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AA  作者: 碧乃苑
34/46

消える




下駄箱の影に隠れていたハルは、一松に呼ばれて姿を現した。


「…こいつがあの(・・)


ハルの姿を見、生江は小さく呟く。


一松はというと、ハルに挑発的な笑みを向け、言った。


「さっきは冷たい態度とってくれたなぁ。久しぶりに再開した友達(・・)ゆうのに」


「誰が友達だ。俺は今のお前(・・・・)を友達なんて思ってない」


それを聞くと、一松はやれやれと首を竦めた。


「それはあんたのせい(・・・・・・)やろ。うちに言わんといてほしいわ」


「…うるさい」


「あの様子だと、心利ちゃん(・・・・・)まだ思い出してないみたいやねぇ」


「………」


「大好きなお兄ちゃんの()すぐ側(・・・)におるのになぁ」


「うるさいっ!」


瞬間、ガンッという音がして一松が勢いよく床に押さえつけられた。

ハルは一松の首をグッと掴み、離そうとしない。


「一ま――」


「生江!」


咄嗟に助け出そうとした生江。


しかし、一松に名を呼ばれ、生江はその場に踏み止まった。


生江が手を出さないこと確認し、一松はハルの方を向き直る。


「お前に…お前に何が……」


ハルはブツブツと何事かを呟いていたが、一松はそれを遮って、話した。


「ほんとのことやろ。お前があの日(・・・)あの場所(・・・・)に来なければ、心玖兄ちゃんは生きとった。

 そして、私も生きる(・・・・・)ことが(・・・)できた(・・・)!」


そう言った瞬間、ハルは弾かれたように一松から離れる。


そして、驚愕に見開かれた瞳で呟いた。


「…やっぱり」


「なんや。確証なかったんか」


フンッとバカにしたように鼻を鳴らし、一松は立ち上がる。

そこにタタタッと生江も駆け寄り、二人はハルに冷たい視線を向けた。


「お前達、いったい…」


戸惑いの表情を露にし、ハルは問う。


「天照…これはまだ始まりやで。お前がうかうかしてるうちに、お前の大切な人間(・・)みんな(・・・)消える。

 それが嫌やったら、死ぬ気で守ることや」


「…まだ、始まり……」


ハッとした。


まだ(・・)始まり(・・・)

これは、あいつが言っていたことと同じだ。


『序章にすぎない』


あいつ――音子(オトネ)心玖(シンク)も言っていた。


今回の事件は、序章に過ぎないと。

もっと大きな事件が、待ち受けていると。


「どうやら、心当たりがあるようやな」


一松の声に、現実に引き戻される。


「うちはお前の味方やない。

 ほんとはこういうこと言うのアイツに止められとったんやけど…心利ちゃんが危険なめに遭うのは嫌やから、あんたに言う。

 もしも心利ちゃんを守りきれんかったら、うちは(・・・)お前を(・・・)殺す(・・)

 覚悟しとくことや」


それだけ言うと、一松はさっさとその場を立ち去った。

生江とか呼ばれていた奴は、こちらに「ベー!」と舌を出して一松の後を着いていく。


残された俺は廊下の壁にもたれながら、ずるずるとその場に座り込んだ。


もうそんなにタイムリミットは残されていないのかもしれない、と思いながら。









ちょっと更新遅れました…すいませんι なかなか事件始まりませんねぇ。

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