表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生モブ執事のやり直し ~元悪役令嬢な王妃様の手下として処刑される悪役モブ執事に転生してしまったので、お嬢様が闇堕ちしないよう未来改変に挑みたいと思います  作者: 鳴神衣織
【第5章】お嬢様の定期視察

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/122

~ interlude ~ 激おこお嬢様アゲイン

 (マーガレット視点)




 一方その頃、アーデは一人、愛らしいほっぺたをぷく~っと膨らませて怒っていた。


「最近、本当にみんな勝手ですわっ」


 歴史のお勉強を終え、休憩のために三階勉強部屋から同階サロンへと移動してきた彼女は、お茶を飲みながらひたすらう~う~唸っていた。

 そんな彼女を見て、本日早番となるマーガレットがきょとんとなる。


「どうかされましたか、お嬢様」


「どうかしたかではありませんわ。本当にもう。ヴィクターは私の執事ですのに、みんなでよってたかって断りもなく便利に使うのですもの。本当に嫌になってしまいますわ。あの方は便利屋ではないのですよ?」


 まったく機嫌が直りそうにない主に、「そ、そうでございますね」とマーガレットが苦笑する。

 若干のほほんとしている専属侍女ではあったが、さすがに気が付いてしまった。

 アーデが何に苛ついているのかを。


「え、えっと……お嬢様?」

「何かしら?」

「きっと、ヴィクター様が誰よりも素晴らしい殿方だからこそにございますよ」


「それはどういう意味かしら? ヴィクターが素晴らしいのは最初からわかっていたことではありませんか」

「それはもちろんですが、ほら、ヴィクター様って、ますます素敵になられていますし、そんな方であれば誰だって頼りたくなってしまうじゃありませんか」


「それは……確かにそうですが――ですが、ヴィクターはわ・た・く・し・のっ、ヴィクターですのよ? それなのに、最近ますます私といる時間がなくなっているように思いませんこと? 昨日だって、十五時のお茶のお時間にいらしてくださらなかったですし」


「そ、それは確かにそうですが」


「マーガレット? 聞けば、昨日はお父様がおかしなことをなさり始めたせいで、お茶のお時間に来れなくなってしまったというではありませんか。ヴィクターは以前、約束してくださいました。これからは、いつも一緒にいられる時間が少なくなってしまいますが、お茶のお時間だけはお顔をお見せくださると。それなのにです!」


「そ、そういえばそうでございましたね」

「えぇ、そうですわ! どうしてこのようなことになってしまったのかしら? いったい誰のせいですの?」

「そ、それは……」


 間違っても旦那様のせいだとは口が裂けてもいえないマーガレットだった。

 そのようなことをすれば、アーデは必ず、復讐とばかりにシュレイザー公爵と距離を置き、当分の間口を利かなくなってしまう。


 そして、その原因の真相がどこにあるのかと、公爵であれば必ずや突き止める。

 そうなったらおしまいだ。

 何を言われるかわかったものではない。


(はううううう~~~。どうしましょう……!? お嬢様が激おこになってしまいますぅ~~……うううう、どうして私が早番のときにぃ~~――リセルぅ~~! 早く来てぇぇ)


 オロオロし始めた彼女のゆる巻き金髪ポニーが左右に揺れ動く。

 ついでに大きな胸もわしゃわしゃ揺れる。

 四年という歳月が経過し、二十一歳になったというのに、相変わらず彼女の内面は成長していなかった。

 相変わらずの天然で、そそっかしくて、か弱い。


 しかし、それに相反して、見た目だけはしっかりと大人になっている。

 愛らしい面影は残っているものの、大人の色香も出始めていた。


「もういいですわ!」

「え……? え? え? え?」


 突然、愛用の白い椅子から立ち上がったアーデが、何やら決意を秘めたような表情を浮かべていた。


「マーガレット!」

「は、はいぃぃ!」

「今から直談判にまいりますわ!」

「え……? じ、直談判にございますか!?」

「そうよっ。だから、マーガレット。ヴィクターやお父様が今どこにいるのか教えてくださいませ! これから会いに行きます!」

「あ、会いに行くって……そんなぁぁぁぁ~~~!」


 目をぐるぐる回しながら、ホワイトブリムを被った頭を押さえて仰け反るマーガレット。

 彼女の苦難は始まったばかりだった。


(ううう~~~……リセルぅ~~! 早く来てぇ~~~)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

★ 以下作品も好評連載中です。ご愛読くださると幸いです ★

【国を追われた元最強聖騎士、世界の果てで天使と出会う ~辺境に舞い降りた天使や女神たちと営む農村暮らし】

故郷を追われた元聖騎士の男が、片田舎の農村で可愛い娘たちと一緒にスローライフしていくお話です。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