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AA  作者: 碧乃苑
21/46



フラフラする体を起こし、周りをグルリと見渡した。


一面、本本本…


所狭しと本が並べられている。

棚に入りきらなかったのだろう本は床や机に積み重ねられ、正に足の踏み場が無いとはこういう事を言うのだと、分かった。


その時、本だらけの部屋に異質な物があるのを発見した。


透明なビンの中に入れられた、緑・黄・紫・青…色とりどりの液体が入ったビンが、棚にきちんと収められていた。


『薬、を…棚…二段目…一番右の…赤い…飲まなきゃ…』


不意に、脳裏を過ぎったハルの言葉。


もしかして、このことなのかもしれない。


急いでその棚に駆け寄り、ハルが言っていたビンを探す。


「棚の二段目…一番右…赤色の…あった!」


そのビンを取り、ハルの元へと走る。


「京さん、薬!ありました!」


「へ?あ、それ?」


ゼィゼィと息を吐く京さん。


京さんが元に戻るまで待っているわけにも行かず、私はビンの蓋を開けてハルの口につける。


しかし、もう意識がないため、飲めるはずもない。


「飲んで…飲んでよ、ハル!」


焦る私を見かねたのか、京さんは息も絶え絶えに言った。


「心利ちゃ、んが…口移し、すれば…いいじゃないか…ハァ」


「なっ…!」


何をとんでもないことをサラリと言っているんだ。


カァ…と顔に熱が集中するのを感じて、私は下を向く。


「じゃない、と…ハル君、助からない…」


「そ、それは…」


「ハル君を…助けるんだろう?」


そう言われて、ハッとする。


そうだ、ハルを助けなきゃ。


じゃないと、私はまた――


グッとビンを握る手に力が篭る。


私が、ハルを助ける。


改めて決意し、赤い液体を含もうとした時、ビンが光を反射した。


その方向を見て、私は慌ててビンを置き、それ(・・)に駆け寄る。


太陽光を反射して輝くそれを持って、私は再びハル達の元に行く。


そしてそれに赤い液体を流し、ハルの口に持っていく。


「目を覚まして…ハル」


そして、赤い液体は滑りこんでいった。







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