冷気
「ックション!」
大きくくしゃみをし、ジャンヌは体を震わせた。
「お、遅いですね…ハル様」
「…あぁ」
ぼんやりと空を見つめながら、ハルはそう返事をした。
「心利さん、早く来ませんかね」
「…そうだな」
「…寒いですね」
「……そうだな」
「……」
「……」
何を話しかけても上の空のハルに、ジャンヌは小さく溜息を漏らした。
(やっぱり心利さんじゃないとダメなんですよね…早く来てください!この沈黙耐えられませ!!)
そう思いながら、居心地の悪い空気から逃げ出すようにジャンヌはそっと下足箱の後ろに回った。
そっとその場に座り込み、すっかり冷たくなった手にはぁ…と息をかける。
息は白くなって目でも見えるようになっていた。
「それにしても寒いですね。もう4月なのに」
ジャンヌは玄関の扉の向こうに目をやり、再び小さく息を吐いた。
委員会があると行って図書館に行った心利。
終わるまで玄関で待っている約束をして別れてから、廊下を歩いている時にハル様に会った。
そのまま玄関まで一緒に歩いていき、話しをするうちに時間が経って今は午後7時。
心利は一向に来ない。
「委員会はもう終わったはずなんですが…」
そう、もう委員会はとっくに終わっている時間だ。
心利と同じ図書委員の人達が帰っていくのも見た。
なのに、なぜか心利の姿だけが見えない。
あ、いや…もう一人いないとか言ってたような……
あぁ、そうだ。
もう一人図書委員の子がいないんだった。
「まさか二人で帰ったとか…いや、それは無いですね」
心利はそんな子じゃない。
それが分かっているから、ここから動けない。
「早く帰りたい…」
そんな事をぽつりと呟きながら、ジャンヌは膝を抱えて身を縮めた。
この寒さの原因が、すぐ傍に居るとも気づかずに――
カチカチカチ…と時計の秒針が時を刻む。
うつらうつらとしていたジャンヌは、いきなり聞こえた自分の名を呼ぶ声に跳ね起きた。
「ジャンヌ」
「…誰ですか?」
不審に思いながらも声が聞こえる暗闇に歩を進めた瞬間――
「っぐ」
意識がブッツリと途切れた。
もうむしろ霊気にしたほうがいいような…あ、ネタバレすいませんι一週間ぶりの更新です、碧乃です。何で学校ってこんなに忙しいんだろ…誰か!誰か私にバケーションを!!← もうすぐGWですね^^その時には毎日更新する勢いで行きたいと思います!どうせどこも行く予定ないんだし!!;;;