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片目の中の君へ  作者: くろーばー
第2章:次の目的地へ
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第18話:ありふれた日常2

―――宿に戻ると


「もぉ!ルーク遅い!」


「おかえり、ルーク。てか、エルシアお姉ちゃんさっき起きたばかりでしょ?」


ルークが帰って早々、エルシアからの文句。せめてお帰りくらいは言うべきだろう。エリスを見習ってもらいたい。


「私達は休憩できたし、また食べ歩きしながら買い物をしに行きましょうよ」


エルシアが急かすように、食べ歩き買い物をしようと言ってくる。

ルークとしても、早めに買い物は済ませておきたい。今日のうちには食料を買い終えておきたい。


「わかりました。では果物とお肉と魚を買いに行きましょう」


準備を済まし、宿を出る。店もまた開き直しており、買い物ができる。

宿を出て早々にエリスとエルシアから食べ物が欲しいとルークに伝える。別にルークも呆れているわけではないが、こんなに自堕落な感じでいいのかと思う。


午前中に行ってかった、屋台のあたりに行き何を食べたいか選ばせる。

ルークはエルシアに取られた、焼きコケコを再び頼む。取られた分相当悔しかったんだろうね。

エリスも焼きとうもろこしが相当美味しかったのだろうか、また頼んだ。

エルシアはと言うと、じゃがいもをスライスして揚げた、ポテトというものを頼んだ。


エリスとエルシアはかなりの時間をかけて選んだ。

その分、かなり時間を消費した。肉屋までは近いからいいが、魚屋となるとかなり時間がかかる。果物屋は宿近くの場所でも問題ない。


「急ぎましょう。時間がありませんから」


みんな食べ歩きながら、肉屋へと向かう。人集りも多く、進むのに予定より時間がかかった。迷子になる可能性もあったので、より慎重になって行動した。

時間はかかったが、無事に肉屋へつく。まだ在庫に余裕がある状態で店に入る事ができた。


「エリス、これ持っててくれる?」


「ひゃきとうもろこひたへてるからもへない」


午前中の出来事があったから、エルシアじゃなくてエリスに頼んだが、焼きトウモロコシを食べるのに両手が必要みたいで、ルークの焼きコケコを持てない。


「……」


「…ニヤ…」


エルシアがニヤついてこちらを見ている。「どうぞお任せください」って。


「食べないでくださいよ?」


「どうぞお任せください」


ルークは焼きコケコをエルシアに任せて、肉屋へ入っていく。

外からエルシアの様子を伺いながら、買い物を済ます。はたから見れば変人だが、ルークにとってそんなのは気にしない。なぜなら、焼きコケコを少しでも多く食べたいからだ。


「肉買ってきましたよ。エリス、早速だけど冷凍してくれない?」


「わふぁった」


エリスが氷魔法を展開し、肉を冷凍する。


「それで、エルシア?私の焼きコケコは?」


「ほらちゃんと残っていますよ」


流石にルークの蹴りがあってか、反省しているよう。異常がないかチェックするがほんとに何も異常がない


「エルシアお姉ちゃん、食べないで待ってたよ」


「エリスがそう言うなら、本当なのですね。まあ、また食べてたら蹴りを入れてますけど…」


「冗談でもやめてよね!もう二度と味わいたくないわよ!あんな痛み……なんかそう言ってると、じわじわ痛んでくる気がする」


エルシアが本気の声のトーンで話す。本気で反省している。


また食べ歩きをはじめ、魚屋へ向かって歩く。

かなり遠く、到着するまでに十数分かかった。すでにエルシアはポテトを食べ終わり、ルークも焼きコケコを残すところ後1本となった。

エリスはと言うと、まだまだ焼きとうもろこしを頬張っていた。

ルークが残りの一本の焼きコケコを食べる


「では、買い物をしてきますので少し待っていてください」


もはやルークが気に留めることなんてない。集中して買い物ができる。

午後にもなり、品が少し追加されている。

より新鮮なものを選び、脂身が載っている物、身が大きい物、すべてが合致しているものを選んだ。


「買ってきましたよ!そろそろ遅いですし、帰りましょう」


「焼きとうもろこし、帰りにもう一つ買っていきたいです!」


仕方なく、遠回りしもう一度屋台へ戻り食べ物を買う。

これで帰りはかなり遅くってしまうため、帰ったらすぐに夕飯になる。

帰りは近くの果物屋に寄って、宿屋に戻る。


「今日はお疲れ様です。夕飯の時間ですが、食べますか?私はまだお腹が空いているので食べますが…」


「んー…僕はもうお腹いっぱいだからいいかな」


「私はまだお腹が空いているので食べたいわね」


エリス以外は食べたいという結論。エリスを部屋に残して夕飯を食べに行っても何も問題はない。


「では、私達だけで食べてくるので、エリスは部屋で好きにしててください」


―――食堂に向かう


「で?何食べるんだ?」


「そうわね…ハンバーグとか食べようかしら…」


「嘘だろ…?」


エルシアが今日食べた量は成人男性(16歳)の一回の食事量と同じ。直近で食べたばかりなのに、さらにハンバーグという胃が空いている時に食べたい料理を食べると言うのだ。


