46.第十一章 悪夢の獣遁・猫雪崩
※ネタばれ、最後の死闘は夕日がバックですw
何故前書きでネタバレしたのか、最後まで読めば分かりますw
◇◆◇◆◇◆◇◆
日が真上を過ぎて傾き始め。
アレス達はクラウゼン城塞東山脈の裾野へと足を伸ばしていた。
魔狼を乗騎とする軍勢は、平原も森も絨毯を広げる様に疾走する。
周囲は森の中とは言え、アレスの転生特典【救国の御旗】は自分の頭上周辺に掲げられた幻の軍旗の位置を、宿った加護と共に味方全体へ知らしめる。
極論アレス自身が道を間違えない限り、同じ方向を目指すのに支障は無いのだ。
強いて言うなら道中に広い道は無いため山肌を登り、隊列乱れぬ行軍は不可能な点か。そんな無茶も長年数を増やし続けた魔狼達を義勇軍全体に、レンタルや安価で販売するというド派手な散財あっての代物だが。
山岳に突入する前に《紋章》で砦でのリシャール王子健在も確認した。
こうなれば最早道中の妨害は気にする意味が無い。奇襲や伏兵に供えながら最短距離を駆け抜けるだけだ。
森の中はともすれば道に迷いそうになりがちだが、坂を駆け上がったお陰で方角にも差程ブレはない。崖ほどの急勾配となれば迂回するしかないが、一時的に隊列が別れる程度で進軍に支障は出ていない。
だが進行方向から木々の上まで土煙を昇らせる、無数の馬蹄が踏み鳴らす音が前方の森から響いて来た。山中の森にしては随分と無茶な進軍だと思ったが、一直線に向かって来るなら敵だろう。
「敵襲!前方に備えよ!」
出来れば足を止めたくないが、敵軍の数によってはそれも難しいだろう。
せめて迎え撃ち易い様に勾配の緩やかな方位へと進軍すると、森の影から何故か木々を倒しながら、こちらを発見した敵将らしき騎士が両手で武器を構える。
「おぉ!ここで会ったが百年目、我こそは帝国g「みゃっ!!」!」
違和感に目を凝らす中で刃の銀光が煌めく後ろで巨大な猫の顔が森を突き破る様に迫り、背後から伸びた両前足が騎士を森の上空へと跳ね飛ばす。
弾かれた騎士が崖の後方に消える中、獲物を掴み損ねた巨大猫キャスパリーグが初めて義勇軍に気付き、唸り声をあげてアレス達を睨み付ける。
「ニャッ!」「みゃー!」「ギャ~ゴ!」
その背後で森を突き破る様に次々と。
巨大な猫達が飛び出し、後続の帝国騎士達を次々と弾き飛ばした。
その数ざっと十数体。
「いや、多過ぎるわッ!!」
そもそも原作、単体ボスだ。
【巨猫キャスパリーグ(量産型)、LV25。魔獣。
『魔王の紋章、不死身の紋章2』『怪力の天稟』。
『反撃、完全回避、激情、☆サンドブレイク、連段』。】
思わず叫んだアレスの抗議も空しく、キャスパリーグは崖に消えた玩具に怒りの眼差しを向けた後、興奮も露わに義勇軍に向かって突撃する。
(量産型って言ってもLVが下がってるだけじゃねぇか!)
