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AA  作者: 碧乃苑
30/46

接点




「おはようございます!ハル様!」


バンッと勢いよく開けられた扉の向こうには、制服を着た短髪の女が立っていた。


「……ジャンヌ?」


半分ぼやけた頭でそう尋ねると、女-ジャンヌは腰に手を当てて言った。


「ハル様、もう朝ですよ。学校に行く時間ですよ」


朝からうるさい、と思いながらも、ハルはベッドから抜け出す。

「着替える」と言うと、ジャンヌは慌てて扉を閉めた。

しかし、気配は扉の前に残ったまま。


ジャンヌが学校に通い始めて半月。


(アイツ)に言われてジャンヌと福沢を呼び戻し、周りに影響を与えないようにする薬を作り、ジャンヌは学校に入学するまでの根回しもした。


ジャンヌからは、心利が普通に学校で暮らしていると聞き、安心した。


それで終わりのはずが、なぜかジャンヌは俺を学校に連れて行こうとした。

何でそんなに連れて行きたがるのか問い詰めると、案の定心利から頼まれたと言った。


でも俺は行く気は無い。


“学校”というものはもう体験したし、これ以上他人を巻き込むつもりも無い。


そう言っても、ジャンヌは変わらず俺を学校へ連れて行こうとする。

心利に頼まれたとバレてからも、それを止める気配は無い。


そんなことが一週間近く続き、仕方なく俺は今日、約一年ぶりに学校へ行く。


久しぶりに制服に袖を通し、数回程しか使っていなく、新品同様の鞄を持ち、部屋を出る。


「ハル様、逃げないでくださいね」


ジャンヌに釘を刺され、溜息混じりに「分かった」と言うと、やっとジャンヌは安心したのか、表情を和らげた。


まぁ、学校に行ったところで、心利に顔を合わせる機会は少ないだろう、と俺が考えているのも知らず。




学校に着くと、まず驚いていたのは先生達だった。


その次に他の生徒。


ひそひそ話が飛び交う中、俺はジャンヌと途中で別れ、ジャンヌ達の隣の教室に入る。


クラスが違うと分かると、ジャンヌは眉間に皺を寄せて俺を睨んだが、俺はそれを無視する。

俺は一度たりとも心利と同じクラスだ、なんて言ったことは無いし、違ってよかったとも思っている。


これで心利(あいつ)を巻き込むこともないのだから。


鞄をロッカーにしまって、久しぶりに席に着く。

周りからの視線は、半年前と変わらない。


憧れ・期待・嫉妬・憎しみ…


だが、そんなもの(視線)には慣れている。


慣れすぎるぐらいに…










ハル君暗い… ていうか、気づいたら30話目!よく続けられたな、自分…←

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