駄にしないであげて…」

「…………空………」

「………ね?だから、早く笑って?じゃないとクロが成仏できないでしょ?」

「………ク、ロ………クロ……クロ…!」


クロ…お前は、小さな命を堕としてまで、俺を救ってくれた。

有難う。感謝してる。


俺がまた笑えたらクロ、お前は俺に会いに来てくれるか?

会えたら、また沢山笑って、遊ぼうな。




--------それは俺のために命を堕とした


fin


最終的にクロの命は(シュン)の命と入れ代わったみたいな微妙な設定です。

書いてる途中何故か涙が出てました。

……欠伸だったのかもしれませんね…(苦笑)

ここまで読んで下さった皆様、有難う御座居ます。

評価感想お待ちしております。

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― 新着の感想 ―
[一言] すごく好きな雰囲気のお話でした^^ でも「この事からすると、クロは俺の為に命を堕としてまで、俺を助けたんじゃないかと考えられる。」っていきなり理論的な口調になったのだけ気になりました;
[一言] 内容、文章共になかなかでしたが……… これを「コメディー」に入れますか!?
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