キミはもう、僕のモノ。
詩苑と蓮の2人はかなりお気に入り。
また、なにかに登場させてみたいなと考えてます。
詩苑の部屋に入るのはまだ2回目。カチャリという鍵をかける音。
ベッドに腰掛ける。そして始まるのは甘い甘いキス。
キスはついばむようなキスからだんだん深くなっていって。
それと同時に私のブラウスのボタンを外していく。
「ちょっ…詩苑!?」
「なに…?」
「その……まだ早くない?」
「いいから……」
そういって口を塞がれる。抵抗しようとしたけど無理。
…本気でやばいかも。貞操の危機!?
ブーー… ブーー… ブーー…
規則正しいテンポで携帯のバイブが鳴った。ナイスタイミング!
「あっ電話!ちょっと待って!」
麻衣からだ。
無視して続けようとする詩苑の横をすり抜け,断りを入れてから電話に出る。
中断され、逃げられた詩苑は面白くなさそうな顔。
「もしもし、麻衣?どうしたの?」
『いや、どーもしないけど。暇だったから電話してみた』
「あはは何それー」
麻衣との電話は楽しくて、いつも長電話になる。それは今日も変わらずで。
電話が長引くにつれ詩苑がどんどん拗ねていくのに気付かなかった。
『詩苑くんとは最近どーなの?』
「え、まぁ普通だよ〜」
『相変わらずラブラブ?』
「相変わらずって……言わなくても分かってるでしょ〜?」
照れながら言うと、電話の向こうでくすくす笑う声が聞こえた。
『まぁね。あんたらってバカップルだし』
「バカップルなんかじゃないもん!」
『はいはい。あ、ねぇ前の授業で出された課題ってどうなったの?』
詩苑が手招きしているから話しながらそばに行くと、ジェスチャーで自分のひざに座れと言ってきた。
ベッドの上だし、ちょっと危ない気もするけど……電話中だし大丈夫か!
少し緊張しながら詩苑のひざに座る。
「あ、あれね、取り消しになったみたいだよっ!?」
首筋を指で軽くなぞられて声が裏返った。
『どーしたの?大丈夫?』
冷や汗をかきながら軽く詩苑を睨んだ。
電話中のことなんて気にも留めずに。私の反応を楽しむようにいたずらが加速する。
「あははっ気にしっ…ひゃ!?…っん!…ちょっと詩苑っ!!ごめんね、気にしないで!」
耳を甘咬みされて声が漏れる。その後の舐められたことのない耳の感触で体が少し跳ねた。
『あぁ詩苑くんと一緒だったんだね〜電話切ったほうがいい?』
「いやっ切らないで!」
今切ったら後で何されるか分かんないし!態勢に危険を感じて立つ。
「そんなことよりっ今度……」
それ以降の言葉は言葉にならなかった。
多分、そんなことよりと言う言葉がまずかったのだろう。
いきなり手を掴まれ引き寄せられた後、噛み付くようなキスをされた。
「詩苑!?」
逃げようとする前に、詩苑の舌が口をこじ開けて入ってくる。
顔を背けようとするけど、手で頭を抑えられていて出来ない。
詩苑のキスはいつも甘くて深い。足の力が抜ける。
立っていられなくなった私は、とっさに詩苑に縋り付いた。満足そうな、顔。
それと同時に携帯が手から滑り落ちる。
「……ちょっ……ん…ぁ……しお…ん…っ…」
詩苑はキスを止めてくれない。
詩苑の舌から逃げようと舌を動かす。それを知って詩苑は舌をもっと絡めてくる。
そんなことを繰り返すうちに唾液がタラリと零れた。
「……っふ………だめっ…」
「何が…?」
「で……でん…わっ……っ…」
「あぁ…恥ずかしいの?」
やっと唇が離れる。呼吸困難になりかけるほど激しいキス。
酸素不足と恥ずかしさでバクバク鳴る胸を抑えて必死に息を整えた。
詩苑は携帯を拾い上げ、通話中であることを確かめた。
「…麻衣ちゃん…聞こえた…?」
『…う、ん』
「じゃあ…電話の続きはまた今度、ね…?」
『わ…分かった……』
「ん。」
そう言って電話を切る。
じりじりと近づいて来る詩苑から逃れるように後ずさる。
後ろにあるのはベッド。
まだ詩苑の部屋の配置を覚えていない私はそんなことも知らずに。
やがてベッドの端でちょうどひざから折れた。
「う…わ!?」
ばふっという衝撃とともに体が投げ出される。
ぎゅっと瞑っていた目を開くと間近にあるのは詩苑の顔。
そしてその覆いかぶさるような態勢。
「あ……あの、詩苑?」
「なに?」
「ほっ…ほんとにする気……?」
「じゃないと……こんな態勢にはならないよね…?」
年下とは思えないほどに妖艶な笑み。時々息の抜ける語尾が色っぽい。
「…っでも下には詩苑のお母さんがいるし、向かいの部屋にはお兄さんがいるんだよ?」
「うん。知ってる」
あまりに平然としている詩苑の様子に戸惑う。突然いろいろなことが起こりすぎて、頭がぐちゃぐちゃ。
知らぬ間に溜まっていた涙がついに溢れた。
「嘘だよ」
ふっ…と体が離れた。と思ったら後ろから抱きつかれる。
優しく手で髪を払われた後,首筋に感じる小さな痛み。
「……今日はこれでおしまい」
「これって…キスマーク?」
「そう、これは僕の所有印。蓮はこれでもう、僕のモノ。」
そう言われて一気に顔が熱くなった。つまりこれは独占欲の証。
印があるのは、髪で隠れるか隠れないかぐらいのギリギリのところ。
「蓮もつける…?」
「…もしつけたら詩苑はずっとそばにいてくれる?」
「そんなの、当たり前。…って言ったらつけない?」
首を横に振る。言葉にするのは恥ずかしくて、とてもじゃないけど無理だった。
「お好きな所にどーぞ…?」
だから私も自分の首にある場所と同じところに印をつけた。
でも詩苑の髪はそんなに長くないから隠れない。
「…ねぇ蓮……蓮は僕のこと、好き…?」
「なっ…そんなの、言わなくても分かってるでしょっ…」
「ちゃんと言ってくれないと分かんないよ」
「…………意地悪。」
「そうだよ、だからほら、早く…言って…?」
クスリと笑って急かす。
「……好きじゃないよ」
詩苑の顔が固まる。静かに私の発する次の言葉を待つ。
「だって私は詩苑のこと、大好きだもん。好きじゃなくて大好き……だから」
口を塞いだのは、優しいキス。唇を重ねているだけなのに甘く感じる。
そっと抱きかかえられたまま、やってきた睡魔に抗えるだけの力はもう残っていなくて。
私はそのまま眠りに落ちた。
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