表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AA  作者: 碧乃苑
16/46

繋がる-京・福沢さんSide-




トン、トン、と軽い足音を立てて、僕は鉄パイプが組まれた工事現場の中を跳ぶ。

さっき会ったばかりの一万円そっくりのおじさんは、後ろで四苦八苦しながら後をついて来る。

追える分だけまだすごいなぁ。なんて感心しつつ、腕の中でぐったりとしている少女を見下ろす。


音子心利。

ハル君が大切にしている子。

一方的に想いが空回りしてる子。


でも、僕にとってはこの子は違う意味を持つ。


「一万円のおじさん、大丈夫ですか?」


ビルの屋上で一度立ち止まって振り向くと、おじさんは何とか追いついてきていて、僕の隣に立った。

そして住宅街の先を見て、言う。


「後少し…あぁ、あの家です」


そのおじさんが指す方を見ると、少し怪しい雰囲気を醸し出す、西洋風の豪邸が建っていた。

あそこに今から行くのか、と思い、つい口角が上がる。


「……」


しかし、隣からの視線を感じてそこ顔を向けると、一万円のおじさんは眉間に皺を寄せてこちらを見ていた。


「どうかしたんですか?」


「…あなたは、ただの一般人です。それなのに、いきなりこんな事に巻き込まれて恐ろしくはないのですか?」


最もな質問だなぁ、と思いながら、表ではへらへらと笑って言う。


「そりゃ恐いですよ…僕なんか何にも出来ないし、いきなりこの子を連れて行けなんて…」


「そうは思えませんがな」


以外に鋭いおじさんの読みにチッ、と内心舌打ちをし、視線をそのおじさんから逸らす。

マズい事になったな、と思いつつ、こんなところで阻止されてたまるか、という思いから僕は再びおじさんの方を向いて、笑う。


「まぁ、それより今はこの子を早く助けないと」


話を逸らされたことに明らかに不満を持った顔をしながら、おじさんは渋々「先を急ぎましょう」と言って向こうの家の屋根に跳び移る。


僕もその後に続こうとした瞬間、腕の中が僅かに軽くなった。


「……ん」


声を漏らしたのは僕でもなく、おじさんでもなく、生死の境をさ迷っていた子――音子心利だった。










お久しぶり(え、いつも?)の更新です!^^

今回はそれぞれの視点を一気に3話更新しました。

とりあえずこの『文字化け編』終わらせなきゃな、と思いながら更新してます。

いつも読んでくださってる方、ありがとうございます!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