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ジュワユーズの救国王子~転生王子の胃痛奇譚~  作者: 夕霧湖畔
第一部 何故か第二王子転生
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0.プロローグ

※お正月連続投稿。本日は20時にもう一遍、4日まで毎日一遍投稿致します。

 そこは全てが唐突だった。

「初めまして聖者よ!君に救って欲しい世界がある!

 どんな世界かを選択し、希望の世界を救って欲しい!

 因みに拒否権は残念ながら無いので、その場合ランダムとなる!

 だがしかし!自主的に選んでくれた場合には一つだけ、その世界で英雄になるに相応しい天性の才能をドドンと一つ!

 君の思うがまま選ばせてあげようじゃないか!」


「何で俺を選んだ!自主的に選ぶから先ずそこを答えてくれ!」


 死因以外思い出せない自分の脳裏にやたらテンションの高い青年か中年微妙な年代の男の声が響き、理解と同時に思わず叫んだ。


「うむ!一言で言うなら君だけしか候補になれなかったからだ!」

「もっと言葉を尽くして!」

 ヤバい、コレ流されたら負ける奴だ。多分このお方ノリと勢い重視だわ。


「良かろう!それは君の死因となった交通事故で、君の取った行動で!

 第三次世界大戦が阻止されて英霊と化したからだ!

 君の魂は確かに一つの世界を救ったのだ!」


「何でだよ!偶々巻き込まれた子供を咄嗟に突き飛ばしただけやぞ!」

 そもそも第三次世界大戦勃発とか聞いてない!え?今何年後?


 そもそも死ぬ気無かったので、自分が車に突き飛ばされた直後もしっかり受け身を取ろうとした筈だ。

 単に一瞬顔を見た犯人が口封じを図り、再度アクセル全開で轢き逃げされたのが致命傷となった。犯人もそのままスリップして爆発炎上した筈だ。


 但し病院に搬送されても暫くは生きており、死ぬまでに色々証言とか礼を言われたのを適当にあしらったまでは覚えている。

 面倒臭がった覚えはあるが、誰かへの善意も無かった筈だ。何故英霊?


「まさにその全てだとも!

 君が助けた子供は本来なら第三次世界大戦の引き金を引く筈だった激烈なタカ派の政治家の息子で、政治家は無償の善意など信じない男だった!

 だが君は彼の返礼に対し『打算考える暇あったら助けてない』だの『礼が凄いと格好悪いから家族だけ葬の葬式代だけ肩代わりして』だの『じゃあ休暇一週間取って家族サービスしろよ』だのと周囲への要求ばかり!

 自分への見返りを一切求めなかった!」


 いやだって致命傷と告げられてましたし。死ぬ前に欲しい物とか無理じゃん?

 家族との最後のお別れも割と一言で限界でしたよ、ええ。


「だがそれが彼の政治家にとって衝撃だった!君の格好悪いで済ます価値観もだ!

 更に君の『善意も利益も要は相手の納得次第』、『踏み倒しと暴力はデメリット含めて結局同じ』等の言葉は、一言一句!余すトコロ無く政治家の胸に刻まれた!

 そう、全て書籍化される程に鮮明にッ!!

 君の名言集は彼の精力的な平和活動によって流通利益主義と呼ばれる新しい考え方となって、第二の聖書と冗談交じりに呼ばれる程の名著となった!

 そう!まさに君の行動が世界に平和をもたらしたのだ。」


「や、止めろぉぉぉぉおおおおお!!!!

 臨終間際の適当発言に何て外道な真似しやがる!!

 しかも適当過ぎて若干韻踏んでポエミー化してるじゃねぇか!

 あと流通利益主義って何だよ!俺が知らねぇぞ!」


 ていうかボケてない!ネタが足りない!

 そんなオチの無い台詞、俺が素面で言える筈無いじゃない!!


「君が病室のベットで言った諸々の発言の集大成だとも!君は彼がつい思わず打ち明けた悩みに、実に真摯に答えていた!

 抜粋すると特に『近場が駄目なら遠くの利益で説得しろ』と『他人の利益で相手を動かせ』と『結果が利益で金は手段』の発言だな!

 後の彼の成功要因となって生まれたものだ!」


「それホントに面倒になってた時の奴!脊髄反射でしか答えてない頃の奴!!」


 家族到着までの間、只管オッサンと話し続けて超絶億劫になってた時の奴!

 隣でオロオロする看護師さんの巨乳の揺れに魂が惹かれていた時の奴!!

 大きさが大事じゃない、柔らかさが大事なんだと意識が別方向に遠ざかってた時の話だよ!正直如何にオッサン遠ざけるかしか考えてなかったし!


 そうあの時俺は、オッサンじゃなくてお姉さんと話したかったんだぁッ!!!


