第二話 【きっかけ】
こんにちは、御影遥翔です。
……今やっているのは――テストの答案返し。
「35点だ。もっと勉強しろ!」
「すみませんでした!」
他のやつも同じようなもんで――
「35点って高くね?俺33点やったけど」
池上虎ノ介。頭は俺よりずっと悪い。
そして――
「福宮」
「はい」
「89点だ。いつもより低いぞ」
「……もっと勉強します」
この変態じみた天才は幼馴染みの凛。同じ授業受けてるのに、なんでこうも差があるんだ。
「はると、何点だった?」
「35点です……」
「……あ、ごめん」
「その反応が一番きついからやめて」
凛は机に両手を置き、鋭い目で遥翔を見る。
「35点か…そろそろ本気出さないとね、はると」
「はい…努力します…」
でも、心の奥底では勉強だけが問題じゃない気がしていた。
最近、虚獣の出現が増えているし、学校でも“異能者としての自覚”を求められる場面が増えてきた。
授業の合間、ふと窓の外を見る。
街の向こうで、いつものように隊員たちが虚獣討伐に向かって走る姿が見える。
「あぁ…また今日も戦いがあるのか…」
凛がその視線に気づき、横に立つ。
「大丈夫?考え込んでるみたいだけど」
「いや…ただ…俺、まだB級でしか戦えないのに…こんなに虚獣が増えるって…」
凛は微笑む。
「だからこそ、地道に力をつけるのよ。勉強と一緒。コツコツね」
そのとき、教室のスピーカーが警告音を鳴らす。
「注意!注意!虚獣発生!市街地に出現!隊員は直ちに出動せよ!」
教室内がざわつき
虎ノ介が笑顔で叫ぶ。
「行くしかねぇ!」
凛は机の上のノートを閉じ、真剣な顔になる。
「行くわよ、はると。今日もちゃんとサポートするから」
遥翔は自分の机の下に手を置き、黒い霧のような羽根をほんの少しだけ意識する。
まだ異能解放するほどではない。だけど、心の奥で何かがざわつく感覚があった――
「…今日も、俺は逃げられないんだな」
そして、教室の窓から外を見ると、虚獣が街を徘徊する姿がみえる
はるとはまだ知らない自らに宿り力の存在が世界を変えるかもしれないことを....
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