アレスも滑り込む様に魔狼を走らせ伏せる様に躱して〔黒鋼の大薙刀〕を振い、肩口を切り払うが深手には至らない。
だが続く腹の下から【炎舞薙ぎ】で一帯を切り払えば、後続を巻き込んで三頭のキャスパリーグの足止めに成功する。
「巨体に惑わされるな!押し込むぞ!」
叫びながら魔力を練り、後続諸共巻き込むために正面やや後方で【中位落雷華】を解き放つと、遥か上空から降り注いだ雷の嵐が弾けてアレスの術を空で散らし、完膚なきまでに余波を散らした。
「って、何だよそれはぁッッッッ!!!!!!」
「ふィギァアアアアアアッッッ!!!!」
当然ながら怒れる眼前のキャスパリーグを押し止めるものは無く、『激情』に駆られた前足、更に伸びた猫爪がアレスの脇を通り過ぎて地面を抉る。
だが止まらない。独楽回しの様に両前足を付けた姿勢で、猫後ろ回し蹴りが真横から迫り【魔王斬り】にしくじったアレスを幹に叩きつける。
「『竜気功』無くば即死であったわ!」
勿論実際はそこまでじゃない。普通に痛いけど反撃に転じる余裕はある。
薙刀が弾かれアレスが地面にずり落ちると同時、『神速』の跳躍で懐に踏み込み腰の〔飛燕剣〕で切り上げる。分厚い毛皮越しながら多少の流血は叶う。
だが一体なら兎も角後続が既に一部、隊に突っ込んでいる。
「下手に散るな!複数小隊で一頭を囲め!
逃げられたら包囲網を背に集合しろ!」
号令の為に反撃の気を一旦逃し、地面を抉る様な掬い上げを真横に躱す。
跳躍の勢いで居合いの様に姿勢を鎮めると、避けた筈の猫爪が巨大化しながらアレスを追尾して間合いを埋める。
「っなぁ?!」
咄嗟に前転しながら視界に猫爪を捉えると、前足から鞭の様に翻る砂塵が大爪の形でアレスの頭上を抑えにかかる。そこで漸く攻撃の正体に思い至る。
「って『サンドブレイク』ってそういう攻撃法だったの?!」
正直砂嵐かブレスの類だと思ってた。
眼前の猫爪が消えたと思ったら背後から巨大な牙が迫り、顔面に剣を押し当てて弾き飛ばされる。受身を取ったくらいでは衝撃は殺し切れない。
舌打ちしながら腹を括り、剣に雷の魔力を注ぎ込んで放電が生じる。剣戟を躱そうとしたキャスパリーグに『神速』で追い縋る。
【落雷剣】なら【封神剣】で行きたかったが、ネタに走っている場合じゃない。
「ふぃギャアアアッ!!」
与ダメージ重視で【奥義・武断剣】を放つが、弾ける様に逆立つ【逆毛】が剣戟全ての勢いを半減させる。
だが〔飛燕剣〕の魔力が肉体への負荷を軽くして追撃の余力を残す。なら剣に雷が残ってる内にと再度【武断剣】を放つ。
「ぃよしッ!まず一頭!」
地響きを立てて巨体が力を失い、弾けたマナがアレスに引き寄せられる。実質的な討伐経験値のお陰で分かり易く勝利を確信出来る。
尤も誰もがマナの流れを、はっきりと知覚出来る訳じゃないらしいが。
最初の一撃で大薙刀は折れてしまったが、愛馬ならぬマイ魔狼ミッドガルは受身に成功して幹を駆け昇っており、今一頭を仕留めたアレスの元に着地する。
馬より魔狼の方が乗騎は死なないと言うが、こういう時あっさり飼い主を見捨てて保身を優先するのがガルムという種の手堅さらしい。実際乗騎を気にせず戦えるので悪くは無いのだが、正直モヤるのはしょうがないと思う。
(咄嗟だったがやっぱり今は〔達人の剣〕の方が良いな。ちょっと軽い。)
大型魔獣はただの体質が《紋章》や《天稟》表記されるほどHPが多い。
他の将兵も突撃し、一撃の後に包囲して交戦しているが旗色は厳しい。最大火力を叩き込むには遠くに見えた他の魔獣が気になる様だ。
実際巨猫が如何に大きかろうと、飛び跳ねない限りは森の木々から顔を出す事も無いのだ。正確な数が分からないまま短期決戦は挑めない。
「っ!来たか!」
雷光が煌めき、アレスが迎撃する前に雷の華が空に弾ける。だが敵の方角は案外簡単に見つける事が出来た。森の奥に高い塔が光るのが見えたのだ。
とはいえ誰が迎撃したのかまでは分からなかったが。
「行って下さいアレス王子!向こうは後方を狙ってます!」
「!分かった、指揮は任せる!!」
後方から上がったヴェルーゼの声に応え、アレスは魔狼ミッドガルを塔に向けて走らせる。勿論アレス配下の部隊は後に続いた。
「おいおい、まさかあの塔から狙ってるなんて言うんじゃないよなぁ?
