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「歳のせいか、最近腰が痛くてな……」
ロメスは荷馬車を止めると子供たちに振り返り、苦笑いを見せながらポリポリと頭を掻いた。
「馬車ごと預けられる宿を見つけて来てくれ……」
馬車を引く馬は一頭だけ。
馬のたてがみを丁寧に手でなでてやりながら、そう念を押す。
「わかってるよ。馬宿のことは俺たちに任せて、ここでゆっくりしてなよ」
「座長の父さんを労わるのは当然のことでしょ」
「まったく頼もしい限りだな」
ロメスが嬉しそうに二人をほめる。
王都はこれまでに見て来た街より余程広くて大きい。
荷馬車を引いたまま皆と宿探しはとてもできない。
ロメスの目は周囲を素早く見回す。見たこともない華やかな商店がびっしりと軒を連ねている。
きっと「あっちがいい、こっちがいい」と子供らに右往左往させられる。
それもいつものことだとロメスの顔には書いてある。
ボンパがラピュタンの肩をポンとたたく。
「おう、ラピュタン! 飯探しに行くぞ!」
「は、はい……(め、飯?)」
「元気な若者が溜め息なんか吐いてちゃ見っともないわよ」
最年少のラピュタンを励ます様に声をかける二人。