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AA  作者: 碧乃苑
27/46

そして…



「おはよー」


あの事件(・・・・)から一週間が経った。


こっち(・・・)で私は二日居なかったのだが、なぜか家族も含めて私はいつも通り過ごしていたことになっている。


そういう点では、ハルに感謝しなくてはならない。


鞄をロッカーに入れ、机に座って私はぼーっと黒板を見る。


あの別れから、私はハルに一回も会っていない。

学校には相変わらず来ないし、広辞苑も一向に返ってこないし。


それでも、一日は過ぎていく。


私の記憶を薄れさせるように。


キーンコーン…


チャイムが鳴って、担任の先生が教室に入ってくる。


いつもと変わらない毎日。

今日も明日も、それは変わらない。


でも、


「ちょっと寂しいよ、ハル…」


ポツリと呟いて、空しさが心を覆う。


「心利、どんな子だろうね」


「う、へっ!?」


ズーンと落ち込んでいた時、急に隣から話しかけられる。

慌てて返事をしたため、変な返事をしてしまった。


「聞いてなかったのぉ?」


「う、うん。ごめん」


その子は眉間に皺を寄せ、説明し始めた。


「転校生が来るって。噂では女の子らしいんだけど…

 可愛い子だったらどうしよ~!」


「ははは…」


呆れながら笑い、私は再び黒板に体を向ける。


先生が何か言っているが、それも遠くから聞こえるようだ。


「はぁ…」


ガックリと項垂れ、机に突っ伏す。


その時、凛とした声が教室に響いた。


「ジャンヌといいます。よろしくお願いします」


「……ぇ?」


口を半開きにしてポカーンとジャンヌ(・・・・)と言った子を見る。


ジャンヌって…え、ジャンヌって、え?


半ばパニックに陥っている私を置いて、先生は話しだす。


「この子はフランスからの帰国子女だから、日本にもあまり慣れていないと思う。

 皆フォローしてあげるように」


それを最後に、朝のSHRは終わる。


きりーつ、と号令がかかったので慌てて立ち上がり、挨拶をする。


しかし、頭は変わらずパニック状態で、私は何をするわけでもなく、その場に立ち尽くしていた。


(えっと…ジャンヌって名前はフランスでは珍しくないのかな?偶然だよね、偶然。

 ハルだってもう呼び戻すのは無理とか言ってたし…多分)


グルグルと混乱する脳内。


思考するのを止めたのは、問題の人物、ジャンヌだった。


「お久しぶりです、心利さん」


「…お久しぶり…っていうことは――」


「はい、ハル様のおかげで戻って来れたんです」


ニコッと笑って言うジャンヌ。

そんなジャンヌに、私は勢いよく抱きついた。


「え、えぇと…心利さん?」


慌てるジャンヌに小さく笑い、私は離れて言った。


「心利でいいよ、ジャンヌ」


「っ…うん、心利」


お互い泣きそうに目を潤ませ、笑い合う。

そんな私達を不思議に思ったのか、周りの子達は首を傾げている。


「心利、知り合いだったの?」


「…うん、まぁね」


聞いてくる子には曖昧に返事をして、ジャンヌと顔を見合わせて笑う。


あの不思議な世界。

初めは戸惑ったけど、今では自らその事に関わろうとしている。


そして、ジャンヌがここに居るっていうことは、まだ繋がりは切れてないってことだよね。


「ねぇ、ハル」


君と出会えて、良かったよ。








ここでとりあえず『AA~文字化け編~』は終了です!次は何本か短編挟んで第2シリーズにいきたいと思います。そのうち文字化け編は書き直して何本かにまとめたいと思います^^ では、文字化け編を読んでくださりありがとうございました!引き続きご愛読くだされば嬉しいです!^^

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