「だが歴史を変えて、多大な信仰を集めた会話になった!!

 君への信仰心は君の力となり、運命を変える力となる!詰まり君への信仰心を君の体内にダンクシュートする事で、君には救世主の力を授けられる!」


 それが君を選んだ理由だ!素晴らしい!と謎の男に力強く宣言されたが、すでに俺の羞恥心はズタボロである。

 せめてたわわの教典を後世に残したかったよ。ワシ真面目に人生生きてないの。


「も、もう良いので。世界選択ガチャをお願いします。」


「良かろう!選べる世界は全十二種類!聖人特典は世界選択後に決められるぞ!」


 わぁ優しいね。だったら魔法が存在出来ない世界で魔法の才能とかいう爆死だけは避けられるね!

 ヤケクソな俺は、目の前に現れた謎の画面を見て脂汗が出た。


「あ、あの~。神様っぽい人?

 何か、全ての選択肢が割とルナティックな様な……?」


 しかも覚えのあるゲーム風世界が沢山。

 まるで現世でのゲームを参考にしたかのような……、この、何?


「うむ!ぶっちゃけ幾つかの世界には、救って欲しい世界の環境をゲーム化した上で事前に流通させている。知っている世界観なら救済しやすかろう?!

 しかも転生後の君の立場は主人公!攻略情報の記憶は欠損無しだとも!!」


「ヒギィッ!!」


 アカンやろ!全ゲームに地雷があるマニア向けピンナップが揃ってるやん!

 選択肢一つで即処刑な乙女ゲーやらLV無関係に即死するRPGやら、努力とかチート以前にリアルラックが重要と言われたゲームばっかやん!


 わぁい、クソゲーだけじゃないぞ?難易度で脳汁出るとか言われた激ムズ廃人御用達ゲームまであるぅ!攻略本が正方形とか超死ねるぅ~?


「は!一つだけ毛色違うSRPGがある!」


 いやこれも割とリセットゲーだな!確か成長悪いと普通に格下に負ける系の。


 なのに初期ステで即死状態異常対策すると超弱くなる奴。割とステータスの暴力なゲームバランスだった筈。勿論戦わないと強くなれないよ!

 けれど終盤にしか状態対策が出来ない上に蘇生魔法が後半まで無い上に、マップ別制限があるから序盤に重要キャラ死なせて進むと結局最初からになる奴。


(や。厳密には何人死のうがクリア自体は可能だけど、ボス対策技能無いと運次第で簡単に全滅する難易度になるんだ。後半程。)


 なので重要キャラ判明する中盤までは死ぬ度リセット推奨。後半になる頃にはリセットを気にする奴なんていません。リアルに考えると超やばい奴。


「これチートがセーブ&リセット以外どうにもならんやん……。」


 いや。それでもイベントフラグしくじったら積むか?そもそもステータス無関係に即死攻撃あるしな……。


「ん?ソレなら聖人特典とは別に、初期ステータスは自由選択で構わんよ?

 元々そういうゲームだしな。」


 君は特に徳が多いから初期値高めで始められると、太鼓判を押す神様っぽい人。

 基本キャラメイク可能なゲームは主人公に限り転生段階で設定可能だ。転生段階で可能な範囲をゲーム化しているかららしい。


 なら……、他よりマシかな?後セーブ&リセットは全世界共通で駄目だった。


 このゲームだけは順当に成長していけるんだよね。他と違ってステータスの暴力が割と少ない。他はもう、規定値以下は確定敗北があったり。


 ん~。チートは後半まで腐らないモノが良いから、補給系は無しかな。これ無いと勝てない時点で戦略的に詰んでるし。

 後勇者一人で勝てるゲームじゃないし、可能な限り味方全体に及ぶ効果かな。


「よし。じゃあチートは味方認定したマップ内のユニット全員を対象にしたい。

 1.HPとMPを少量で良いから毎ターン回復。

 2.『即死』攻撃無効化。

 3.奇襲行動を行う味方全員に『伏兵』コマンドと同様の効果。

 この中からデメリットやMP消費無しで出来る奴をお願いするわ。全部無理なら他の考えるから言って。」


 もう状態異常対策は可能な範囲でして、徴兵でしくじらなければ積まない筈だ。

 逆に言えば徴兵による力押しは可能だった筈。具体的には徴兵人数でそれなりの攻撃力補正とかが加わる。


「なんら問題無いとも!それでは健闘を祈るぞ!」


(ふ……。まさか最も難易度が高くなる世界を選ぶとは、流石天然の聖人よな。)

※お正月連続投稿。本日は20時にもう一遍、4日まで毎日一遍投稿致します。

 同時投稿しなかったのは誤植?誤載?が怖かったので……。

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