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「いい? ボンパが知らせに来るまで、ここでじっとしてるのよ!」
「で、でも……」
ナミはびしっと人差し指を大きな女神像に向ける。
「アンタの大好きな女神様を探し求めてここまで連れて来てあげたのよ、感謝しなさいよ!」
そう何度も語気を強めて迫られると彼もさすがに閉口する。
いくら彼が幼くても邪魔者扱いを受けているのは分かった。
分かった上で彼も口を開く。
「ほ、ほんとに? ボクはずっと、ここにいてもいいの?」
ラピュタンの瞳がキラリと輝く。
南からやって来た彼は、噴水南側に架かっていた木組みの足場を一瞥する。
祈りたいことが山ほどあるのか、ナミの言葉に甘えようとしている。
ナミはすかさず声を和らげた。
「女神像の前で瞑想すれば死んだ両親に会えるんだったわね? アンタの女神様は何でも願いを叶えてくれてホント最高よね?」
ロメスたちは本当の家族ではなかった。
ナミは嫌味を含めた物言いをするが、ラピュタンは気にも止めていない。
「だったら、ここに好きなだけいて好きなだけ祈っていればいいじゃない?」
ナミは「どう?名案でしょ!」と持ち掛け、彼の肩に手を掛けた。
「あ、ありがとう!ナミ姉ちゃん……」
じんと感動したように彼がナミに微笑み返し、礼を言う。