そんな長距離から届く魔法、聞いた事無いぞっ!!」
後ろで怒号と猫の鳴き声が木魂する中、更に二つの部隊が突破してアレスに追い縋る。剣鬼スカサハと剣姫レフィーリアによる精鋭傭兵部隊だ。
魔剣士二人なら回復の出来る自分は魔力を温存し、迎撃は任せるべきか。
「近場の伏兵じゃないって気付いたんだから、心当たりはあるのよねぇッ?!」
二人と作戦会議代わりに視線を交わし、両部隊が若干前に馬を進める。
「ああ勿論!あれは邪龍戦争を最後に失伝したとされる伝説級の遺失魔法だ!
人呼んで超射程魔法、【遠望雷嵐】ッ!!」
◇◆◇◆◇◆◇◆
夕闇に暮れ始める中、黒雲を背に輝く雷光は山脈の森に潜む隠し砦のリシャール第二王子からも伺えた。
彼ら中央西側地方の者達にとって、義勇軍の中央部進軍とクラウゼン陥落は殆ど同時。実際にはハウレス奪還以前に東部から出たという情報自体が無い。
援軍を望めるとしたら聖王国抵抗軍であり、その余力が満足に無い事は彼ら自身が把握している状況だ。
つまり、如何に多くの兵を連れ本国に帰還出来るか。それだけが彼らの現実的な方針であり、リシャール王子軍の現状だった。
砦に逃げ込むしか出来なかった彼らが挙って歓喜に沸いた事は想像に難くない。
そしてだからこそ、彼らは打って出たいと自らの主に申し出た。
義勇軍の窮地に駆け付けたいと。少しでも彼らの力になりたいと。その想い自体はリシャールとて同じだった。だが。
「ならん!我々の戦力がどれほど減ったかを忘れたか!
我々が出陣すれば義勇軍は敵の討伐より、我々との合流を優先せねばならん!
どれ程味方に被害が出ようとも、我々が全滅しては救出作戦の意味が無い!
我々が今出る事は、彼らの戦術を制限する事にしかならんのだ!」
「し、しかし!それでは我々は味方の窮地に黙って待てと?!
助けて貰うまで何もするなと言うのですか?!」
咄嗟に怒鳴り返したくなる。何より今なら仲間の敵討ちに行ける。だが。
「ッそうだ!今の我々は足手纏いにしかならん!
恩を仇で返さない事が、我々に出来る、今の全力であるッ!!」
「「「……ッ!!」」」
反論したい。抗議の声を上げたい。だが、この砦には数多くの負傷兵が居る。
何より。歯軋りしながら自分の不名誉を語る主を前に、誰が我を通せるのか。
主にここまで卑下させて、如何に忠義を語れるのか。
「申し訳、ありません……!我らが、不甲斐無いばかりに……ッ!」
「……良いのだ。不甲斐無いのは私も同じだ。
だが決して、悪い事ばかりではない。
あの旗は、来ているのはあの、アレス王子だ。」
膝を折り、涙を流して耐え忍ぶ臣下達の肩を叩く。
「我々は、彼なら信じられる筈だ。
幾度と無く我らの窮地を救い。奇跡を起こし。北部に続き東部を解放し。
遂には今日、この地にすら駆け付けて見せた、あの英雄を。
我々は、彼の勝利なら間違いなく信じられる。」
妹を救い、聖王国の崩壊を防いだ、あの青年を。
「はい……っ、はい……ッ!必ずや、あの方なら!!」
(信じているぞ。アレス王子よ。)
◇◆◇◆◇◆◇◆
「ふんぬばらがふぅっ!!」
猫サンドイッチから我を忘れる勢いで躱し切る。
倒れ込んだ巨体を潰す様に身を投げ出す、上下の視界を埋める結果的体当たりを彼らの巨体を三角跳びし、反射的に翻る猫尻尾が首の骨を折りかけて。
碌に悲鳴を上げられず涙すら流せぬアレスの首筋と顔に、細く赤い筋が走る。
丸まり転がる猫の巨体の、なんと恐ろしい事か。
自分より敏捷な民家サイズが家猫の機動力を発揮する、怖くないですか?
