放送部のヌシ
はるかは混乱していた。目の前にいる少女は一体誰なのかと。なぜパジャマ姿なのか、カップ焼きそばをすすっているのか、全く理解が追いついていなかった。
「えぇっと、あの...部長さんはいらっしゃいますか?」
とりあえず話しかけてみないことには何も分からないと思い、少女に話しかけてみる事にした。
「あー。体験入部の人?ちょいまち...ズズ......ズズズ」
「(一体なんなんだこの人...?)」
いかにもな女性に、もしかして学校に不法侵入した不審者ではないかととてつもなく怪しんでいた。
「あー!わりぃわりぃ!部長はあたしだよ。」
「はっ?」
あまりの衝撃的な発言にはるかは固まってしまった。言いたいことが口から湧き出してくる。
「さっきの綺麗な声の人があなたですか!?信じられません!?」
「結構知られてる話だと思うんだけどなぁ。あんた外部の人?」
そう言って部長はカラカラと笑う。
しかし、何かを思い出したかのように突然顔から表情が消えた。
「あんたも帰っちまうのか?」
そのどこか寂しげな表情、声色にハッとした。
「(そうだ、私は部長さんみたいな人になりたくて体験入部に来たんだ。見た目で判断してどうするんだ...!)えっと、体験入部...します!」
「おっ!さんきゅーな!そこの椅子に座って、この名簿のここにサインしてくれよな!!!」
先程の表情とは打って変わってとても嬉しそうに名簿を差し出した。
はるかはサインしながらふと思いついてしまった。
「(もしかして、騙された...!?)」
記入し終えたはるかは部長に名簿を返し、部長の方に向き直った。
「えっと、兎追 はるか...と。うっし、まずは自己紹介だな!」
どこか嬉しそうな部長さんを前にし、なんだか自分も嬉しくなってしまう。
「あたしは〝灰被麗 まき〟、3-B、放送部部長で好きな食べ物はカップ焼きそば、好きなことは昼寝、座右の銘は〝早起きより3食の麺〟だ。家族構成は私、犬...」
「ありがとうございますっ!えぇっと兎追 はるか1-Cです!!」
あまりのマシンガントークで尚且つ個人情報までペラペラと話し出したので思わず遮ってしまった。
「おいおい、そんなに焦んなくてもじっくり聞かせてやっからさぁ?」
はるかの両肩を手で抑えながらまきは言った。
「体験入部に来ただけなんです!」
まきに若干恐怖しながら叫ぶように言った。
「そんなにこの部活がやりたいのかァ。そんじゃあサラッと概要を説明していくぞ。」
まきがすぅ、はぁと深呼吸をした。すると背筋が急にピンと伸び、キリッとした目付きになった。
「この部活は週5日、現在部員は私のみです。やることは曲をかけたり、質問を受け付けたりする昼の放送、運動会・文化祭での実況や司会進行です。なにかご質問はありますか?」
急にシャキッとしたまきにはるかはまたもや困惑を隠せない。
そんなはるかを見ながらまきは続けた。
「活動内容としてはこんな感じです。たまに発声練習をしたり、アニメに声を当ててみたりしています....とまぁこのくらいだな。」
なんか違和感ある。と笑いながらまきは息を吐いた。
「何はともあれ体験してみるか!」
そして、放送用であろう機械の方に向き直ると、ボソボソとなにか呟きながらボタンをカチカチと押していく。
「んーと、放送室だけに電源入れて、ボリューム上げて...うっし、それではLet's 体験!」
見てくださってありがとうございます!
完全自己満小説なので、文章が拙かったりグダグダだったり申し訳ないです。