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AA  作者: 碧乃苑
26/46

帰宅




「じゃあ、行くね」


あの後、学校に置きっぱなしにしていた鞄を取ってきて、ハルの家に一泊した。

京さんとの間に何があったのか聞きたかったけど、お互いその後は何事も無かったように振舞っていたから、私もそんなことはどうでもよくなっていた。


一泊して朝食をとった後、時計を見たらいつも私が登校する時間になっていた。


私が家や学校に二日居なかったことは、ハルがどうにかすると言ったので、信じることにした。


そして私は、不思議な世界から離れていくことになる。


見送りに来てくれたハルと京さん。

京さんはもう暫くここに残るらしい。


あぁ、そうだ。

ハルの家に泊まっている間に知った事だけど、京さんはジャーナリストをしているらしい。

学校には取材で来ていたらしいんだけど、どうやってこの世界(・・・・)に入り込んだんだろう?


「心利ちゃん、また会おうね」


疑問に首を傾げていたとき、京さんがニコッと笑って言った。


「はい、また」


私も笑い返してそれに答える。


また、なんてあるか分からないけれど。


「それじゃ」


踵を返して門を開く。


ハルは、何も言わない。


分かってる。

今回のことは口外禁止っていう約束もさせられて、この門を出たらもう知らない人。

学校にも来ないし、来たとしても私はただの図書委員で、ハルは皆の人気者。


所詮、世界が違うのだ。


それでも――


開いた門の前で歩を止め、振り向きざまに笑って言う。


「さよなら、ハル」


それでも、引き止めてくれるかなって、期待したんだ。


走り去っていく心利の姿が見えなくなると、ハルは屋敷の方に向かって歩いて行った。

その後を、京も歩いていく。


「いいのぉ?ハル君」


挑発するように言っても、ハルは反応しない。


(素直じゃないなぁ…)


内心でそう思いながらも、京はそれ以上何も言わなかった。

当面の目的はそれではないし、人の色恋に首を突っ込む趣味もない。


それより今は、他にやることが山積になっている。


(ま、それにはあの子(・・・)も必要になってくるし…)


少し思案気に腕を組んだ京は、思うが早いか、ニ、と笑ってハルの肩を叩いた。








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