夏に消えて爆ぜろ
歩道を二人で並んでいる学生の壁。通りたいが通れない「すみません」と言って通ろうか、それとも車道に少し出て足早に通るのか。短い時間の中で素早く思考が巡る。
その速さは十秒。結局は二人の背を眺めて歩くことにした。
さっきまで速歩きだったのが足が戸惑って遅くなる。
今の私は惨めだ、目の前には青春を謳歌している男女。
輝く人生を送っている人種、反対の暗闇に生きる私。
何が楽しくて笑っている?顔をお互いに見ながら話すのが何よりも気に食わない。
お前らは道を塞いで自分達の世界の中に浸っていて周りを殺す。
右手に持っている、炭酸飲料のキャップを開ける。
知らぬ間に振っていたのか泡が噴火する。
爆ぜた色水が二つの背中、目掛けて飛んだ。
色が濃くなる制服が甘い匂いを漂っている。
それから私は炭酸飲料を持ち歩くことが多くなった。






