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「私……アンタの姉じゃないって何度もいってるでしょ!」
「ご、ごめん。ナミ…」
ナミの声が急に豹変して尖るように彼に向けられる。
どうやらラピュタンに姉呼ばわりされることを毛嫌いしているようだ。
彼女が目くじらを立てるので、ラピュタンが後ずさりをした。
だが「これはいつものことだわ」とナミはしつこく責めはしない。
気を取り直して、ナミは長い髪をかき上げた。
ふわりと風になびく髪からいい香りがした。
「お祈りなんてジジ臭いわ。祈って叶うのなら旅芸人なんてやってないわよ!」
「……そ、そうかもしれないけど」
祈りなど気休めに過ぎない──
「これまで私たちがどれだけ頭をひねって肉体を酷使してお金を稼いできたと思っているのよ!現実を直視できない所がまだ子供よね。──べつにいいけど」
ナミに突き付けられた厳しい現実をラピュタンも体験してきた。
申し訳がなくなったのか相手に合わせるような返事をした。
「アンタ、見た目はイケショタなのに。たいした努力もしないでそうやって女神像なんかに神頼みばっかり……」
──努力こそが夢を叶える最善の手段だとナミは強調する。