とりあえず注文し、ハンバーグが来るのを待つ。


「最近エリスはどう?」


ルークがエルシアにエリスのことについて聞く。


「勉強熱心ね。体調も壊さないように気をつけてるし、心配することはないかしらね」


「っはは、私への皮肉か?」


「ええ、っふ…ルーク、生前は散々体調を崩していたわよね。ほんと天才とバカは紙一重ね。ま、ルークは馬鹿な方ですけれどね」


「エルシアにも言ってあげますよ、魔王とバカは紙一重では?」


エルシアが顔を笑わせながら怒りに満ちた表情をしている

そうしていると、注文したハンバーグがテーブルに運ばれてくる。エルシアの表情も嬉しさに満ち、ルークからの最高級の皮肉の返しに怒りをぶつけなくて済む。

つまり何が言いたいかと言うと、エルシアは馬鹿な方の部類に入る。


エルシアは馬鹿にされたことなんて忘れて、ハンバーグにかぶりつく。

食べる勢いが落ち着いた頃になると、エルシアの方から談笑を持ちかけられルークはそれに乗っかる。

ほんとに小さくてくだらない話ばかりだが、それがまたいい。


エルシアがハンバーグを食べ終え、部屋に戻るとエリスがベッドの上で寝ていた。

エリスも寝てるし、今日はもう寝ようとエルシアと話が合い今日はもう寝た。



―――翌朝



今日もルークは日が昇る前に起きる。鍛錬も欠かさず、広場へと向かう。

広場に行くと必ずと言っていいほどリズがいる。

しかし、いつもと雰囲気が違う。リズもこちらの存在に気づいているが決してこちら側を向かない。

距離も取っていて、挨拶をしようとしても声が届かない。


ルークも昨日のことを覚えており、リズの心情もある程度は察している。


リズはリズ、ルークはルーク。人それぞれ持っている感情は違う。いま他人がどんな感情を持っているのか考えるべきだろうが、今は鍛錬に集中するとき。


昨日エルさんから教わったことを思い出して鍛錬する。

剣筋、動体視力、足運び……

イメージ上で模擬戦を行い、体の動きを確認する。


その後は、エルさんに言われた剣筋を修正する。まずは剣筋を真っ直ぐにする筋肉の動かし方。

最初はゆっくり動かし、徐々に速さをあげる。

ゆっくりすぎるとこれも制御しにくい。速さがそこそこ上がると制御しやすく、剣筋も良くなる。しかし、それ以上に速さをあげると逆に剣筋が乱れる。

ルークにとって一番調整の効く速度で素振りを繰り返す。筋肉の動かし方を頭ではなく、体に覚えさせる。

そこから徐々に速度を上げ、速くて正確な剣筋を完成させる。


日はすっかり顔を出し、そろそろエリスとエルシアが起きる頃。


ルークがリズがいる方向を向くと、ルークと似たように素振りして動作を確認している。

わからないが、目線だけ遭ったような気がする。でもすぐに逸らされたような。顔は動かず、目線だけ。


とりあえず、宿に戻ることにした。

部屋に入り、二人の状態を確認すると、体を大の字にして顔を綻ばせながら口からは涎が出ている。

なんの夢を見ているかは簡単に想像がつく。


「ほら二人とも起きてください。朝ごはんの時間ですよ」


「……んー…もうちょっとで焼きとうもろこし食べれそうだったのに……」


エリスが口をもごもごしながら起き上がる。


「ほらエルシア、起きてください」


「今日もお出かけでしょ?腹を満たしてから出発なんて愚行はしませんよ」


「今日は服屋へ行くので、道中食べ物は買いませんよ。実際に着てみて自分に合うかどうか分かりませんし、匂いがついて、汚してしまってもいけませんのでね。」


「わかったわ。食堂に行きましょう」


―――食堂にて


「昨日エルシアお姉ちゃんは何食べたの?」


「ハンバーグを食べたわよエリスちゃん」


注文してから来るまで、エリスとエルシアが会話している。ルークはそれをただただ聞いているだけ。

二人が楽しんでいるところをただただ眺めているだけだが、決して悪い関係じゃない。


そうしているうちに、頼んだものが届いた。

今日の朝食はみんな一緒で、パンに目玉焼きとベーコン、スープに水。


昨日夕飯を抜いたエリスはバクバクと食べ、すぐに完食した。エルシアはと言うと、エリスと会話を楽しみながらゆっくりと食べている。ルークは黙々と食べる。

みんなが完食し、食器を返し、部屋に戻る。


「今日は服屋に行きます。旅の期間はおおよそ1ヶ月になりそうなので、一着をずーっと着続けるわけには行かないので、買いに行きます。」


「でも、別に大丈夫じゃない?」


エリスが単純な疑問をルークにふっかける。


「まずは今回の旅はエルさんについていくことになる。流石に服が汚くてついてくるのをやめてほしいなんて言われることはないだろうが、綺麗であること以上のことはないでしょう?」


「確かに……」


「他にも理由はあります。病気のリスクです。」


「治癒魔法でどうにかなるんじゃないの?僕だって使えるし…」


「怪我と病気はまったくの別物です。治癒魔法の効果は怪我のみ有効です。熱が出たり、咳が出るようなものは直せません。」


「へぇ…ルーク詳しいね」


「ま、まあ……」


話し過ぎということではないが、謎にすごい知識を持っていると、どうして知ってるの?と疑われているのかもしれないと心配になる。

現状はエリスに疑われている可能性はない。ルークがユアンであることを。


軽く下準備を済まし、宿を出て服屋へ向かう。


―――ありふれた日常―――

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