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街の中央に大きな噴水広場が見える。
その付近にやって来たのは長女のナミとラピュタンだけだった。
平日のせいか人通りも少なかった。
街の入り口は噴水広場のずっと南。
大きな円形の噴水の中央に向けて木組みの足場が十字に架かっている。
その足場の上を人が中心に向かって渡り歩くのが見える。
噴水の中央には大人も見上げるような大きな女神像が設置してあった。
二人の視線もそれを見上げていた。
清らかな水の音に癒されながら、そこに座す人々が祈りを捧げていた。
それに目をやるナミがラピュタンに物ぐさな言い方をする。
「アンタもそこの女神像に祈りでも捧げてくればどう?」
「どうして?ちゃんとボクも宿探しを手伝うよ!」
宿探しを手伝うといいながら彼は女神像に意識を置く。
「いいのよ! 足の短いアンタと一緒にいるとこっちが迷子になりそうよ」
「……え?」
普段言われたことのないセリフだったのか、彼は驚きの表情を隠せない。