第5.5話 【本部】
氷堂さんの推薦で呼ばれた俺たち三人は【国家異能管理局】の本部がある東京にきていた
「あ~やっと付いたー東京駅!」
遥翔は大きく伸びをして、都会の喧騒に目を丸くした。
高層ビルが立ち並び、人々の行き交う姿はまるで昨日までの学校とは別世界のようだ。
「人、多いね……」
凛が少し眉をひそめ、足早に歩く。
「でも、この人混み、戦闘とかになったら大変そう……」
「虎ノ介、ちょっと興奮してない?」
はるとが横を見ると、虎ノ介はすでにスマホで写真を撮ろうと構えていた。
「だって東京やで!? こんな景色、田舎じゃ見られへんやん!」
虎ノ介は少年のような笑顔を浮かべる。
「……まぁ、気持ちは分かるけど、今はそんな場合じゃないぞ」
凛が軽く突っ込む。
駅構内は人の波でごった返している。
案内板を見ながら、三人は目的地を確認する。
(氷堂さんが言ってた国家異能管理局本部……確か駅から地下鉄で15分くらい……)
遥翔は頭の中で道順を反芻する。
「よし、迷わないようにしないと……」
改札を抜け、地下鉄に乗り込むと、揺れる車内の中でも異能者らしい雰囲気を持つ人々がちらほら見える。
制服姿ではないが、どこか普通とは違うオーラを纏っているのが分かる。
「本当にここがあの国家異能管理局か……」
「この前は小さい支部だったからね」
凛は窓の外を見ながら呟く。
高層ビル群の合間に、ガラス張りで巨大な塔のような建物が見えてきた。
あれが本部なのか……。
駅から建物まで歩く間、遥翔は少し緊張する。
(……このまえの虚獣戦、そして再選抜試験……俺、ちゃんと戦えるのかな)
虎ノ介は後ろから、ふざけた声で言う。
「はると、顔こわばってるで? せっかく東京来たんやし、もうちょっと楽しもうや!」
遥翔は苦笑しながらも、拳を握る。
「それもそうか楽しむことが一番だもんな!」
目の前にそびえるガラス張りの建物。
それが国家異能管理局本部――。
「よし、行こうか。試験、始まるぞ」
凛も虎ノ介も頷き、三人は建物の入口に向かって歩き出す。
地下鉄の駅から徒歩で数分、ようやく巨大なガラス扉の前に到着。
守衛の異能者が鋭い視線で三人を確認する。
「受験者か。中へ」
重厚な扉が開き、三人を迎え入れた。
外の喧騒とはまるで別世界――ここから、本格的な選抜試験が始まる。




