春の足音
「おかーさん!行ってきます!」
私は〝兎追 はるか〟今日から私立御伽ノ森学園に通う高校1年生!
倍率5.5倍という高い壁を乗り越えるために必死に勉強をし、何とか回し合格で受かり通えることとなった。
「(クラスは、1-Cだったよね。)」
肩まである茶色い髪を揺らしながら、高鳴る気持ちを抑えて学園までの道を歩く。
「(わぁ...!やっぱり凄い!!)」
まるで御伽話に出てくるような控えめな桃色の校舎に灰色のセーラー服を着た人達が沢山おり、興奮が抑えられなかった。
落ち着くために〝入学式〟と書かれた看板の前で立ち止まる。
「入学おめでとうございます!新入生はこちらですよォー!」
腕に〝生徒会〟とつけた人達が、体育館へ誘導していた。
校長先生、PTA会長の話を終え新入生達はそれぞれのクラスへと向かった。
「(えーっと、1-C...1-C...あった。)」
ドアに手をかけて中に入ろうとした時、
「こんにちは!新入生だよね?」
「うわぁっ!?!?」
突然後ろから声をかけられた為、驚きのあまり飛び上がってしまった。
「ご、ごめん!そんなに驚くとは!」
そう言って何度も謝る彼女に、逆に冷静になった。
彼女の黄金の長い髪が春の陽射しに照らされて、とても綺麗に見える。
「とりあえず、座りません?」
「さっきは本当にごめんね。私〝井原 ねむり〟!よろしく、はるかちゃん。」
「私は兎追はるか。よろしくね、ねむりちゃん!」
ガラガラと勢いよくドアを開ける音がした。振り向くと、少し雰囲気の怖い女性が教卓へ向かって歩いていた。
「まずは皆さん、ご入学おめでとうございます。このクラスを担任する〝女王 美人〟です。これから今後についての重要な資料と教科書を配ります。」
山のように配られ、帰りに肩が壊れないか心配だ。
「明日はクラブ紹介があります。それでは、時間になったら各自帰宅してください。さようなら。」
終業のチャイムが、少し騒がしい教室内に響いた。
「はるかちゃん!一緒に帰ろー!」
ねむりちゃんに声をかけられ、一緒に帰り道を歩く。
「(明日のクラブ紹介、楽しみ!)」
ひらひらと舞い散る桜がとても美しかった。
読んでいただきありがとうございます。
初作品です!