銃
屋敷の入り口の門を蹴破って中に入る。
「お前は中に入ってくるなよ」
ジャンヌにそう言って、扉の前で馬から飛び降りる。
バンッと音を立てて中に飛び込んで、しまった、と舌打ち混じりに言う。
屋敷内にも侵入されていたことを忘れていたため、音を聞きつけて黒服の奴が目の前に躍り出た。
しかし、武器も何もない学校や路上に比べれば、自分の家はまだ戦いやすい環境だった。
相手が、持っていた銃を構える。
それは俺も同じで、素早く花瓶が置かれていた机の引き出しから銃を引き出すと、両手で構えて撃った。
「っく…!」
ビリビリとした衝撃が腕を伝って肩に響く。
弾は外れたようで、黒服は姿を消した。
手を軽く振ってもう一度銃を握り、構えながら前へと慎重に歩を進める。
大広間へと続く一本道。
その中腹に来た瞬間、脇から黒服が跳び出てきた。
パァンッパァンッパァンッ!
下手な鉄砲数撃ちゃ当たる、とは言っても、プロとシロウトに比べれば、プロの方が当たる確立は高いに決まっている。
案の定弾は僅かに相手を掠めただけで。
それなのに俺は、見事に右肩を弾が貫通していた。
「ッグ…!」
焼けるような痛みが右肩を襲い、銃を持ちきれずにその場に落とす。
ガシャンッ、と銃が床に当たったと同時に、俺もその場に崩れ落ちる。
「ハァッ…ハァッ…」
マズイ。
状況は最悪だ。
これならジャンヌにも来てもらうんだったな。
まぁ、銃と剣じゃ相手にならないか、と自嘲気味に笑いながら呟く。
カシャン、と音がして銃口が額につきつけられる。
汗が額から頬を伝い、床に落ちる。
映画か何かだったら、ここで助けが来るんだろうがな。
「…心利」
せめて君だけは、無事で。
霞んだ視界の向こうで、相手の指が動いたのがぼんやりと見える。
安全装置が外され、人差し指が引き金に触れる。
パァンッ!と屋敷に銃声が木霊した。
最近死亡フラグが多いですね←