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花が毒を放つ時

作者: 藤乃花

桜が進化するとしたら、どんな感じでしょうか?

暖かいというにはまだ気温がそこそこな空間。

そこかしこで桜が二分咲きに入り、数日すれば完全に開く……そんな時。

桜たちは公にならないよう準備をしてきた事がある。


「千年という時間をかけて、ようやく進化出来た」

「長かったな。

これで我々を手折るモノを打ちのめす事が出来るな」

「用心しなければならないのは、区別する事だ」

「こらしめる相手と楽しませる相手を見極めないと、罪のないモノを滅ぼしてしまう」


里途さとみち園で地に根を下ろす桜の木々が、成功についてを語り合う。

成功とは、長年人々の感覚を感じとり人への免疫力を蓄積させ自らの本体で毒を放つ技を身につけた、という事だ。

これまで数々の桜の仲間が心無い無礼な人間から受けてきた暴行に対して今度は桜側から、ふとどきものへと力を向ける時だ。


「ほら、毎年仲間を痛め付ける例の親父が来たよ」

「我々が作り上げてきた桜毒を喰らわせてやるよ」

「充分に引き付けてから……一気に攻撃するんだよ」

「この怨み、晴らさずにおくべきか……」


春になる度花見と称して毎年桜を手折る男が、ふらふらした足取りで並木道を通ろうとした。

昼間なのに、すっかり酔っぱらっている。

「後三歩……二歩……一歩……今だよ!」

桜のおさが合図した。


 その場にいた桜の木が、一斉に幹全体から灰色の気体を放出した。 

大量に放たれた灰色の気体は、男の体を包み込んだ。「え……えええっ⁉」 

男の叫び声が園一帯に響き、辺りは灰色の気体で充満した。


その五分後、男の姿は何処かに消え、桜は花を見事に咲かせた。

そしてもう一つ変化した事は、全ての桜が例年よりも濃い赤色に染まっている事だった。



赤色に染まる桜の根元には、何かが埋められています。

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