第6話 【選抜試験1】
ロビーに入ると、広大な吹き抜けにA級隊員たちが整列。
三人は氷堂蓮の推薦で呼ばれた特別受験者として案内される。
「受験者はこちらです」
黒い戦闘服の女性、白崎沙羅が声をかける。
「今回の模擬戦はS級隊員・東境那谷の異能で出現する虚獣型模擬体が相手です」
場内には他にも多くの受験者が整列しており、三人は自然と外の受験者たちと混ざる形になる。
ざわざわ
「S級隊員が出すモンスターってやばいんじゃ」
「今日は模擬戦なので当然全力は出しません、ランクで言うとB~A級の間くらいのモンスターです」
ちなみに虚獣のランク分けはこうだ
C級:小型の虚獣。初任者でも対応可能
B級:中型。戦術を考えれば単独でも対処可能
A級:大型で攻撃・防御ともに高い。複数人での連携が望ましい
災害級:圧倒的な力を帯びた魔獣。都市レベルの被害もありうる
天災級:災害級を超える破壊力。国家レベルでの対処が必要
この虚獣達に対抗している隊員達のランク分けは
C級:新人隊員や基礎訓練中の者
B級:戦闘経験あり。単独任務可能
A級:熟練者。個人戦で高い戦闘力を持つ
S級:国家規模の危機でも対応可能な極限の戦闘力者
将軍:現役は日本に五人。異名を持ち、国家を守る力を有する
こんな風になっている.....
観察室のガラス越しに、下の模擬戦場が広がっている。
巨大な虚獣型模擬体がうねるように動き、東境那谷の異能によって制御されるその姿は、まるで生き物そのものだった。
「……すごい……」
遥翔は思わず息を飲む。
昨日までの平凡な日常、学校、テスト勉強……そんな世界は、もうここにはなかった。
ここは本物の異能者が集い、試される場所――。
隣には凛と虎ノ介。二人もまた、ガラス越しに戦場を見据えている。
虎ノ介は拳を握り、少年のような笑みを浮かべていた。
「よし! これは燃えるで!」
凛は落ち着いた様子で、わずかに眉をひそめる。
「冷静に……状況をよく見て」
モニターには、戦場全体の映像と共に、各受験者の異能データが表示されている。
遥翔の異能――【漆黒 闇の霊鳥】――の動きも、細かく解析されていた。
その横で、A級隊員たちの冷静な視線が三人を追う。
「……反応速度は標準以上。だが、力を完全には出していないな」
氷堂蓮の低い声がモニターから伝わる。
「潜在力は高い。しかし判断の速度に改善の余地あり」
他のA級隊員の声が続く。
「攻撃は正確だが、防御の選択肢が少ない。異能の特性をもっと活かせるはずだ」
それぞれ分析する声が重なる。
遥翔は背筋を伸ばし、拳を強く握りしめた。
(……もっと冷静に、もっと正確に。俺は絶対に負けられない)
昨日の虚獣戦の経験はなくても、ここでの戦いは全く違う。
全てが監視され、記録され、評価される――それが試験だ。
ガラス越しに見える他の受験者たち。
豪快に攻撃を叩き込む者
慎重に距離を取りながら弱点を探る者
動きが遅れ、迷っている者もいる
その中で、遥翔は自分がどこに立つべきかを考える。
「……俺は……俺のやり方で戦うしかない」
「最大火力だ...【漆黒の弾丸】!」
「「「!!?」」」
闇が掌に渦巻き、黒く輝く弾丸の形を成す。
その瞬間、会場の空気が一変した。
観察席のA級隊員たちが目を丸くする。
斎藤颯馬(雷の異能を操る男)は眉をひそめ、思わず手を止める。
「……あれ、A級相当のモンスターに一撃で効いた……?」
村上楓(風の異能で機動力重視)は前のめりになり、興奮と驚きの入り混じった声を出す。
「動きも止められてる……、威力が桁違いだ」
黒川玲子(防御系異能で解析担当)はタブレットを操作しながら解析する。
「……闇で形成した弾丸……炸裂時の衝撃波も計算されている。異能の特性を完全に活かしているわ」
三人の後ろで白崎沙羅が淡々と評価する。
「潜在力はまだ抑えられているが、制御力と戦術眼はA級以上だ」
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その横で他のA級隊員たちもちらりと顔を見合わせる。
佐伯慶一(火炎系異能):「……いいじゃないか...」
高橋瑞樹(氷系異能):冷静に解析しながらも、微かに目を見開く
吉岡拓海(鋼の異能):腕を組み、口元に笑みを浮かべる
遥翔の【漆黒の弾丸】が虚獣型模擬体に命中すると、黒い爆炎が走り、巨大な体が吹き飛ぶ。
会場中が一瞬静まり返り、次の瞬間、驚きと興奮のざわめきが広がった。
「……これが、今年の受験者の力か」
氷堂が頷く。
「見事だ……潜在力だけでなく、実戦での応用力も確認できた」
遥翔は息を整え、心の中で小さくつぶやいた。
(……まだまだだ。でも、やっと自分の力を見せられた……)
(はるとにあんな力があったなんてその気になればこの前の変異種も倒せたんじゃない?)
「お疲れさま!すごかったじゃない」
「まあまあ魔力消費したけどね」
「こんどは俺たちのばんだな」
「「行きますか!」」
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