渾身の斬撃を如何にも咄嗟に肉球キャッチ。
質量で弾き飛ばされる自分に、可愛いって言えますか?
「【奥義・封神剣】っ!!」
「【奥義・武断剣】ッ!!」
我を忘れて不要に叫んだ秘剣の名は、彼らの心の拠り所の証だろう。
「秘剣!【真空跳ね鼬】ッ!!」
【真空斬り】を『連撃』で放つ独楽の如き円舞斬撃。
思わず叫びながら決まってくれと願ったのは、アレスだって同じなのだ。
「ご、五体!連続討伐、達成だぁぁぁああああああっ!!!!!!」
思わずその場の全員で拳を突き上げ、歓声を上げた。
「【中位落雷華】ォッ!!」
剣姫が姫に見えない顔で空から降り注ぐ雷を撃墜した。
思った以上に溜めが必要らしい【遠望雷嵐】は、若干の余波をまき散らしつつもレフィーリアとスカサハが交代で撃ち落としている。
塔の上の魔法使いもキャスパリーグを巻き込む様な魔法の使い方はしない。
お陰で迎撃こそし易いが、一方で放電の輝きに惹かれて巨大猫が現れる。
「【落雷剣】ッ!」
やはり狙って【封神剣】と同時発動はかなり難しい。
伸びる砂塵の大爪を三角跳びの要領で魔狼の背を蹴って躱すと、相棒魔狼ミッドガルは躊躇無くアレスを見捨て、幹を走り抜けて枝葉に隠れる。
そしてキャスパリーグの【咆哮波】が眼前一人残るアレスに叩きつけられるが、狙い澄ました【奥義・魔王斬り】がその一撃を断ち切り無効化する。
左右から挟み撃ちで放たれる【奥義】は既に幾度と無く繰り返したお陰で、強制的に息が合って来た。そんな簡単な奥義な筈も無いが。
というか一気に倒さないと反撃の『激情』スキルが通常の倍ダメージで襲って来るので、本当に一撃喰らうだけで致命傷になり得るから怖い。
そして仕留めると同時に飛び降りたミッドガルの背に、アレスは流れる様な手際で鞍に座る。まあ時にムカッとはするが、乗騎を回復する余裕は案外無い。
これで案外、上手くやれているのだ。
重傷者に【中位回復球】を飛ばしながら、再び進軍を再開する。
まさか十頭では利かない数を倒す必要があるとは思わなかったが、流石に後少しで塔に辿り着く距離だ。
後方でも相変わらず悲鳴が上がり続けているので、全体で何匹いたのか正直今は数えたくない。ホントに多い。
「抜けたぞ!このまま一気に塔内に……っ?!」
大山猫の群れが塔の壁面に張り付いて、競う様に屋上に爪を伸ばしてた。
「「「「「ッ?!?!?」」」」」
後ちょっとと伸ばされる前足に、屋上から悲鳴が上がり魔法が中断される。
(お前らも襲われとんのかいッ!!)
血反吐を吐く勢いで小声で叫んだアレスの魂は、よりによって聞こえて欲しくない相手に聞き取られた様だ。
塔に群がっていた巨猫衆の一部が、新たな玩具を見つけたとばかりに戦慄し硬直していた一同を振り向き目を光らせる。
「「「ッッッッ!?!?」」」
だがそれがいけなかった。
何故なら上の猫達は仲間を踏み台にして昇っていた。
その足場が動けば何が起こるか。
猫雪崩である。
「「「「「ッッッッ?!?!?」」」」」
アレス達の方角は緩やかな下り坂。
ケツが。尻尾が。ブチ斑が。壁の如き背中が。
過半数以上の猫が一斉にずり落ちて義勇軍最精鋭に迫って来る。
考えるより先に、アレスの体が動いた。
怒涛の猫の壁に向かって全力で走り出す。ミッドガルは脇に逃げた。
「うぉぉぉおおおおッ!!!!」
猫を全て倒すまで塔の上を放置し続けるのはリスクが大きい。そもそも彼らの身の安全が確保されれば攻撃の頻度は増す。放置は出来ない。
否。元凶が安堵するのは、アレスの魂が許せない。
着地と同時に地面を抉る『サンドブレイク』を『神速』の踏み込みを以って避け切ると同時、受け身が取れず地面を打つケツの尻尾を避けて踏み台に跳躍。
丸まる背中を駆け昇り屋根の如く迫る黒壁を切り払いながら走り抜け、仲間の背を滑り迫るケツを脇から跳ねる二尾に弾かれて白斑の壁に着地して更に上へ。
壁よりも滑り易い猫背の坂を走れば、受け身を取ろうと着地姿勢に入った四肢が頭上に迫り。裂帛の【バスター】がどてっ腹を打ち貫き跳ね上げる。
森よりも高みにある肩を、肩に載せた後ろ足の膝を跳ね、思わず繰り出される猫パンチに弾かれ壁から脇腹に着地と言う名の飛び蹴りをカマすと。
【逆毛】がダメージを半減する反動を利用して奴の頭を飛び跳ねる。
一体何頭の猫を踏み越えたかと現実逃避を振り切って。最後のずり落ちる前に壁に爪を突き立てた、長い猫背の曲線を頭まで駆け上がり跳躍すると。
当然の様に目を輝かせたキャスパリーグが餌を口元に招き入れようと『サンドブレイク』の大爪を拡げ、その前に壁を蹴って肉球に跳躍すると。
前足を引き戻す勢いに弾かれて屋上の狭間に足を引っかける。
片足で体を引き上げた先に居るのは、驚愕の表情を浮かべた研究者風の男――闇司祭シャパリュがアレスを見上げていた。
「【下位闇球】っ!」
「遅いっ!」
盾の様に掲げた《闇の錫杖》と放たれた闇の球体をすり抜け、肩口から一刀両断する様に〔達人の剣〕を振り下ろす。
血飛沫が上がり後ろによろめく彼が後ろ足を踏み止まる間に、アレスは脇をすり抜けて無防備な背に刃を翻す。
だが足の力が抜けたか床に膝を突いて躱すと、そのまま横に飛び退いて立ち。
「【下位閃光】ッ!」
アレスの放った光の矢が、《錫杖》から広がった闇の障壁『魔障壁』により弾かれて背後に散らされる。
「意外に粘るな寝癖男ッ!」
「研究者は体力勝負なんですよォ!【中位爆裂闇】ッ!!」
両者の間に割って入る様に空から闇の球体が降り注ぎ、爆心地であるアレスの周辺で小爆破が弾け続ける。が、その全てを断ち切った斬撃が、余波の全てを掻き消して吹き飛ばす。
【奥義・魔王斬り】。
あらゆる衝撃、余波、魔力を薙ぎ払い切り捨てる、絶対的な防御斬撃。
両者の間を隔てていた筈の闇はアレスを遮る事無く間合いが迫り。
シャパリュが更なる反撃を試みる前に【武断剣】が翻り三度薙ぐ。
致命傷に倒れるシャパリュより先に屋上を見回すアレスは。
漸く我に返り復讐に燃える屋上の闇神官達を、即座に切り伏せて殲滅する。
「これで最後……ッ!」
振り向いた先に、両前足を狭間に載せた巨大な猫の顔が大口を開けていた。
「ッ!!!!!!!!!」
最後の死闘を終えたアレスと、塔の下で勝利の歓声が上がるのは殆ど同時で。
流石のアレスも安堵で腰が抜けた。
※次回、16日月曜の敬老の日投稿です。
※最後のシーンは、夕日を背景に御想像下さい。
後は分かるなw?
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